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11月の福音

 私立聖恵しりつせいけい女子学院。

 それはカトリック女子修道会『聖恵会』を母体とする、およそ百五十年の歴史を持つ筋金入りのお嬢様学校である。

 付属の幼稚園から始まり大学までの十八年間完璧な女子校で、基本的に教師も女性、唯一の男性職員は禁欲の誓いを立てている神父のみという徹底ぶりだ。

 殆どの生徒が幼稚園からの持ち上がりとなっているが、その入学資格は学科試験の点数で決まるのではなく、いかに学校理念に沿えるか――付いていけるか、にかかっている。

 その学校理念とは『良妻賢母の育成』であり、いわゆる『勉学』は二の次で、人間を豊かにする教養とやらを身に付けさせられるのだ。

 ――結果でき上がるのが、静香しずかのように、微積分はさっぱり解こうとしないが、八か国語を流暢に操り、古今東西の美術、芸術については下手な専門家よりもうんちくできるような知識を披露することができるという、凄いのか偏っているだけなのかよく判らないお嬢様だ。

 その聖恵女子学院に、綾小路の娘は皆通ってきた。現綾小路家令嬢の静香ももうじき卒業を迎えるし、彼女の母のみやびも、そのまた母も物心ついてから成人するまでをこの学び舎で過ごしてきたのだ。

 私立の学園ともなれば、授業料はどうするのかという疑問は湧くだろう。没落華族だった綾小路家にその金が払えたのか、という疑問が。

 確かに、げんが婿入りするまで、綾小路家は困窮していた。

 だが、金の有る無しは家格には影響しないらしく、綾小路家が落ちぶれ潰れそうになっている時でも、学院の方から入学案内が届いていたのだとか。

 元々、聖恵女子学院の入学料、授業料は殆どないようなもので、代わりに卒業生からの寄付は莫大な金額に上る。学院生活に必要な諸々の費用を払っても充分お釣りがくるほどに。

 現在の綾小路もかなりの額を入れている筈で、おそらく、三代分をまかなう程度にはなっているだろう。今でも、殆ど入金していない生徒もいるし、法外な寄付金を入れている生徒もいる。

 だが、金を払っていようがいまいが、学校側の対応も周囲の生徒の眼差しも変わらない。格調高い人々にとって、そんなことは些末なものなのだろう。

 そんなふうに、由緒正しい割に、貧乏人と金持ちが混在した不可思議な学園だった。

 この一種の別空間ともいえる聖恵女子学院の駐車場に、恭介きょうすけは立っていた。

 時は昼下がり。

 駐車場に入る時にも門はあるが、駐車場と校舎の間にも、また関門がある。

 預かる子女が選りすぐりのお嬢様ばかりなだけに、セキュリティも半端ではない。校舎に立ち入ることができる者は、ごくごく限られているのだ。

 様々な年代が勢揃いする名門お嬢様学校ということに不埒な考えを起こした輩が侵入しようとしても、まず無理だろう。そして、普段静香から片時も離れない恭介と言えども、この学院内だけは別だった。

 グルリと見渡せば、百台ほどが駐車できる広さの敷地はほぼ埋まっている。

 いつもはそれぞれの家のお嬢様方を降ろしたらひとまず皆帰っていくので、駐車場がこれほど混み合うことはない。

 今日は特別な日――年に一度の聖恵祭の日だった。

 聖恵祭はいわゆる文化祭なわけだが、男子禁制の華の園に、この日だけは外部の者が足を踏み入れることができるのだ。もっとも、誰でも自由に、というわけではなく、家族や友人など、生徒が『招待』した者に限られるのだが。

