第四話
遅くなりました。
「それでは次に、ゲーム内で必要な説明をさせていただきます。」
名前を決めるのに大分時間はかかったものの、その後はポンポンと決まり、ようやくゲームの説明が始まるらしい。
まぁ、時間がかかったのは俺のせいなんだが・・・
「まず初めに、メニューなどについての説明をさせていただきます。『オープンメニュー』と大きな声で唱えてみてください。」
どうやら一番最初はRPGでお馴染みのメニューについての説明らしい。
俺は言われた通り、大きな声で言った。
「オープンメニュー。」
そう唱えた瞬間、俺の目の前に曇ったガラスのようなウィンドウが現れた。
大きさは目測で、縦60センチ、横1メートルと言った所だろうか。
ウィンドウには上からステータス、インベントリ、ログアウトの三つが、左から右へ階段上に配置され、右上には現時刻だろうか、10時23分と表示されている。
「開けましたね、それでは続いてステータスについての説明になります。ウィンドウ上のステータスの部分をタッチしてください。」
ステータスの部分をタッチする。するとタッチした部分がピコンと鳴りながら一瞬光り、左にスライドしていく。
すると今度はウィンドウ上に新たな項目が現れていく。
[ コウ ] Lv 1
〈見習い魔法使い〉
ステータス
HP 100
MP 100
ATK 10
DEF 10
INT 10
DEX 10
AGI 10
LUC 10
装備品
・旅人の服
・旅人のズボン
・古い靴
・黒いローブ
スキル
・マナブラスト
ステータス画面を開いてみたが、ステータスはまぁ、予想はついていた。
装備の方も初期装備らしく、ステータスアップ等はなく、初心者装備と言えるだろう。
一つ予想外なのはスキルがもう一つ、使えるという点だろうか。
他のゲームでそうだったのだが、始まってすぐに魔法が使えるのは分かるが、最初から覚えているのには何か理由があるのだろうか?
「ステータス画面では各プレイヤーのキャラネームや、現在のレベル、称号、ステータス、使用できるスキルが表示されます。ステータスについて詳しい説明が見たい場合は、各ステータスの部分を再度タッチして頂ければ見れますので試してみてください。」
そう言われて、他のゲームと違う所があるかも知れないので、一応の確認のためにタッチして詳しい説明を見ることにする。
HP 攻撃などを受けることによってこの数値が減少し、0になるとキャラクターが死亡し、一番最後に寄った街の〈聖なるモニュメント〉で復活する。
また、一定時間の経過で僅かずつ回復もする。
MP プレイヤーの総魔力。プレイヤーはこの総魔力が0になるまで魔法が使え、この値以上の魔力を消費する魔法は使うことができない。
HPと同じで、一定時間の経過で僅かずつ回復する。
ATK 筋力の事で、物理攻撃の威力が上がり、重いものなどが持てるようになる。
DEF 体の硬さや密度の事で、攻撃をされたときに受けるダメージを軽減する。
また、状態異常になっても数値が高いほど早く回復する。
INT 頭の賢さの事であり、この数値が高い程魔法の威力が高くなる。
また、魔力の時間経過による回復量が多くなる。
DEX 器用さの事で、この数値が高い程、調合や錬金の成功率が高くなる。
また、魔力を練るのが早くなる。
AGI 速力の事で、移動に関する事全てに補正がかかる。
また、ジャンプ力なども高くなる。
LUC 運や第六感の事であり、この数値が高い程、勝負など色々な事が上手くいきやすくなる。
「確認の程は終わりでしょうか?」
一通り確認したがほぼ全ての事は他のゲームと同じで、LUCはまぁ、ドロップとかでレアなものが出やすくなるとかそんなところだろう。それで一つ聞きなれないことが書いてあったので、そっちについて質問することにした。
「一つ質問なんだけど、DEXの説明で魔力を練るのが早くなるってどういう事?」
「はい、そちらについてですが、このゲームでは魔法を使う際、通常のゲームとは違い、ただ詠唱するだけではなく、魔力を練り、それから魔法を発動させなくてはなりません。その際、魔力を練りこんだ分だけ魔力の強さも上がります。もちろん発動に必要な魔力以上練り込まなくては発動しませんが。」
なるほど、つまり元々威力の低い魔法でも、練り込む魔力で威力が上がるってことか。
