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技神聖典―刀と少女と神の抒情詩―  作者: 一響 之
十一章 祝福の編
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十一章 第25話 社交界前夜

 冬の一日はすぐに終わる。目が覚めて、身支度をして、食堂で朝食を食べ、教室へ行き、授業を受けて、帰りの荷物を纏めればもう夕暮れはすぐそこ。なけなしの日差しに角度が付きすぎ、外壁と建物に遮られて石畳の道は影に呑まれる。


「……ふぅ」


 帰路をなんとなくゆっくりとした足取りで歩みながら、鞄を持ったまま両手に息を吹きかける。白い吐息がふわりと指先を温めてくれるが、そこに含まれた湿度がすぐに冷えて一瞬とても冷たくなった。それを紛らわすように指をこすり合わせる。


「……暇だ」


 ぽつりと呟く。明日に迫った社交界のため、エレナは飾りつけの本番に駆り出されている。ネンスはまた来客の対応に追われているし、レイルはマリア指導の下ダンスの練習。アベルもクラス委員として仕事に明け暮れていて、アロッサス姉弟については出会っていない。


「あ、カートリッジボックス」


 わりと夜遅くなるまでエレナは戻らないと聞いているので、商店街の方へふらりと舵を切ったときだった。茂みの裏に拳大の黒い箱が置いてあるのを見つける。そこからは魔物革で包まれた細めのケーブルが幾筋か伸びて、あちこちへ広がっていた。


「私が作った奴だね」


 しみじみと呟く。それは魔道具の一種、カートリッジボックスだ。中にはリオリー商会の魔道具に共通して使用されている動力源、魔力カートリッジがいくつも詰め込まれている。カートリッジから取り出せる純粋な魔力を装置全体に行きわたらせるための均一化処理と伝達制御を司るパーツで、普通にリオリー商会の魔道具には全て組み込まれている。


「ロット番号なしの連番は47、制御クリスタルを逆に取り付けて直したやつだっけ」


 箱の前にしゃがみ込んだ俺は指で軽くソレをつつきながら刻印を読む。学院中に数日かけて施した氷の装飾はそのままだといくら冬場でもすぐに溶けてしまう。なのでカートリッジボックスをあちこちに設置し、ケーブルで繋ぎ合わせることで維持をしているのだ。アイデアはもちろんエレナ。自分の労働力はタダで提供する代わりにリオリー商会への大口依頼を取り付けたわけだ。もちろん生産が追い付かないので半分くらい俺が作らされたが……。


「エレナもやるようになった」


 もう一度軽く箱を突く。今回のような駆け引きというか、商談染みたやり取りを彼女はこなして見せた。手伝ってほしいという話は向こうから持ち込んできたにせよ、いつもの友達相手と学院の大人相手では売り込みの難易度が全然違う。


「さすがビクターの娘」


 彼女はなんだかんだ自分が多少の不利益を被ることに無頓着な傾向がある。押し込めばいい所で押し込まない悪癖も。それは恵まれた環境で不自由なく育って来た人間に特有の心の余裕。それがいつの間にかしっかり利益を引き出してくる(したた)かさを得ている。そこにあの敏腕家宰の面影を見る。

 師匠としてちゃんと目を向けているつもりでも、子供は知らないうちにどんどん成長していく……嬉しいような、寂しいような。


「よいしょ」


 立ち上がる。それからカートリッジボックスを置き去りに俺は商店街へと再び足を向けた。白い息を引き連れて葉の一枚も付いていない木の横を通り抜け、レンガ造りの商店の横から大通りに出る。

 人、多いな。

 社交界は学年別に行われるが、それでも一夜にして学院に通う全ての生徒がめかし込んでパーティーに参加するのだ。必然的に浮かれる。そんな大イベントを明日に控えた今日は、当然同じだけの熱を帯びていた。


