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二章 第12話 姉と弟

 『神託』の実験から6日、俺は何をするにも中途半端に忙しい日々をおくっていた。その理由はいくつかあるが、その最たるはトレイスの体調が少々悪くなっているらしいことだろう。

 我が弟の体調が悪化しだしたのは一昨日の昼頃で、看病のために使用人やレメナ爺さんの手がいつも以上に塞がってしまった。日々の屋敷の運営と看病で誰も俺を教会まで送ってくれられないのだ。1人でも行けると言いたいが、そうはいかないのが伯爵令嬢の身分。冒険者として活動を始めればもう少し自由にはなるだろうが、今の立場でそれは無理が過ぎる。

 リオリー魔法店の商品開発にも手が出せていないのだが、そちらは理由がもう2つほどある。まず、開発費用や給料を振り込んでもらうギルドの口座がまだないため、俺たちには試作品を作るための経費もない。そしてなにより工夫するための素体が必要なのだが、これをまだマイルズが持ってきていないのだ。そろそろ届けに来るとは思うのだが。


「……ギルドに行くまでの辛抱」


「アクセラちゃんは魔導具作るの楽しみ?」


「ん」


 レメナ爺さんから授業の代わりにと出された宿題をしながら、俺とエレナはなんとなく今後の予定について会話していた。精神安定の聖魔法トランクイリティの一件以降、特にエレナの態度が硬化したり距離が開いたりといったことはおきていない。しかしことあるごとに視線を感じるようにはなった。きっと普段通りにふるまいつつも気になっているのだと思う。


「エレナは楽しみじゃない?」


「楽しみだけど……。でも、そんなに色々しても大丈夫?」


 それにしても最近のエレナは少し心配性すぎるが。


「なんとかなる」


「もう、アクセラちゃんはすぐそれなんだから……」


 ギルドに登録した後、今後の安全を祈ると言って教会に行こう。そしてトレイスに適用するための特殊な加護を創るのだ。それから帰りにリオリー宝飾店に寄って口座を伝えよう。運がよければその時にでも開発素材になる魔導具を受け取れるかもしれない。そこからは魔導具作成とギルドの依頼に専念すればいい。

 ん、なんとかなるな。


 俺はそのときそう思っていた。世の中本当に思い通りに行くことなどまずまずないのだという事実を、長い人生でよく知っていたのに。


 トレイスの容体が著しく悪化したのは、その日の夕方だった。


~★~


 夜も更けてきた頃、オルクス伯爵邸の騒動は沈静化するどころか悪化の一途をたどっていた。

 世話係でもあるイザベルや主治医的な立場であるレメナ爺さんだけでなく、ビクターやラナまでもがトレイスの部屋を出入りし、かかりつけの医者に加えてシスター・ケニーも呼び出されてやってきた。誰にも何も説明されなかったが、それがトレイスの容体の急激な悪化を示していることは明白だった。

 なにせ今まで1度たりともトレイスの治療に呼ばれることはなかったシスター・ケニーが呼ばれている。『聖魔法』は彼の病状を改善はしないが、何かあった場合命を繋ぐことだけはできる。その意味を察することができれば今回の危険度がいかに高いかもわかる。


 このままいけばトレイスは死ぬのだ。


「……」


 こんなことなら無理にでも時間をつくって教会にいくべきだった。そんな後悔が胸に湧きおこるが、それも今となっては意味のないことである。

 教会というのは特殊な建材と特殊な構造、諸々の要素を兼ね備えることで動作する聖なる魔導具、祭具だ。そしてその1つが教会の祭神に使える神官の存在であり、唯一の神官であるシスター・ケニーがうちに来ている以上ケイサルの創世教会は祭具として機能しえない。教会のシステムがなければ天界に渡ることもできない。


