転移と焦燥
処女作なのでお手柔らかによろしくお願いします!
急に意識が体に戻ってくる感覚を経た後に、ゆっくりと目を開く。
「ここは・・・」
少し霞んだ視界に映っているのは鬱蒼とした木が生い茂っている場所だった
寝ぼけているのかと思い目をこすってもう一度目よく見てみるが、やはり状況は変わらなかった。
「木が生い茂ってるって事は、森か・・・?」
そう思いより詳しく自分の状況を判断するためにあわててあたりを見渡す。
頭上には紺色の空虚な空が広がり、暗がりな空にはぼんやりとした月明かりが見えていた。しかし、そんな幻想的な風景にそぐわない黒い大きな塊が飛んでいることに気づいた・・・
最初は飛行機かヘリだと思っていたが。黒いシルエットは翼と思われる部分を躍動的に動かしている・・・その時点で人工物でないことは分かったが、明らかに俺のしっている鳥なんかじゃない。あまりにも禍々しすぎる。
それにまわりの植物だって、見たことのないものばかりだ。単に俺が見たことないだけならいいが、そもそもこんな植物が存在するのかすら危ういものまである。
「くそっ....!いったいなんだってんだ!?」
こんな状況に追いやられた俺の頭はめまぐるしく回転をはじめた。
自分の持っている知識や記憶を全てを引っ張り出し状況を整理しようと試みるが、出た答えは「わからない」という言葉だけだった。あまりの自分の無力さに腹が立つ。
しかし、そこまで考えた俺の頭の中には
いや、しかしそんなことあってたまるものか。何度か小説やアニメで見たことはあるが...これは。
「異世界転生?」
口に出してみるといよいよ確信に変わりそうだった。そうに違いない、つまり・・・これは俺に仕掛けられた大がかりな『茶番』なのだ
「ははっ・・・なんだ、そういうことだったのかよ。」
わかってしまえばもう驚きはしない、もうじきどこからかテレビカメラと「ドッキリ大成功」という看板を持ったおかしな集団が残念そうな顔で出てくることだろう。
そう期待ししばらくの間立ち尽くしていたが、そんな俺の期待を裏切るように静寂に包まれた森に耳をつんざくような悲鳴が鳴り響いた。
「きゃぁぁぁぁぁぁっ!!!」
女の子のものと思われる悲鳴は、大きさからここからそう遠くない場所から聞こえたことが分かった。
「悲鳴・・・・!?」
ここまで来て俺は自分の愚かさに気づいた、正気に戻った俺はこうなった原因を思い出すために爪を頭に食い込ませる。
(現実逃避なんてしている場合じゃないだろうが!!!思い出せ・・・!こうなった原因を!!!)
頭に浮かぶのは今まで自分が過ごしてきた当たり障りのない平穏そのものな人生の場面のみだ。しかし、かならずこの現状を紐解くカギになる記憶があるはずだ。
「確か俺は・・・テスト対策の為に、アイツ・・・彩に勉強を教えてもらってて・・・それから・・・」
とりあえず最近の記憶を引っ張り出し自分に言い聞かせるように声に出した。
おもいだそうとすればするほど、頭の中の霧が晴れていき記憶が鮮明になる。
「そうだ・・・休憩中に好奇心でサヤと親父の部屋に忍び込んで・・・そこで変な本と陣みたいなものを見つけて・・・気が付けばここにいた・・・」
ここまで思い出したとき、ある恐怖が俺の体を這いずり始めた。
「サヤ・・・サヤはどうなった・・・!?」
(もし、もしもだ・・・アイツもここにきてしまっていて、さっきのような怪物に襲われていたのだとしたら、今の悲鳴は・・・!)
考えたくもない最悪なシナリオが頭をよぎるがそれを無理やり振り払うように走り出す。
「サヤッ・・・・・!!!」
俺は、急かされるように必死にサヤの名前を叫びながら森の中を走った。
石や砂で靴下のみの足が傷だらけになっているのだろうが今の俺にはそれを気にしている余裕すらなかった。
コメントなどで改善点などがありましたらドンドン言っていただければ嬉しいです。