「……」


 喫茶店の前でメニューを読んでいる女子の一団やアクセサリショップから出てくる男女、特に何があるわけでもないように道を埋め尽くす大勢。そのほとんどが制服を着ている。そしてその一部が俺を見て目を細める。異物感。視線に込められたそれを感じ取って俺は小さくため息をついた。

 クラスでは大分打ち解けたけど、やっぱりオルクスは異物なんだよな。

 次の春に入学してくる弟のことを思って何とも言えない気分になる。俺ですら煩わしさを越えて少しばかりストレスを感じるのだ、あの繊細な少年がやって行けるのだろうか。


「……過保護、かな」


 雑踏に参加しながら自分で自分の感情に疑問を投げかける。エレナがいつの間にか成長しているように、トレイスも俺が分かっていないだけで強くなっているのかもしれない。そうであってくれればいいのにと思う自分と、それが寂しいと思ってしまう自分。二種類の自分を胸の中に感じながらしばらく人ごみに流された俺は、見慣れた喫茶店を発見して流れから抜け出した。


「……あれ、空いてる」


 他の店と違ってあまり客がいない。まるでぼんやりとしたい俺を待っていてくれたような錯覚に見舞われながら、扉を潜って温かい空気の中に入る。テラス席も冬で閉まっていることだし、いつもの二階の広いテーブルではなく一階のカウンター席に座った。


「いらっしゃいませ」


 いつもの給仕の女性はいないのか、仕事着に身を包んだ老人がカウンターの向こうで俺に微笑む。


「珍しいですね、お嬢様がこちらに来られるのは」


 更に驚いたことに、彼はメニューを差し出しながら話しかけてきた。今まで話したことはないはずである。貴族の子弟相手に極力口を利かないようにする店員も多いのだが、目の前の彼はそうでもないらしい。実に自然体で、町の食堂の主人が客にそうするように、当たり前のように声をかけて来た。


「私のこと、知ってる?」


「夏はテラスに、冬になってからは二階の大テーブルにいつも座られる、見事な白髪のお嬢様。常連様ですから、覚えておりますよ」


「……ん」


 常連。たしかにそう言われるくらい通っているか。


「今日は何にいたしましょう?」


 穏やかな表情の老人に尋ねられて少し考える。


「何か、甘いもの……食べ物と、紅茶」


 メニューをめくりながら呟く。普段はクッキー程度しか甘いものに手を出さない俺だが、好きか嫌いかで言えば好きだ。量はいらないので摘まみやすく残しても持ち帰れるクッキーを選ぶだけで。ただ今日はもうちょっとしっかり甘い物が欲しい気分だった。


「ではクロワッサンデマンドはいかがですか?アーモンドクリームとスライスを乗せて焼いた身にクロワッサンです。お供のお茶は、そうですね……ジンバイの濃い目で」


 カウンターの向こうで老人が言う。ジンバイという茶葉は始めて聞いたが、提案してくれるくらいだから合うのだろう。


「なら、それで」


「はい、では少々お待ちください」


 頷いた老人は厨房へ一度下がり、すぐにポットを持って戻って来た。大きめのティーポット、カップ、それに小さな砂時計が置かれる。その砂が落ち切ったら飲み頃ということだ。それから老人は再び厨房へと引っ込んだ。


「……」


 じっと砂時計を見る。とても小さな砂粒がくびれを通って上から下へと落ちて行く。いくら眺めようと一切変わることなく、淡々と同じペースで落ちて行く。時間は冷酷だ。無情で無慈悲だ。自分が感じている時間の長短は勝手な感想で、世界はたった一つの時間を一切変わらない速度で過ごしているのだ。そのことを砂時計やネンスに貰った懐中時計はよくよく教えてくれる。


「……寒い」


 ティーポットに指を当てる。火傷しない程度に軽く。時間が人間に冷たい事は、自分の人生の砂時計を落ち切るまで使い切った俺だからこそ、しみじみと身に染みていること。それを今さらながらに意識すれば、すっかり長患いになった物思いが頭の中をジワジワと席巻していった。