「大丈夫?」


 昼間のそれよりずっと沈んだトーンの声がかけられる。部屋でどうすべきか考えていたのだが、またしても気付かないうちにエレナの入室を許してしまった。


「ん」


「ほんとに?アクセラちゃんがわたしに気付かないなんて滅多にないことだよ?」


「たまにはある」


「……最近よく足組んでるよね。それ、考え込んでるときの仕草でしょ?」


「……ん、考えてる」


 エレナの観察能力は本当に優れている。あぐらをかいたり足を組んだりする悪癖がこの体に表れたのはここ最近の事だというのに。いや、生前からの癖なので自覚していないときにもしている可能性はあるが。


「トレイスくんのこと?」


「……ん」


 あまり隠し過ぎるのもよくないか。そう思って素直に頷いた。


「……」


 自分で聞いたくせにエレナはそこで黙り込んでしまった。

 安易な慰めができないほどに素直で、最悪の結果がどれだけありうるか理解できる程度に現実をわきまえている。そんな聡明すぎる9歳の少女に紡げる言葉はないだろう。


「……」


「……」


 何かを言おうとしては止める彼女が最後に選んだのは、そっと俺の頭を撫でることだった。


「……加護がありますように」


「……ん」


 何かにつけてシスター・ケニーが俺たちに言う言葉。相手に良いことがあるようにと祈る一番簡単な祈祷だ。やっとのことでエレナはそれだけ口にした。やっとのことで口にした言葉だからか、どんな長い慰めより彼女の気持ちが伝わる。

 その小さな手が俺の白い髪をゆっくりと撫でる感触を感じながら、俺はふと思った。

 15歳になったら封印をといていいと言われている『技術神』は、その権能に加護の付与があったはずだ。あれを使えば天界に行かなくても加護が与えられるのではないだろうか。肝心の加護の加工も天界でないとできないというわけではない。全ては地上で俺が神の力を行使できないことに制限を受けているだけだ。


「エレナ」


「え、うん」


 立ち上がった俺は彼女の目を真っ直ぐに見据える。


「ありがと」


「ど、どういたしまして?えっと、アクセラちゃ……」


 困惑気味に首をかしげていたエレナの目から光が消える。途切れた言葉は空に溶け、力の抜けたその体が俺の方に傾いだ。完全に眠りに落ちた彼女を両腕で抱き止める。


「ごめんね」


闇魔法中級・ブラックアウト

 フォールスリープという眠気を与える初級魔法があるが、これは相手をより深い眠りに強制的に誘う中級魔法だ。人間の意識に干渉するとして禁呪指定されている魔法に近い性質があるため、闇魔法の使い手にも敬遠されがちなシロモノでもある。


「よっと」


 意識のないエレナを俺のベッドに寝かせ、自分は椅子に深く腰掛ける。


「天にまします我らが主、我らの願いを聞き届け、その御力を以ってこの地を清め、悪しきを祓う祝福を与えたまえ」


 長い呪文を唱え『聖魔法』でサンクチュアリを発動させる。そして『使徒』の『神託』を使う。


「パリエル」


『はい』


 上手く場を浄化してあるからか、すぐに繋がった。


「パリエル、急ぎ教えてほしいことがある」


『なんでしょう?』


「トレイスの容体、言える範囲で教えて」


『弟君の容体ですか……そうですね、お伝えできることはそう多くないのですが』


「今晩を越せるかは言える?」


 天界の存在である彼等は地上の存在であるトレイスについて多くを教えられない。そこら辺は細かく複雑な縛りがあるのだ。


『明言はできかねます。ですが……あまり期待はなさらない方がよろしいかと』


 明言できないといいつつその表現、つまりそういう事なのだろう。


「ありがと。それと、今からちょっと無茶するから、影響でたらごめん」


『天界においでになるのではないのですか?』


 意図を把握しかねているような戸惑った声でパリエルが訪ねる。


「教会のシスターがうちに来てる。そっちに行けない」


『教会の祭具としての機能ですか……ロゴミアス様の教会ではいくら主でも無理に起動はできませんね』


「ん。だから『技術神』の封印を解く」


『なっ、お、おまちください!』


 予想外の言葉だったらしく、酷く慌てたふためき動転した彼の声が頭に響き渡る。あまりの音量に軽い頭痛がしたほどだ。


「おちつく」


『落ち着いていられませんよ!そのスキルの封印を解いた場合の悪影響は僕たちにも予想がつかないんですよ!?』


「そっちに影響が出るかもしれない。覚悟はしておいて」


『僕たちはこれでも天界の存在ですから多少の影響は自力で修正できますが、主は今肉体と魂が上手く繋がっていないんです!そんな状態で予測のつかないことをするべきではありません!』


