八章 第16話 恩と謝礼
俺が別館の逃げ遅れを連れて本館に戻ったのは「燃える斧」の頭目が自壊するように死んだ直後だった。激しい戦闘の痕跡を踏み越えて1階を目指している間にエレナを抱えたレイルと合流。そのまま待避所に引き籠って魔法の維持に尽力した。
戦果としては救出できた従業員が7人、エレナの成長、レイルの実戦経験と当初の予定からすれば上々だ。別館に集められていた略奪品の大袋4つも、8割くらいは無傷で回収できた。ただしピンク髪の魔法使いには片腕を置き土産に逃走されてしまったし、エレナが無力化した双子も俺がたどり着いた頃には一酸化炭素中毒で死亡。頭目をはじめとする改造された盗賊たちも生存者ナシということで最後に心残りができた印象だ。
ちなみに待避所で拘束されていた盗賊は従業員の手で殺害されていた。恐怖ではなく憎悪による犯行、と言っても盗賊を殺すことは罪に問われないのだけど。さすがにこれはエレナに伝えるとショックを受けそうだったので伏せてある。まだ知らなくていいことだろうと、俺が判断したからだ。
とにもかくにも、こうしてパーセルス子爵領を震え上がらせていた凶賊「燃える斧」は主要構成員を失って瓦解した。それでも最初の想像が正しいなら輸送部隊や予備戦力はまだあるだろう。バックにいるピンク髪の組織がこれ以上の支援をするなら、いずれ再発するのは目に見えている。そこら辺はアベルに情報とかを、こう、なんとかしてもらいたいな。
「しかし、そんな大事になってたなんて驚きました」
スプリートを旅立った馬車の中、俺からことの顛末を聞いたアベルは深く頷いて見せる。二台に分かれた馬車の中は俺、エレナ、アベルの3人だ。もう一台にはマリアとレイルが乗っており、今頃少年は地獄を味わっているはずだ。というのも、目が覚めたら恋人が火傷塗れになっていたマリアは朝から大泣きで大変だったんだが、意図的に危険へ突っ込んでいったと知るや否やキレたのだ。
「きっと後ろの馬車の方が大事だけどね」
「ええ、僕も付き合いが長いですけど、マリアさんがあんなに怒ったところは始めて見ました」
彼女が一番腹に据えかねているのは自分がその間、魔法で眠らされていたことだ。エレナが疲労困憊で二度寝しているので、矢面には俺とレイルが最初立たされていた。今の状況は偏に俺が逃げた結果としか言えない。
すまんな、レイル。でも究極的にはお前と彼女の問題だからさ、うん。
「父には全て包み隠さず報告して構いませんか?」
「いいけど、滅茶苦茶怒られない?」
「怒られますね、確実に。立場上、酷薄に見えることもある人ですけど……あれで子供思いな面がある人ですから」
ちょっと頬を染めて自らの父を褒めるアベル。俺はそれをみて微笑ましい気持ちに浸りながら、トライラント伯爵として彼がどう動くかを想像していた。きっとこの件について独自に調べるだろうけど、その情報をくれることはないと思う。でもこちらの力を見せることにはなった。どうせならアベルの情報収集がハデに見えるよう色付けしておいた方が、後々俺にとってもいいだろう。
だよな、たぶん。
本当に考えるのは苦手なので、もしかしたら自分でかつての自分の思惑と矛盾した行動を取っているかもしれない。それが軌道修正できるものであればそれでもいいのだが、どうだろうか。前世では三日で矛盾する男とナズナに怒られていたんだが。
「ん、んん……」
「おや、お目覚めのようですよ」
俺の膝を枕にぐっすり眠っていたエレナがもぞもぞと身動ぎをする。しばらくそのまま猫のようにのたくる。くすぐったいので止めてほしいんだが、何回言っても止める気はない様子。
「起きて、エレナ」
「うむぅ……おはよう、あくしぇらちゃん」
蕩けたような呂律で遅すぎる挨拶をして、目をごしごしと擦りながら体を起こす。ぐしゃぐしゃになった髪の毛を手で梳いて上げながら、早々に酔い止めと水を与えた。
「あー、眠かったぁ」
大あくびをしながら手足を伸ばす様は本当に猫のようだ。
「おはようございます、エレナさん」