「私は、結局どちらなのだろう」


 ポットの熱い肌を指でなぞりながら独り言ちる。アクセラとして、少女として、十五歳として、色々と感じたり思ったりすることはある。だが根底にあるのはエクセルという男、大昔に百歳近くまで生きて、まだこうやって現世を彷徨う人間の魂。


「……」


 ……。


「……」


 ……。


「どうぞ、クロワッサンデマンドでございます」


「ん、ありがとう」


 目の前に置かれた皿には焼き目のついたクリームとスライスアーモンド、それに粉砂糖をかけられた小さなクロワッサンが二つのっていた。沈みかけた思考から足を引き抜いてカトラリーを手に取る。


「ひとまず、いただきます」


 ナイフで片方を半分に切り、フォークで引っ掛けて口へ入れる。独特の香りが広がり、強い甘みが舌を喜ばせた。そこへ紅茶を流し込む。ジンバイの特徴らしいスモーキーな匂いとしっかりとした味わいがクリームの甘さを溶かしていく。


「おいしい」


 そのまま俺は何も考えず、黙々と小さな幸せを口へ運んだ。


「ごちそうさま」


 ナイフとフォークを揃えて皿に置く。老人が手慣れた様子でそれを下げ、代わりにミルクとシロップのピッチャーを置いてくれた。


「ジンバイは濃いお茶です。二杯目はこちらのクリームをどうぞ」


 言われて銀のミルクピッチャーを覗き込む。見てもよく分からないが、たしかに香りは牛乳より濃い。


「三杯目はシロップをたっぷりと入れるとよいですよ。濃すぎれば氷でアイスにすることもできますから、お気軽にお申し付けを」


「ここ、そんなに色々してくれるお店だっけ?」


 俺は首を傾げる。


「おや、表の張り紙は見られませんでしたか?実は年明けに閉めることになりまして」


「え……」


「まあ、お嬢様はしばらく見ていなかったですから、知らないのも仕方ないかと」


 言われてみれば、最後に来たのは秋口のアレニカとの会話だろうか。聖刻を体に馴染ませたり、ネンスたちをどつきまわしたり、日が短くなってからやることが多くて来れていなかった。あとあれだ、聖刻の実験でかなり散財したからな。ミスリルのナイフは高い。


「春までに改装して、新学期には別の店になっているはずです」


 張り紙をしてからすっかり客足が遠のいたのだと彼は言った。時の流れがこんなところにも表れるかと、俺は先ほどまで考えていたことを思い出して呻く。


「なるほど」


「まあ、そのおかげでこうして常連様に少し上のサービスができるのですから、結構な事です」


 なんでもない事だと笑いながら戻って行く老人を見送り、俺はありがたくカップの中で二色の液体を混ぜ合わせた。


「……そっか、最後の一年に巡り合ったわけか」


 からからとかき混ぜながら、背もたれに体を預けて天井を見る。板張りの天井だが、二階がある関係でしっかりとした材木が使われている。それを眺めながら、ずっと胸の内でそわそわと落ち着きなく主張している感情に目を向ける。


「私も年貢の納め時、かな」


 あらゆるモノの時は容赦なく進む。進み、変化を促し、成長と老いをもたらす。そして拒む者に時は優しくない。時間と運命だけは、神々でさえ自由にはできないのだ。そう、俺と言う新参の神にも。


 ティゼルは問うた。俺がエレナとどうなりたいか、と。

 アレニカは言った。感情に名前を付けて見ればいい、と。

 だからそうしてみた。そうしてきた。この数週間、ずっとだ。


 これまでの関係に一つの名前を付けることは酷く難しい。長年かけてその複雑な定義が溶け合い、初めには名前のあった感情も今となってはまったく見分けがつかないからだ。未熟な精神を抱えて十五年も共に過ごした俺にとって、エレナは「エレナ」以外に呼び名を持たない存在となっていた。彼女に抱く思いはまるでこんがらがった毛糸の塊だ。そしてあの日以来、取り組んできた作業は暗い部屋で灯りもなしにその塊を解こうとするようなものだった。