「ん、なんとかなる」


『そんな無茶な……』


「大丈夫」


『主、再考を……!』


 パリエルの言葉を遮った俺はそのまま『神託』を停止させた。同時にサンクチュアリも停止させて通信の場を乱す。


「ん、いこう……」


~★~


 ベッドで眠るエレナを尻目に部屋を出た俺は、そっと屋敷を巡り始めた。まずは厨房から始まり、気配と目視で部屋を一つずつ確かめていく。この後にすることを思えば確認を怠ることはできない。なにせこの屋敷の者は1人残らず大切な存在なのだから。


「あら、お嬢様、こんな時間にどうしたんですかー?」


 針子作業をするための部屋を覗くと案の定ステラが1人で何かを縫っていた。生地の質はあまりよくないが形は豪華なドレスだ。練習かデザインの試しだろうか。


「あ、これはこの夏のドレスですよー。まだ見ちゃだめです」


 彼女はにやりと笑って作業台の横に置いてあった埃避けの布で隠してしまった。お披露目までは秘密らしい。


「エレナが私の部屋で寝てる。様子見てて、飲み物もらってくる」


「はーい、いいですよ。でも相変らずエレナちゃんはお嬢様が好きですねー」


 今回に限っては違うが、いつも彼女は俺のベッドに来て眠るので特にいぶかられることもなかった。

 ステラが俺の部屋に行ってくれるのを見送ってから次の部屋に向かう。といっても状況が状況だからか、自室で休んでいる者以外の使用人は談話室に集まって話し込んでいるらしい。

 20分ほどかけて何かしらの作業をしていた者すべてにブラックアウトの魔法をかけ、我が屋敷の人口が談話室とトレイスの部屋に二極化した状態にする。


「ん、これでいい」


「何がこれでいいのですか?」


「……!」


 廊下で一息ついていると談話室の扉を開けてアンナが出てきた。4、5人ほどは眠らさずに談話室へ誘導したので、彼等から俺がまだ起きていると報告されたのだろう。最近のアンナはラナとイザベルに次ぐ使用人達のまとめ役になっていることだし。


「もうお休みになる時間ですよ、お嬢様」


「ん」


 するべきことはもう済んだ。素直に頷いて俺は自室に足を向ける。


「……お嬢様」


「?」


 後ろからかけられた声に振り返る。なにか釘でも刺されるかと思えば、そこには滅多に見ない気弱な表情のアンナがいた。


「お嬢様、明日は……その、少々忙しくなるかもしれません」


 眼鏡の向こうからこちらを窺うキャラメル色の瞳に揺れる感情。それは罪悪感と悲しみ、それから憐憫だろうか。トレイスと顔を合わせたことがなくとも、彼は俺の弟だ。むしろ顔を見ることすらなく弟を亡くすこと自体に悲しみと憐れみを感じているのかもしれない。罪悪感だけはよくわからなかった。