 恭介は胸ポケットを探り、小さなカードを取り出す。

 繊細な美しい文字でそこに書かれているのは、彼の名前と誘いの言葉。それは、静香の手によるものだ。

 十四時ちょうど。

 ガチンとロックの外れる音が響き、校舎へと続く観音開きの門がゆっくりと開かれた。


   *


 当然のことながら、周囲には女子高生が溢れていた。

 だが、恭介の知る『女子高生』とはかけ離れており、大きな笑い声も廊下を駆けていく足音もしない。

 彼も高校は共学だったので女子と共に過ごしたことはあるが、アレは本当に同じ生き物だったのだろうかと思うほどだ。

 幼等部から高等部まで毎年聖恵祭は開かれており、その都度恭介も招かれてきたのだが、いつも異次元に舞い込んだような気持ちになる。

「武藤、こちらでしてよ」

 玄関に入ると、さほど迷わぬうちに耳に馴染んだ声に名を呼ばれた。

 振り向けば、同じ年頃の少女たちが溢れる中で、その主はすぐに目に飛び込んでくる。何がどう違うのかは言えないが、何かが際立っているのだ。

「お嬢サマ」

「ようこそいらっしゃいました。聖恵祭を楽しんでくださいませ」

 かしこまった口調で彼女はそう言うと、優雅に一礼する。そうして顔を上げると、艶やかに微笑んだ。

「ああ、はい……」

 ぎこちない恭介の返事に、静香はフフ、と小さな笑みを漏らす。

 こうやって『主従』から離れた態度を取られると、どうやって返していいものなのか恭介は戸惑うのだ。

 些細なことから『ボロ』を出してしまわないかと、つい警戒してしまう――隠しておくべきものが、零れ出してしまわないかと。

 サングラスの奥の目を彷徨わせた恭介は、静香の隣に立つもう一人の少女に気が付いた。

 彼女の方も恭介の視線が自分に向いたことを察したのか、先ほどの静香と同じように綺麗に頭を下げる。

「ごきげんよう、武藤様」

「こんにちは」

 ニッコリとキレイな笑みを浮かべた少女は、西園寺琴子さいおんじ ことこといい、幼等部からの静香の友人だ。もう少し詳しく言うならば、しばしば彼女に余計なことを吹き込む悪友でもある。

 黒髪黒目、和風の容貌の静香に対して、琴子はやや色素の薄い緩くウェーブのかかった髪に、くっきりとした二重のアーモンド形の目をしている。祖父だか祖母だかがイギリス人だとかで、二人が並ぶとまるで一対の和洋の人形を見ているようだと、恭介はこっそりと思う。

「お父様とお母様はまだお着きではないようですし、わたくしももう少し時間がありますから、中をご案内いたしますわ」

「静香様、わたくしもご一緒してもよろしくて?」

「構いませんことよ、ね、武藤?」

「ええ、俺は別にいいですよ」

 むしろ、静香と二人きりよりも、第三者がいた方がいい。いつもの恭介のテリトリーから離れたこの雰囲気に呑まれて、言わなくていいことを口にしてしまいそうだ。

「では、参りましょう」

 そう微笑むと、静香と琴子は先に立って歩き出した。


   *


『文化祭』と言っても、この聖恵女子学院ではメイド喫茶やらお化け屋敷やらが繰り広げられるわけではない。

 口に入るモノといったら茶道部の茶菓子か、休憩所に置かれているコーヒーやその他の飲み物くらいだろう。

 当然、全て無償で。

 そもそも、ここの生徒は静香のように自分で財布を持ったことがない者が殆どなのではないだろうかと恭介は考えている。

 行われているのは美術部の作品展示や音楽部の演奏などで、言うなれば『学内活動発表会』だ。

 とは言え、それらの完成度はけっして侮れない。素人の恭介から見ても、何かのコンクールに出せば賞の一つも取れるのではなかろうかと思うほどだ。

 展示品の数々を眺めながら、恭介は前を行く静香と琴子にチラリと目を走らせた。

 二人は時々静かな笑い声を漏らしながら、言葉を交わしている。すれ違う生徒たちは彼女らに気が付くと、みな一様に心持ち頬を赤らめて、会釈をしたり「ごきげんよう」と声をかけてきたりする。