 ……まあ、いくつかの名前は取り分けられたが。


 一つは「姉妹」。シンプルだ。俺とエレナはともに生まれた。オルクス伯爵家の娘とその腹心たるマクミレッツ家の娘として。彼女は俺の乳兄弟、つまり貴族にとっては肉親以上に頼りとすべき魂の兄弟だ。

 俺には前世、エクセルとしての記憶がある。だから世の多くの姉や兄よりはるかに優しく、賢く、頼り甲斐のある姉だったと自負している。彼女が言葉を覚えるところから、立つこと、歩くこと、走ること、遊ぶこと、学ぶこと……人としての機能を得ていくところの全てで支え、導いてきた。自慢の妹だ。

 娘や孫に対するような言いぐさだが、アクセラとしての発達はあくまでエレナと同じペースでしか進められない。共に進化してきた。だから「姉妹」だ。


 一つは「師弟」。姉妹として横並びで成長していく中で、俺が彼女に教えてやれることはとても多かった。異国の遊びもしかり、上手な体の動かし方もしかり、動植物の知識や天気の読み方、魔力の使い方、魔法や剣の使い方に至るまで知っている限りのことを授けた。

 将来、自分がどういう道を歩むのか全く分からなかった。だからいずれ道を別つかもしれない彼女にできるだけ多くを与えたかった。魔法使いであるにも関わらず紫伝一刀流と仰紫流刀技術を仕込んだのだってそのためだ。少しでも彼女が豊富な選択肢の中で生きて行けるように。俺が死んでもなおしがみついた技術が、少しでも彼女の血肉となり役に立つように。だから「師弟」だ。


 一つは「相棒」。冒険者としての相棒。学友としての相棒。生活の上での相棒。俺と彼女は共に生き、共に笑い、そして共に死の淵を潜ってきた。

 彼女から教わることも増え、自分の至らなさを痛感させられる場面もでてきた。彼女に救われることだってある。

 正直、メルケ先生とマレシスを失った傷は俺の想像をはるかに超えて深刻なようで、結構打ちひしがれていたんだと思う。今から思えば判断を間違えたなというところが色々とあって、そのたびにエレナは俺を案じ、軌道修正をしてくれた。並び立つ存在。だから「相棒」だ。


「なんだか、色々な関係というか……関係の変遷?」


 整理して並べて行くとそんな風にも見えてくる。そう考えた時、当然の帰結として一つの疑問に行き当たる。


 果たして俺と彼女の関係は「相棒」から変わっていないのだろうか。

 この瞬間の関係性はまだ相棒なのだろうか。


 エレナはいつしか俺に姉妹とも、師弟とも、相棒とも違う特別な感情を持つようになっていた。もっと甘く、もっと危うい感情だ。焦がれるような熱量は日増しに強くなり、告白の夜から更に燃え盛り、段々と彼女の理性と知性を内側から焼き焦がしている。それがすぐ傍にいてよく分かる。


「私は……?」


 翻って私はどうだろうか。彼女のことは好きだ。愛情は確かにある。今更それをどういう立場の、何という愛情なのかと名前付けする気にはどうしてもなれない。必要なことだと言われても気が向かない。アクセラ=ラナ=オルクスはエレナ=ラナ=マクミレッツを深く愛している。それでいいではないか、と。