「……ん、おやすみ」


 どう転んでも確かに忙しくはなるだろうから、俺はそうとだけ答えて再び彼女に背を向ける。

 それにしても、自分を大切にしてくれる者がああいう顔をするのは嫌なことだな。ラナたちに眠気や違和感のことを相談しなくてよかった。

 ……しかし、トレイスを救うための選択でミアやパリエルに同じような顔をさせることになるのだ。


「ままならない」


 片方を何とかしようと思えばもう片方がなんともならない。困ったものだ。


「でも……」


 なんとかするしかない。


「お帰りなさーい」


 エレナの眠るベッドの脇、頼んだ通りそこで待ってくれていたステラが小声でそう言った。


「ん」


「あれ、お飲み物は?」


「飲んできた」


「そうですかー」


 納得しているのか疑っているのか、読みづらいいつもの声音で返事が返ってきた。

 わざわざ藪をつつくこともないと俺は何も言わず、彼女の横まで歩いて行って隣でエレナの寝顔を覗き込む。魔法で夢も見ないほど深い眠りについているエレナは安らかな様子だ。


「子供が健やかに育つというのは、とても大変なことなんですねー」


 ふとステラがそんなことを言った。


「……ん」


「あはは、こんなことお嬢様に言う事じゃありませんね」


「ん、いい。本当にそうだから」


「……」


 俺がそんなことを言うとは思っていなかったのか、ステラはしばらくじっと俺を見つめた。


「アンナにお会いになりました?」


「ん」


「その、どうしてましたか?」


「悲しそうだった。それに辛そうだった」


「そうですか……そうですよねー」


 彼女の眉間にしわが寄る。ステラとアンナは子供の頃からの付き合いらしいから、なにか知っているのかもしれない。


「ステラ?」


「彼女にも昔小さな弟がいたんです。明日もし何かあったら……その時はアンナのことを気にしてあげてください」


 裁縫に集中しているときのような口調で頼まれた。

 そうか、罪悪感はトレイスに対してではなかったわけだ。


「ステラにとってアンナは、私にとってのエレナ?」


 彼女の目を見て思ったことを言ってみる。


「あはは、そうかもしれません。でも逆ですよ?」


 苦笑気味に笑って彼女はそう言った。


「逆?」


「私がエレナちゃんで、アンナがお嬢様ですよー」


 首をかしげて見せると彼女はまたにやりと笑う。ただいつものような底抜けの明るさのない。


「私のほうが若いからです」


「それ、アンナには言わない方がいい」


「内緒ですからねー」


「ん」


 最後のやり取りは彼女なりの誤魔化し方、あるいは気の使い方だったのかもしれない。アンナを気遣ってあげてほしいと思って言った言葉、それが本来9歳の、それも主家の娘に教えるようなことではなかったと気づいて。

 手先は器用なくせに不器用なところは、どこか遠い地に残してきた子供たちを思い起こさせた。


「さ、もうお休みしましょう」


「ん……おやすみ」


 立ち上がって彼女と目線が合うようにしてから、無詠唱で魔法をかける。エレナに使ったのと同じ中級闇魔法のブラックアウトだ。

 魔力の切れた魔導具のように力を失うステラをそっと受け止め、ベッドにもたれかけさせる。起きた時に少し体が痛いかもしれないが、それくらいは我慢してもらおう。これからアンナの憂いを晴らしに行くのだから。


「アンナの話、聞く機会はなさそう」


~★~


「……」


 『完全隠蔽』で気配も音も消した俺はそっとトレイスの部屋の前に立った。固く閉じられた扉の向こうにはレメナ爺さんとラナ、ビクター、イザベル、医者のノイゼン先生、そしてシスター・ケニーがいるはずだ。


「ん……始めよう」


 魔力さえ洩らさず遮断する『完全隠蔽』を解除し、脳裏に屋敷中の人の位置を思い浮かべる。そして魔力を一瞬のうちにかき集め、闇属性の魔力糸に紡いでいく。

 急激な魔力の高まりに部屋の中で反応が2つ。レメナ爺さんとシスター・ケニーだろう。


「もう遅い」


 イメージするのはそっと後ろから忍び寄って目を塞ぐ手と、意識がゆっくり落ちていく暗い水面。


「暗がりの声にて眠れ」


 賢者や神官の魔法防御さえも貫くほど濃い魔力の波紋が、極端に切り詰められた詠唱と共に放たれる。魔眼のない俺には見えないが、きっと墨よりも暗い波紋だろう。

闇魔法最上級・ディープナイト

 さっきから連発しているブラックアウトと同じフォールスリープの系譜に連なる最上位魔法。その作用範囲はすさまじく広く、強制力も非常に強い。

 一瞬で屋敷から一切の気配が消えた。それは目の前の扉の向こうも同じで、誰かが倒れる音を最後に何も聞こえなくなる。同時に聞こえるはずのない音、微かな耳鳴りが頭の奥でこだまする。

