02.異世界での家族01
私は元気に成長してます。もう3才になりました。
新しい人生に幸せかと聞かれると、微妙です。
生活は豊かなのでそっち方向の苦労はしてません。特別良くもなく悪くもない中位貴族ですが、私にはもったいない贅沢な生活レベルです。部屋を見渡してみても、アンティーク家具が所々に置かれ上質な存在であることが伺える。炉も室内にあり、肌寒い事はなく。3食デザート、世話付きメイドつき。お仕事は寝ること、食べること、遊ぶこと、勉強だけという理想的な環境です。
じゃあ何不満なんだよって言うと――母様は良い人です。私のことをすごく可愛がってくれます。周りのメイドさん達も同じくです。でも、ぶっちゃけ抜けた所がありますよ。そう、父親です。定期的にこの家に通って来るお父様。
何と言うか仲が良い様に傍目は見えるけれど、母様の台詞に棘があるんですよ。言葉の端々に「お前早く帰れ」的な物を言ってる気がするんです。(子供は敏感なんです)お母様を普段知ってるものだからこそ余計に感じます。理由は有るんです。浮気性なんです……それも酷く性質の悪い。あちこちに自身の権力を使い手を出しまくってらっしゃる様で。母様も愛人の1人で、下位とはいえ貴族階級の令嬢というので体面もあるから、あの男にしたら特別な扱いをしてる方だってメイドさんと話してたのを(偶然)聞いてしまったので色々と複雑そうです。(この世界では、正妻は本邸。愛人は別邸住まいになっていますので通い婚ということです。)
だけどどういう訳か、あちこち手をつけまくった割に子種がすくな……げふげふ。えー……子供の数が少ないんですよ。あんたはどっかの太閤様かっ!!って突っ込みいれてみます。私には長兄と次兄がいるようです。あったことないけど。ちなみに皆母親が違います。初の待望の女の子という事もあり、私は溺愛されている様です。困った癖はあるんですが、ちょこちょこ現れる父が私的に好きです。いつもお土産を持って帰ってきてくれるのでポイント高い…げふげふ。じゃなかった。楽しみなのですが、両親があまり仲が良くないと思うと子供として落ち込みます。
「あなた、次はもっと遅くいらっしゃっても大丈夫ですよ?お仕事大変でしょう?無理なさらないでくださいませ。」
「ははは。仕事なんぞ、可愛い妻と娘に会いに来るのに障害では無いよ?」
「まあっ……!お口のうまい」
おおっ。父様臭いセリフをよくぞっ。台詞負けをしないハンサムガイだから似合うというものです。ここまでの女好きでもそれほど世間の評判が悪くないのは、根が悪くない人だからだと思うんです。
「お父しゃまーっ、またいらしてくだしゃいねー」
「おおっ、私の可愛い天使。分かったよっ!またすぐに会いに来てあげるからなあ」
「わーい!」
「…ま、まあ……」
お母様は少し決まりの悪そうな顔をされてたけれど、まんざらそうでもなさそうでした。父様は前よりも頻繁に私たちに会いに来てくれるようになり少しづつ改善されているんじゃないかと思います。