「でも」


 そう、でもだ。誰も彼もがそれを逃げだと言う。ティゼルも、アティネも、アレニカも、そしてエレナも。きっと(アクセラ)の中の(エクセル)も。

 いったい誰のせいで、こんなにも複雑な感情を抱いていると思っているんだか。

 俺は俺の中の俺に悪態を吐いた。


 ―君たちはお互いを性の対象として見ている―


 ティゼルの言葉が思い浮かぶ。今更な話だ。彼女が成長するにつれてそこに女を感じていたのは事実だった。それを否定するのはいくらなんでも嘘吐きの汚名を免れ得ない。だがどうしても、その事実が悪い事のように感じる。否定したくなる。それは俺が彼女のことを姉妹と思っているからではない。これもまたティゼルに指摘されてようやく認識できたことだが、理由は俺が彼女のことをまだまだ子供だと思っているからのようだ。そして自分が子供ではないと思っているのだ。大人が子供に欲情するのはどう考えてもアウトだ。そんな普通すぎる感性で、この異常すぎる関係性を見ている。


「……」


「……」


 亜麻色のジンバイティーを飲む。少しポットの中で置き過ぎたのか、柔らかなミルクの味を越えて苦味が口に広がった。シロップのピッチャーに指をかけて、そこで止まる。


「……」


「……」


 子供じゃない、な。


 結局シロップは入れずにカップの半分ほども呑み干してから、俺は諦めたように心中で呟いた。


 彼女はもう俺の後をついて回っていた小さなエレナではない。戦闘力を基準に考えるのはどうかとも思うが、彼女は攫われた俺をトワリの居城まで追いかけ、見事一人であの化け物を殺して見せた。俺を救うために人であったモノの命を奪って見せた。そして先日、人の命と向き合う覚悟のなんたるかを示して見せた。それを見てもまだ子供だ、自分の守るべき相手だなどと……どうして言えるだろうか。


 エレナはもう一端の冒険者だ。

 自分の道も、自分の人生も、自分で決めることができる一人の女性なのだ。


 それを意識的に言葉へ落とし込み、自分に認識させる。途端に俺の中でずっとズレたまま積み上がっていた何かがそっと納まるところへ納まったような気がした。


「はぁ……認めるしかないかな」


 俺も、エクセルではない。人類最高峰の戦闘力を持ち、大勢の弟子と大勢のライバルがいた戦士では、もうないのだ。歪な技と魂を持つだけの小娘に過ぎない。できる事は少なく、そして何よりも弱い。悲しいほどに弱い。


「……」


 結論を噛み締める。戦いの場ではなく、こうしてじっくりと考え事をしながら、自分の敗北を噛み締めることになるとは。かつての自分ならば絶対に認めなかっただろう。認めないことで前へ進み、前へ進むことで乗り越え、より強い俺になっていった。けれどそれはまだ見ぬ頂きを目指すチャレンジャーであったからこその心境。頂上から滑落した俺はきっと、また違う方法を探さないといけない。


「今度は私が覚悟を決める番か……あ」


 背もたれから身を起こす。意識を切り替える。それだけのことで俺はもう一つ悟りを得た。自分がなぜこれほど動きづらく感じているのか。エレナのことも、オルクス家のことも、使徒や学院のことも、なぜ我ながらこんなにも行き当たりばったりなのか。空気が高い粘度を持っているように鈍い感覚に捕らわれていたのか。


「ああ、そういうことか……」


 エクセルならどうしたか。エクセルなら何ができるか。エクセルなら……そのことにとらわれ過ぎて、しかし同時にエクセルと同じようにはできないことを理解していた。だからエクセルらしくあろうとして、途中で諦め、その場その場での力推しをしてきた。これはつまり、そういうことだ。


「覚悟が足りてないのは、私の方だったわけだ」


 それならそれで、丁度いいじゃないか。明日は社交界だ。


「ごちそうさま」


 まずは……マリアの所に行こうか。

 残りの苦い紅茶をグイッと呑み干し、俺は席を立つ。


~予告~

そして始まるデビューの夜。

アクセラのもう一つの戦いが幕を開ける。

次回、冬の大社交界

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― 新着の感想 ―
[一言] 確かにアクセラは前世の自分に囚われてる感はあるよね 肉体が変わって無理をして主体がアクセラになった時点でエクセルとはかなり違う人なのにエクセルの人格が強すぎてエクセルから離れきれてないという…
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