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実験者2人(後編)

ついに模擬戦が開始される。

先手を打ったのは相内だがタカサカも素早い対応で応戦するが...。

「システム異常なし、各機能も標準的な数値を維持しています。」type-0の相内はそうオペレーターに報告し、地面の砂を巻き上げながら模擬戦の会場のポイントへ移動していた。「了解、目標地点まであともうすぐです。目標地点についたらしばらく待機願いますね。」オペレーターの岡島綾の連携、やりとりも円滑に進んでいる。状況は整っている。相内は鋼鉄の鎧の中で「準備体操は終わったぜ。」そう低くつぶやいた。



 「紫電、電動可動式ローラー稼働率標準水準。ん?いや、異常回転率!?」「なんだと!?」タカサカは裏返った声でオペレータの橘香織の状況報告に瞬時に応答するが、「いや、見間違いだった。ごめんなさい。」と遮るようにこれまた瞬時に言葉が返ってくる。 連携確認のときとは逆に次はタカサカが片手で頭を抱えて呆れる。「おいおい、仕事の時は近眼用のメガネをかけてるんじゃなかったのか?これじゃあ逆効果だな。」メガネをかけていない時でさえ生真面目な顔立ちをしているのに、メガネをかけたらもっとまじめに見える。しかしドジ。実戦に近い形での連携は初めてなためこのことに気付かなかったタカサカは相当なギャップを感じたうえでの少し厳しい言葉だ。外も真面目で中身も真面目な彼女は「うるさいわね!」と言い返すことはできなかった。



 「模擬戦開始まであと約1分です」「了解」模擬戦の開始はすぐ目の前まで近づいていた。手に持った、模擬戦用の試験弾球が入ったパワードアーマー用アサルトライフルを持つ手に力が入る。「開始30秒前」もう一つの武器に注目する。左手の前腕部には懐中電灯のような形をしている”粒子溶断刀”所謂レーザーブレードといったところの武器が刀身を出現させた時にほかの部位に当たらないように搭載されているが今回は出力を大幅に下げての運用となるのと、大気の状態によって威力が変化する武器なゆえ綾からも「申し訳程度に思ってください」といわれるあたり出番はないだろう。

 「開始10秒前」綾のカウントダウンがはじまる。膝を軽く曲げてすぐに移動できる体制をつくる。さぁ、もうすぐ本番に入る。

 待ちわびたこの時が。

「開始!」綾が一際大きな声で開始を宣言する。まずは相手の出方を見るため、身を隠すことのできるコンテナが配置してある北西部まで移動しようと決めた。「北西部のコンテナが配置されている個所はここから800メートル先のやく83:80ポイントです。 念のため赤外線モードによる周囲の確認をお願いします」「抜かりなく…了解! 」パワードアーマーのホバー移動の出力を上げる。このtype-0の最高速度は65km/h現在それほどは出していないが、800mほどの距離ならばすぐに着いてしまう。ほどなくしてコンテナが配置されているポイントに着く。まばらに配置されているコンテナに向かい、赤外線モードを入れる。「赤外線モードオン」視界が虹色に変化する。もし敵機がいるならば人型の形をした熱源があるはずだが、それらしきものは見当たらない。

 いったん警戒を解いた相内はふと東側のフィールドに目を移す。「あれは…」もう一度赤外線モードをオンにして確かめる。人型の熱源体。つまり敵機。とっさに近くのコンテナに身をひそめる。まだ距離は十分にある。「好機です。先に手を打ちましょう。」「敵機との距離は?」「約700mと推定します」綾との情報をやり取りしながら攻撃の準備に移る。一度エアーで浮かせてから、コンテナの陰からクイックステップで相手に姿を現す。Gによる負担が来るがこの勢いを失わせない。「これで! 」アサルトライフルのトリガーを思いっきりにぎる。その瞬間重心からいつもの弾と比べるとかなり軽い試験弾が高速で連射される。しかし、敵の対応も早い。