「え、あ、アベルくん!?」
挨拶を返されてようやく迎えに座る少年に気が付いたエレナは、顔を真っ赤に染めて慌てる。そういえば馬車分けの時点ですでに寝ていたんだったか。
「レイルはマリアのご機嫌取り」
「ああ、なるほどね」
ひとしきり赤髪の友人に黙祷を捧げた俺たちは、一度居住まいを正して顔を合わせた。アベルが空気を読んで息を殺す。途端に馬車の中はピリッとした空気に満たされる。
「エレナ、何か掴めた?」
あの現場へ潜ったそもそもの理由。エレナに自らの覚悟を確認させ、その覚悟が馴染む物かどうかを見極めさせる。本物の鉄火場を経て何を感じたかをこそ、俺は知りたい。ご褒美はその後で。
「うん、色々わかったよ」
彼女は落ち着いた顔で頷いた。
「順番に教えて」
先を促すと少し考えるそぶりを見せた後、エレナはゆっくりと言葉を紡いでいく。
「あくまで結論じゃないよ?覚悟を決めるために外堀を埋めてるっていうか、途中経過みたいな感じだから」
「ん、それで大丈夫」
頷いて先を促す。最初から今回は最終結論に至るための経験じゃない。言うなれば長い長い道のりの先へ至るための、いくつかある野営地の一つ。
「殺される恐怖は、意外と感じなかったかな。元々あんまり感じてないから、進歩かどうかはわからないけど」
エレナが言うには死の恐怖を感じたのは魔獣の時と不死王の時だけだそうだ。前者は圧倒的な殺意の権化を前にして身がすくむ思いをした。後者は即死魔法を叩きこまれて強制的に恐怖を感じさせられた。それ以外のときは身の危険程度のことは感じても、殺される恐怖というほど重いモノはなかったらしい。
「アクセラちゃんがいるからだと思う。あんまりよくないことかもしれないけど」
俺がいれば大抵の状況で死ぬことはない。その経験から導き出された結論が彼女の意思とは無関係に死の恐怖を和らげているのだ。それが悪い事だとは一概に言えないが、直せる方法があるなら直した方がいいかもしれない。
「殺す恐怖も、実はあんまりなかったかな」
「意外」
「だよね」
彼女自身が驚いていると苦笑する。
「色々見てさ、分かったんだ。わたしが怖かったのは殺すことじゃなくて、殺すことを直視することだったんじゃないかって。いや、もちろん殺すこと自体は今でも凄く怖いよ?怖いけどさ……」
言葉遊びのような独白。しかしそれはある意味で問題の核心をうまく突いている言い方かもしれない。人は基本的に殺人への恐怖を抱くものだ。文明的で理性的、知性的な人間ほどその壁は高く厚い。しかしその恐怖の構成とでもいおうか、殺人のどこに忌避感を覚えるかは千差万別なのだ。
「相手を自分が殺すってことを直視したくなくて、目を逸らしたいがために他のものまで一緒くたに視界から追い出してた」
「なるほど?」
「前の私は殺すことが嫌だから、手足を切ったり骨が折れるたりするような魔法は選択肢からいつの間にか外してたんだ。加減を失敗すれば死ぬかもしれないから。あ、試合みたいに手加減が前提じゃないときね」
「ん」
「だから衝撃で意識を奪うとか束縛するとかしか、対人戦の魔法のオプションがなくて」
たしかにエレナは基本的に打撃の魔法を使ってノックアウトさせようとする。それは効く相手が限られる、かなり厳しいチョイスだ。というのも、ボール系の魔法はスキルや鍛錬で十分耐えられる程度の攻撃力しかない。これより強い魔法となると今度は死ぬ確率がポンと跳ね上がる。
殺し合いの中での加減を教えてこなかった俺のミスも大きいな、これは。
ただ彼女が積極的に打撃を選ぶようになったのも、獣や魔物に対して使ってきた経験から人に対して加減できないと悟ったからだろう。それがどれだけ意図的かは分からないが、心のどこかで壁の存在を感じてはいたはずだ。
「でもメルケ先生と」
「エレナさん」
「……メルケとアクセラちゃんの決闘を見て、命を落とすギリギリまでをお互い手札に戦ってるのを見て、ちゃんと直視してみようと思ったんだ」