流石に10歳未満の子供の体で最上級魔法は負担が大きすぎたか……。

 残りの魔力量を気にしながら、一応『聖魔法』で回復を2回ほどかけておいた。


コンコン


 念のために数秒待ってから軽くノックをするが、何の返事も聞こえない。ドアノブをゆっくり回すと扉はまるで自ら誘うように内側へと開いた。死屍累々という言葉がぴったりなほど人が床に転がる室内へと。

 いや、死んでないわけだが。

 転生してから初の最上級魔法にふらつく足を叱咤して、1歩前へ出る。レメナ爺さんが懐から室内用の小さな魔法杖を取り出したまま倒れているのを踏み越え、他の者も避けて部屋の中心へと向かう。

 家具のほとんどが備えられていないだけでやけに広く感じられる部屋。そこにはいくつかの椅子とサイドテーブルに挟まれた大きなベッドが置かれていた。俺やエレナのとほとんど変わらない、天蓋付きで子供なら4人ほど寝れそうな大きな大きなベッドだ。唯一の違いは4つの柱に取りつけられた黒い魔導具の存在か。


「魔力制御の魔導具……あ、魔力の遮蔽が」


 うっかりしていた。トレイスのベッドは魔力を徹底して減らす魔導具で結界のようなものが築かれていたのだった。顔を近づけるまでもなく、それらの魔導具は俺が叩き込んだ強力な魔力の波動に回路を焼き切られて壊れているのがわかる。

 借り物じゃないといいのだが。


「天にまします我らが主、我らの願いを聞き届け、その御力を以ってこの地を清め、悪しきを祓う祝福を与えたまえ」


 とりあえずサンクチュアリを使用して部屋の中を聖域化する。神官でも使徒でもないトレイスには聖属性の魔力は弄れないので、こうして流入する魔力を全て聖属性に変えることで超能力の暴発を抑え込めるはずだ。


「ん」


 そっとトレイスのベッドを覆うレースのカーテンをめくる。


「こんばんは、トレイス」


 大きなベッドの中心、痛々しいほどに小さな少年が横たわっていた。髪は俺と同じ乳白色、目は魔力過多症に特徴的な血赤珊瑚の如き鮮紅色。頬の扱けた顔には酷いクマだけがくっきりと残っている。瞳の色より暗い赤が滲む包帯に身を包み、同じく赤に汚れた上等な毛布を腰まで掛けられている。

 あいさつが聞こえたのか、珊瑚色の瞳が俺に向けられた。


「おねぇちゃん……だれ……?」


 絞り出すようなかすれ声の質問には好奇心や不安といった初対面の相手に子供が抱く感情が一切感じられない。なんの色も含まない、言葉通りの意味しか持たない問いだ。

 俺はその目を見返し、できるだけ優しい声音になるよう気をつけて口を開いた。


「私はアクセラ=ラナ=オルクス。技術神エクセルの第一使徒で……君のお姉ちゃんだよ」


実家の庭に桜が植わっているのですが、3日前に満開だなぁと思っていたらもう花吹雪です。

百人一首にも入っている紀友則の歌に

『久方の 光のどけき 春の日に 静心なく 花の散るらむ』

とありますが、早い満開といい気温といい本当にその通りにだなぁとしみじみ思いますね。


~予告~

にわかに動きだす状況・・・

アクセラは弟の儚い命を繋げるのか!?

次回、紅将軍の凱旋


パリエル 「医療方面の作品に作者が疎いとすぐわかるチョイスですね・・・あとそれリンゴです」

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