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2つ月の異世界で  作者: 綾女
序章
4/12

04.異世界での家族03

母視点に途中切り替わります。

嵐のような正妻様訪問事件から3年が経ち、私は6才になりました。あれから正妻様と兄様は、時々遊びに来ます。初めの頃は、父様が慌ててましたが(世間ではどろどろ想像するもんね)意外に和やかな雰囲気なのでこれは良い兆候と言ってたのを聞き逃しませんでした。2人に突っ込まれて、笑ってごまかしてたけれど。


母親同士は仲良いので、自然遊んでいなさいとディー兄様と一緒になる機会が多くなった。前から気になっていたので言ってみる事に。


「ディー兄様って魔術得意なんだよね?」

「一応」

「兄様の魔術って見たいなー」


「……」

「ダメ?」


「いいけど、つまらないと思うぞ?」


「そんな事ないよ。だって魔術を習ってるったって、ほとんど机上の学習なんだよ?実際の魔術を見るのが楽しいのに。」


ぷう、と頬を膨らませる。


魔術は使い方によって暴走をしたりする。術を習うより前に、その危険性について学習しなければならない。術の構成や成り立ちなど実際目にする魔術(元の世界ではファンタジー内の話)の魅力がなければとても続けられそうにない。(モチベーションは大切なんですっ)


最近、延々と講義だけで正直やる気が湧かなかったのだった。


・・・


ごごごおおぉぉ

火柱が円上に舞い上がった。庭の芝生が焦げた匂いと、むせた熱風が当たる。


(おおおー!)


まるでサーカスに行った時の様な興奮を感じた。すごい!今まで灯り(ライティング)や念動力系(物を少しでも動かしたりする)な入門術は何度となく見て来たけど、空に向かって火が昇る術を見るのは初めてだ。


「ディー兄様、すっごぉぉい!」


兄様は照れたように笑った。

「授業をまじめにしてれば使えるからな」


はい、おっしゃる通りです。我ながら単純だけど、こんな術を見たら頑張りますよっ。って――ポンポンと私の頭を撫ぜる兄様。



「そろそろ応接間に帰るぞ」



後日談。机の上での学習が減り、実習中心になっていきました。頑張った私。実際RPGや小説内の魔術を初めて使えるようになった感動は今でも覚えています。


・・・



私室で腰を下ろしながら、何名かいる娘シャロンの家庭教師たちと向き合う。今は眼鏡の女性の話を聞いていた。清潔というより、潔癖の文字が似合う。本名はミス・デリアだが、娘が怒った時に口にした名前はミス・オールドミスだった。そんな彼女からは、礼儀作法・社会学を指導してもらっている。


「ギリギリではありませんが、十分及第点です。どこに行っても通用するマナーを身につけられたかと思います。」



「そうですか」



内心ほっとした。この女家庭教師は厳しいので有名なのだ。その分、出来た時には大層誉めて、自ら手作りの菓子を振る舞うなど飴と鞭の使い分けが上手い。この先生に教えられると、最初何も分からない生徒であっても、気づけば立派なレディになると評判だが、その厳しさに付いていけない者も多い。


「先生、有難うございます。」


「いいえ、覚えは人並みでしたが、何より最後まで続けられたのがわたくし大したものだと思っていますのよ?途中で逃げ出す子の多い事。最近の貴族の子はとかく甘やかされてますから我慢が足りないんです。私にとって可愛い生徒ですのよ。」


まあ。最初はお願いしてみたけれど、正直続かないだろうと思ってたのに。正直な評価を下すこの教師に信頼して良かった。



学問・武術に置いては未だ習得途中だけれど、かなりの物だと伺っている。流石にあの人の子供だなと苦笑した。頭と顔と魔術の腕が良く出世街道を走っている風来坊。この国の将軍閣下に。まあそれだけ揃えばって思うけど、浮気というより病気か何かじゃないかと思う程の女好きには悩んだが、やっと今では落ち着いて来た。正妻とのわだかまりも特になく、最近では同じ悩みを持つ盟友な関係だ。今が一番幸せな時じゃないか?そう私は思った。


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