まさしく俺が伝えたかった「死ぬ覚悟」「殺す覚悟」の神髄だ。それをエレナがあの戦いから学んでくれたのなら、楽しくて悲しかったあの決闘はより大きな意味を持つことになる。教育者としての在り方には真剣だったメルケ先生も浮かばれるだろう。
「どうだった?」
「自分がどれだけ広い範囲を見てなかったか、一周回って呆れるしかなかった」
窓の外に視線を向けるエレナ。湿地帯を離れて草原をゆく馬車は、どこまでも広がる緑と青の地平線を見せてくれる。
「ちゃんと手を止めるべきラインを見極めれば使える魔法は一杯あったんだね。あと恐れてたほど手加減は難しくなかった」
「ん、そう」
それはそうだと思う。エレナは器用だから。
「まだいざというときに殺すまでできるかは分からないけど、簡単にミスして命を落としたりしないくらいには視界が開けたかなって」
昨日までの事件と経験で気づけたコトが、今回の戦いで確かに結実した。まだ小さな実だとしても、実った結果に違いはない。
大きな進歩だよ、エレナ。
「あ、それとね、わたしって戦闘の間にずーっと考えて戦ってたんだけど、あれは駄目だなって思った」
「というと?」
「わたし、相手を観察してから戦術を決めないと戦えないんだけど、そのときに考えなくてもいい事を色々考えながら戦ってるなって。それも二人の決闘を見て思ったんだけどね」
俺もメルケ先生も、言われなくとも考えずに戦っていることは明白だ。厳密には戦闘の運びについては考えている。ただ戦闘の前後や互いの意図は一度剣を抜けば後回しだ。考えている余裕がそもそもない。それに他所事を胸に剣を交えるのは不誠実だ。
もちろん前衛と後衛じゃそこら辺が違っていいと思うけどね。
「わたしもそうするべきだなって思って、今回はそうしてみたんだ。持ってる手札と状況をどう動かすかだけ考えて、その後の事は戦う前か後にしようって」
「ん、いいと思う」
「うん、わたしも実際にやってみてよかったと思う。いつもより色々な魔法を上手く運用できた気がする」
これはエレナも戦闘狂の素質があるかもしれないな。言ったら本人は嫌がるだろうから黙っておくけど。なんにせよひとしきりエレナの話を聞いて得心のいった俺はアベルに視線を向ける。彼は敏感にその合図を理解して殺していた息を吸い直した。
「いやはや、物騒なお話ですね」
「冒険者として生きるなら、しかたない。それより例の物をお願いできる?」
「ええ、もちろんですよ」
「?」
首を傾げるエレナ。その視線は自然とアベルの隣の座席に置かれている細長い包みに向けられる。実際、俺たちが言及しているのはその布に包まれた物体についてだ。上等な赤いサテンを解くと、中には香り高い木の箱が納められていた。
「さあ、どうぞ」
差し出される木箱を受け取るエレナ。俺の方を見るので頷いて上げると、彼女は慎重な手付きで留め金を外して蓋を開いて行く。
「わぁ!」
中身を見てエレナは歓声を上げた。それもそのはず、木箱に入っていたのは古風な造りの魔導銃だったのだから。ストックは焦げ茶色の木製、銃身は白く塗られた金属製。弾丸や弾倉を入れる場所はなく、代わりに銃身の横側がスライドして大きく開くようになっている。
「結構小さいんだね?あ、でも重いや……このスライドするところはロッドの交換口だよね」
さっそく取り出してためつすがめつ、大まかな構造から細部に至るまでを観察し始めるエレナ。全長80センチほどの木と金属でできた魔道具はもはや少女の玩具だった。
「ロッドは箱の中に3種類入っていますよ」
「えっと、これだね?わー、綺麗!」
箱から新しく取り出した一本の棒を光に透かせば、純度の高い結晶体は赤い輝きを車内に散らす。魔導銃の触媒であり魔法が記録されている部分でもあるロッドは30センチもある巨大なクリスタル製。この場合火属性の魔法がなにか刻まれているのだろう。
「あ、この突き出した取手はロッドを出し入れするときに使うんだ。面白いなあ」
たったこれだけの時間で一通りの観察を終えて、彼女はそっと未練気に銃を箱へしまう。
