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1つの果実

作者: 赤神徹

この世界は真っ白だった。何もなく、ただ永遠と広がる虚無の空間に、我々は毎日欠伸をする日々を過ごしていた。

そんな日時や季節の変わり目のない空間に、真っ赤な林檎が置いてあり、興味本意で近づいてみる。周りを見渡しても、それの他には色の憑いた物は見当たらなかった。

我々天使には始めて見るものであり、どうすれば良いのかさえ見当がつかない。だが、不思議と林檎に意識が吸い込まれて行くかのように、無意識で林檎を口の中へと運んでしまっていた。そして始めて物を噛み、始めて味を感じた。

それは想像を絶する物であり、もっと欲しいという欲望が沸いてきた。

そう、この時から世界は一変してしまった。

突然地面が揺らぎ始め、真っ白な世界は色んな色へと変化しつつあった。

今まで『心』を持っていなかった天使は、林檎を食べたことにより、それを得る事が出来た。

だがそれは何かを失うという意味でもあった。

揺れていた地面は落ち着きを取り戻し、制止したかと思えば、今度はガラスのように割れ始めた。天使は抗う術がなく、ただ目をつむって落ちていくしかなかった。それと同時に、両肩の下から生えていた美しくかつミニマムな白翼の右翼は無惨にも燃えていき、礎となってた骨だけが残った。残りの左翼は、無垢なる白とは裏腹に、漆黒の翼へとなってしまった。

天界から抜け出し、人間界へと堕ちてしまった天使は、神を酷く憎むようになった。


何故私の目の前に林檎を置いたのか、それは神様からのプレゼント?いや、違う。だって意地悪じゃないか、林檎を食べなければこんなことにはならなかった。


いつか神を討つべく、まずは翼を戻す事が重要だった。しかし、答えは簡単。感情を捨てれば良いのだ、そうすれば新しい翼も生え、黒き翼は白き翼へと戻るであろうと考えがついた。

だが復讐に囚われていた天使は堕天使となり、感情を捨てることはほぼ皆無に等しかった。

だが、よく考えみれば今の自分の感情は復讐心の闇だけであり、1つしかなかった。

私は思いついた。もう1つの感情を手にいれることが出来たのなら、翼は生えてくるのではと。

そうだ、『愛』をこの世界で学ぼう。人間は愛で満ち溢れている。


私はここから始まるー。

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