 どうやら相内がコンテナから出てきた瞬間にクイックステップをかけて、射線上から回避したらしい。「さすが! 」相手への賛辞を送りながらも同時に銃弾も容赦なく送り込む。敵機の紫電はローラーダッシュとクイックステップによりかろうじて回避していくが、体制を立て直せていない。「敵機に命中。損傷は軽微です」少しは相手に打撃を与えられたが、未だかすり傷程度だ。まだどちらにそうはいが転んでもおかしくない。

 そう胸に刻み追撃を開始する。前方に思いっきりクイックステップをかけて相手との距離を詰める相手はそれを嫌ってかなるべく遠ざかるような挙動をとりtype-0との距離を保つ「くそっ! 」距離を詰めようと近づくがそのたびに相手も対応して距離を保つ。いや、距離を保ちながらも回り込むような動きをしている。回り込んだ先にあったのはさっき相内が奇襲に使っていたコンテナ群、敵機紫電はコンテナをバックにマシンガンにより牽制をかけてくる。「コンテナの陰に入って体制を立て直すつもりか」無論そうさせるつもりはない。相内はすぐに後を追いに出力をあげた。


 

 コンテナ群の中で体制を立て直すタカサカはあの奇襲で相当冷や汗をかいたようだ。いやな寒さが体中を支配する。「まさか奇襲しかけてくるとはあいつもやるようになったな~」「感心してる場合じゃないでしょ!そりゃあ私も見つけられなかったのは悪かったけど。」まるで小さい時から育ててきた生き物の成長を実感するようなのんきな発言に突っ込みを入れるが、自分もみすみす奇襲を許してしまたことに負い目があるようだ。「まぁ、次につなげてくれ」そう言った瞬間にクイックステップをかける。「くそ、こっちだって逃げてんのにもう追いついたか! 」「type-0の小回りの良さは紫電より上だわ」「どうりでコンテナ群を早く突破できるって」 反撃をしようともコンテナが邪魔でらちが明かない。どうすれば相手の追撃をとめることができるか?「とりあえず広い所で勝負しましょう。ここじゃあらちが明かない! 」返事を返す暇もなくコンテナ群の間を抜ける。コンテナ群の北東側、ポイントは73:90だったことが幸いしてすぐにコンテナ群を抜けることができた。

 「来いよ…」低く呟き勢いよくコンテナ群から出てきたtype-0を狙い撃ちにする。「当たっているは! 」香織の声が弾の行方を現す。「損傷はあまり与えていないけど、アサルトライフルへのダメージが大きいわ! 」「そりゃラッキー、かな? 」見たところ武器はアサルトライフルと左腕のレーザーブレードのみ、アサルトライフルさへ破壊してしまえば懐に潜られなければこちらの勝利だ。「こっちにはサブマシンガンと同じようにレーザーブレードがある! 」マシンガンの銃弾の目を容赦なく浴びせる、相手もアサルトライフルで反撃してくる。想定以上の反撃だ。

 被弾も最小限で抑えている。「しかし! 」弾が一次なくなったのか相手が打ち方をやめた瞬間に、左腕で腰にマウントしてあるサブマシンガンを取り出し、マシンガン、サブマシンガンとダブルトリガーで銃弾を撃ち込む。もちろんパワードアーマーだからこそできる技だ。「これでおわりだ! 」砂煙が上がってよく見えないが相手の反撃はうかがえない。一通りの銃弾を打ち終え距離を置く「一応弾の補充はしておくか」しかし太ももに装備されているはずの試験弾の入った補充パックは姿を消していた。「まって、まだ終わっていないわ! 」

 刹那タカサカはペーパーの内容を思い出す。模擬戦でどちらかが戦闘不能になった場合はPAパワードアーマーの追い打ちを禁止するためコントロール権がはく奪されること記載されていた。

 「まだ動ける!? 」奴の装甲は”0”になっていなかった。

 



 


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