「えっと、その……なんでこれ、わたしに?」
それが自分に贈られた物であることは察している様子。だからこそとりあえずひとはしゃぎしてネジ穴まで覗き込んでいたのだ。しかし興奮がわずかにでも収まってくると次に持ちあがる疑問、それが「何故」だ。
「今回の件、本当なら皆さんは火が消える前に人質の安全を確保してから脱出する予定でしたよね」
「うん、そうだね」
「でも頭目が倒れた結果、制御不能の炎が全てを焼き尽くすまでシェルター化した部屋から出られなかった」
「うん」
例の斧は頭目の自壊に巻き込まれて消えたそうだ。そんなことになるなら『技術者「刀鍛冶」』で金属武具への『目利き』を使えばよかった。いつも使わないせいですっかり忘れていた。
「結果的に火消しや騎士に事情聴取までされ、最後は僕が代官に自分が雇った冒険者だと嘘を言って信じ込ませましたよね」
「あ、うん。アクセラちゃんから教えてもらったよ。ありがとう」
その時エレナは魔力枯渇で気を失っていたので知りようもないが、結構な大騒ぎに巻き込まれてしまったのだ。なんとかアベルが自分の独断専行ということでそれ以上の詮索をさせないよう色々なハッタリをかました。
「いいんですよ。ただ問題が2つありましてね……1つ目の僕が独断専行したことは、越権行為スレスレでしたがなんとかなりました」
他領で戦力を動かし、現地の公的勢力より先に立ち回るのは明らかな越権行為だ。これがスレスレ扱いになったのはアベルがまだ成人していないこと、なにかと正義感や若さで行動してしまうことに定評のある夏休みの学院生であったこと、そして現地の権力が手を出せない大火事から何人もの生存者を救い出したこと。もう一つオマケに「燃える斧」の幹部の外見情報を手に入れたことか。頭目やそのほか無力化した賊は暴走する炎で身元がわからないほど燃えてしまったので功績に入っていない。
「もう一つの問題というのは、代官が僕に大きな借りを作ってしまったということです」
アベルが意図的に俺たちを送り込んだとなると、代官は領民を救出してもらった礼をしなくてはいけなくなる。加えて詮索させないための一手として、代官が領主へ報告をする際に脚色していいと伝えたのだ。具体的には代官が自ら恥を忍んで頭を下げ、逗留していたアベルに連れている屈強な冒険者と魔法使いを貸してくれるよう交渉したと報告していいと。美談にした方が領主の覚えもいいだろうという政治的なカードだ。
「買った恩が大きすぎて、後々を考えた時に怖くなったんでしょうね。しきりにお礼をしたいと言い寄られまして……エレナさんにはその魔導銃を貰ってきたんです」
昼間の会話を覚えていたアベルが実用的な魔導銃がないかと尋ねたところ、やはりスプリートともなれば扱っている店があったそうで。態々あんな豪華な箱に納めて今朝、代官の使いが届けてくれた。
「えっと、アクセラちゃんとレイルくんは?」
「レイルは失った武具一式を買い直せるだけのお金を貰いました。不本意そうでしたけどね」
胃が痛そうな顔で応えるアベルに俺は堪えきれず笑ってしまう。
あれは本当に面白かった。
「騎士の家に生まれた以上、国のどこであれユーレントハイムの臣民が困っているなら助けるのが義務であり使命。だからスプリートの民のお金を受け取るなんてできない。最初にお礼の話をされたときにレイルはそう言って断った」
「レイルくんらしいけど……代官さんが困るよね?」
まさにその通り。為政者の側からすれば「じゃあお前は褒美なしで」なんて口が裂けても言えない。演説が護衛の騎士たちに感銘を与えてしまったことも、代官から逃げ道を奪ってしまったんだと思う。
「最終的に代官が自腹を切って受け取らせました。あれは正直申し訳なかったです」
アベルが肩を落とすのも仕方ない事だ。なにせ街の危難に立ち向かった人間に出すお金というのは、きちんと税収を財源としていいと法律に決まっているのだ。レイルの言い分も分かるし、騎士たちが感銘をうけたように騎士道からすれば道理なのかもしれない。ただ上に立つ者にとっては看過できない事態で、結局代官は手痛い出費を被ったことになる。