つまり、「今のはメラ〇ーマではない、メ〇だ・・・」とか出来るわけか。
「へぇ・・・って、魔力を練るのってどうすればいいの?」
「そちらについてはゲーム内で各魔法使い・・・NPCが教えてくれますので、そちらで教わりください。」
なるほど、つまり魔法使いに弟子入りすることがチュートリアルになるわけか。
これならチュートリアルを無視する人でも受けざるを得ないわけだしな。
「他に質問はございませんか?」
「う~ん、特に無いかな?」
「分かりました。では次にインベントリについてですが、こちらは他の作品とほぼすべてが一緒であり、アイテムなどを出し入れすることができます。容量は100種類、各種類の容量ごとの最大値まで入ります。例えば薬草はインベントリの中に九つ入り、鉄の剣は一つという具合です。今のは例ですので、このゲーム内ではもっと入るかもしれませんし、入らないかもしれません。それはゲーム内で実際にお調べください。」
「分かりました。お金とかもインベントリの中ですか?」
「いいえ、お金・・・ゲーム内では〈テル〉と呼ばれていますが、そちらはインベントリの画面上部に表示されていますので、インベントリを圧縮することはございません。ですのでご安心ください。」
「了解です。」
「では最後に、ログアウトについての説明をさせていただきます。ログアウトについてはメニュー画面のログアウトをタッチしていただくと、確認画面が出てきます。そこで確認後10秒後にログアウトし、プレイヤー様の意識を現実世界に戻します。また、ログアウト後2、3分の間はアバターがその場に残ってしまいます。その間に攻撃を受けるとダメージを受けますので、ログアウトはなるべく街の中の宿屋や協会といった比較的安全な場所で処理してください。」
「ん?街の中ってだけじゃ安全じゃないの?」
「はい、このゲームではPKが可能となっております。PKをするとPKをされたプレイヤーのアイテムをランダムで奪えるというシステムになっていますので、街中でも宿屋や協会といった密室がある場所や警備兵が居る場所でログアウトをすることをお勧めします。」
「マジか・・・でもそれじゃあ皆PKをしだすんじゃないのか?」
「はい、ですがこのPKにはデメリットもあります。まずこのPKをしたプレイヤーは一定時間後にその街で指名手配されることになります。指名手配されたプレイヤーは他のプレイヤーが倒してもそのプレイヤーに指名手配がつくことはありません。そして倒したプレイヤーには報奨金として、倒した指名手配犯のアイテムの半分近くをランダムで手に入れることができます。仮に逃げられたとしても殆どの街に以後、出入りすることが難しくなりますので、かなりのリスクがついてきます。」
なるほど・・・リターンの割にリスクがかなり大きいってわけか。
にしても、出入りすることが難しいって、完全に入れなくなる訳じゃないのか?
「なぁ、出は入りが難しくなるって、完全ではないのか?」
「はい、変装したり、何かの中に隠れて上手く門を抜けたりすれば出は入りは可能です。また、街を囲う塀や壁を登るという手段もあります。」
ははぁ・・・つまり現実みたいに色々出来ちゃうって訳か・・・。
なら、他にも色々出来そうな事とかもありそうだな。
ま、そこらへんはゲームをしながらのんびり探せばいっか。
「オーケー、もう質問はないよ。以上で説明は終わりか?」
「はい、以上で説明は終わりです。『クローズメニュー』と言い、メニュー画面を閉じてください。」
俺はクローズメニューと言うと、ウィンドウがガラスを砕いたかの様に割れ、その後、光の粒子になって虚空に消えていった。
「ではこれより最初の街「クリーア」の街へと転送します。しばらくそのままでお待ちください。」
どうやらようやく、ゲームが始まるらしい。
いよいよ、俺の冒険が始まると思うとワクワクが止まらない。
俺は両頬を一度パンッと叩き、気合を入れる。
「では、転送を開始します。」
ヘルプさんがそう言い終わると、俺の足元に幾何学模様の紋章が映し出し、白く輝きだした。
「それでは---Infinity Magic Onlineの世界をお楽しみください。」
その言葉を最後に、俺の目の前は真っ白な光で覆い潰された。
お気に入り人数と総合評価が上がっていてビックリしました(°д°)
次話ではようやくゲームの世界へ入ります。お楽しみに^^