「アクセラさんも大概でしたけどね!?」
人ごとのように解説する俺にアベルが食ってかかる。それは俺も、レイルに便乗して報奨金はいらないと宣言したからだ。あの時のアベルと代官の顔色といったら、もう真っ青だった。
「ほら、レイルのあとで貴族の娘の私が受け取るのは、ちょっと難しいでしょ?」
「そこじゃないですよ!その後、アクセラさん自分の家名を明かしてこれでもかと美辞麗句並べたてましたよね!?」
さあ、覚えてないな。
「ああ、報告にオルクス家の好印象をねじ込んだんだね」
「そんなつもりはない。私は純粋な気持ちで人命救助にあたった。そのこと、胸を張って主張しただけ」
エレナ、視線を胸に向けない。
さすがに可哀想なので、武具を失っていないことを理由にお金は最後まで固辞した。
「まあ、アクセラさんのお家事情を鑑みれば一番の報酬かもしれませんけどね」
これでパーセルス子爵には少なくとも俺個人についていい印象を持ってもらえるはず。そうすれば何かしらの形でビクターの仕事が楽になるかもしれない。これも一つの親孝行だと思ってもらいたいものだ。
「で、話を戻しますと、そういうわけで入手した物ですからその魔導銃はエレナさんの所有物です」
「使ってもいい、解体してもいい、分析してから人にあげてもいい」
その言葉にエレナはみるみる笑顔になる。新しい研究材料を得たこともそうだろうが、なにより俺が昨日提案したアレニカ用の魔導銃作成の足掛かりとなるからという理由が大きくあるはず。その証拠に彼女は俺をじっと見つめる。期待に満ち満ちた目で。
「ん、魔導銃の基礎構造なら教えてあげる」
「やった!」
とりあえずオルクス家に付くまでは手元の魔導銃を使って使い方のレクチャーをしよう。それからは軽い歴史と運用メソッド、解体できる程度の知識を覚えてもらう。実際にコレをバラすか別の銃を用意するかはおいておいて、解体が終わったら今度は組み上げながら部品の関係なんかを教えていきたい。
「夏休み中に実用に耐える銃が作れるかは微妙。でもとりあえず試作品までは組みたい」
「それはまたとんでもないペースですね」
「エレナならできる。ね?」
「うん!」
何の躊躇いもなく頷く姿には一切に気負いや過信はない、彼女にとってその目標は可もなく不可もなくといったレベルなのだから当然だ。あとはそこから実用レベルまでの隔たりがどれだけ出てくるか。こればかりは開発段階にならないと分からない部分だな。
「頑張ってみて」
「楽しみだね!」
確かに楽しみだ。エクセララで今、どれだけ魔導銃の技術が進んでいるかは俺も把握してない。50年前の研究内容を得たエレナという天才がどれだけの代物を発明してみせるのか。これが楽しみでなければ技術神など名乗れない。
三章の終わりまでがんばって「・・・」を「……」に変換しました!
これで皆さんもだいぶ読みやすくなったことでしょう。
そこから先は、また時間が合ったら変更しますね。
それとそれと!ありがたいことに評価点が十数点ワっと増えました。
ありがとうございます、これでまだまだ頑張れます。
本当に、本当に感謝ですm(__)m
という報告をした直後にあれなんですが、6月10日の水曜日に愛犬もずくが死去いたしました。
25年の人生、19年と半も連れ添ってくれた愛しいモフモフとの別れにかなりダメージを受けています。
別室で猫がたてる物音が玄関で寝ていた頃の物音を想起させます。
玄関脇のお手洗いに行く際、ついもぬけの殻の靴脱ぎ場を覗き込んでしまいます。
帰宅して扉を開けるとつい大股で踏み越えるような入り方をしてしまいます。
こんな具合で小説がまったく書けないので、また章末にお休みをいただくやもしれません。
なにとぞ、気長にお待ちくださいまし。まだ先ですが。
~予告~
多くの課題と成果を携えて、
半年ぶりの故郷へと舞い戻る。
次回、帰省