 静香と琴子がにこやかに「ごきげんよう」と返すと、少女たちの顔はパッと華やいだ。

 『上級生と下級生』という関係だけではないような気がするその反応に、恭介はつくづくとその別世界さ加減を実感する。

 そんなふうに静香たちを見ていた恭介だったが、ふと、『それ』に気付いた。

 彼女の笑顔に、どこか違和感を覚えたのだ。

 いつもと同じように穏やかでキレイな微笑みなのだが、恭介がいつも見ているものとは――日頃彼に向けられているものとは、何かが違う。

 どこがどう、と明言することはできないのだが。

 内心で首をかしげていた恭介の前で、不意に静香がクルリと振り返る。

「武藤、申し訳ありませんが、わたくしはそろそろ参りませんと」

「そうですわね、お着替えなどもありますし」

 静香の言葉に、琴子も頷いた。

 この聖恵祭の目玉の一つである合唱コンクールに、静香も出場するのだ。

 聖恵女子学院高等部は一クラス三十五人、一学年三クラスで構成されているが、各クラスから一人ずつ選出されて、計九人が舞台の上で歌を披露する。静香はそれに毎年選ばれている常連だった。

「では、琴子様、時間になりましたら、武藤を会場まで案内していただいてもよろしくて?」

「ええ、承りましたわ。静香様の晴れ舞台、わたくしも楽しみにしてましたのよ」

「ふふ、ありがとうございます」

 そうして、琴子と微笑み合っていた静香が、視線を恭介に移す。

「では、武藤、また後ほどね」

「頑張ってきてください。俺も楽しみにしてます」

「ありがとう。行ってまいります」

 そう言って彼に投げてくる笑顔は、いつもの見慣れたものだ。

 先ほどの違和感は何だったのだろうかと内心で首をかしげつつ、遠ざかる彼女の背中を見送った。

 静香の姿が廊下の角を曲がって消えると、琴子が恭介を振り仰いだ。

「さあ、それでは、次は映画研究会にご案内いたしましてよ。これまでの発表をパネルにしていらっしゃるのですけれど、殿方の役を演じている方々が、それはそれは素敵で――」

「ああ、折角ですが、一人でも大丈夫ですよ。毎年来てますから。適当にうろついて時間を潰します」

 せっかくの文化祭、しかも静香と同様三年生の琴子はこれで最後だというのに、自分の所為で好きなように見て回れないのは申し訳ない。

 恭介はそう思って琴子を遮ったのだが、彼女は微かに眉間にしわを寄せて、声をひそめた。

「でも、もしかすると、武藤様のような方がお独りで歩かれていると、不快な思いをされるかもしれませんの」

 『恭介のような』というのは、いい年をした男が、ということだろうか、それとも、外見的な要素を含めてのことであろうか。

 静香はあまりに容姿に対して無頓着なので彼女と一緒にいるとつい忘れてしまうが、恭介自身も自分の強面ぶりは充分に理解している。もしもそれが理由だとしても、当たり前と言えば当たり前なのだが。

 そう思って、ふと、恭介は少し前から気付いていたことを口にした。

「もしかして、警備が多いのと関係してるんですか?」

 華やかな女子生徒やその連れ合いに紛れて、明らかに展示物を無視して周囲に目を配っている男たちがいる。通う生徒が生徒だから、毎年、ある程度の警備はいる。しかし、今年はその数が多いような気がしていた。

「あら、お気づきでしたの」

「ええ、まあ」

 恭介の頷きに、琴子は片手を頬に当てて、小さくため息をついた。

「そうですの、今年は少々無粋なお色が増えてますの」

「何か、あったんですか?」

「静香様から、お聞きになってらっしゃらなくて?」

「え? ええ」

 首をかしげた琴子に尋ねられ、恭介は記憶をたどってはみたが、特に何も思い当たらない。

「まあ、そうですわね、取るに足らないことですものね」

「何です?」

 静香も、たいしたことではないと思ったから恭介に何も言わなかったのか、それとも、また別の意図があったのか。

 彼女に限って、「うっかり忘れた」ということはないから、そのどちらかの理由で何も言わなかったのだろう。だが、もしも学園内の警備の増強が必要な状況なら、家でも何か手を打たねばなるまい。

 重ねて問うた恭介に、琴子は少し迷ったふうな様子を見せたが、じきに小さく頷いた。

「それが、三ヶ月ほど前のことになるかしら……門の外から中を窺おうとしている男性がいらっしゃいましたの」

「三ヶ月前……」

 期間を限られても、やはり恭介にはそんな話を聞かされた記憶はない。

 サングラスの陰で深くなった彼の眉間のしわに気付いたふうもなく、琴子が続ける。

「数日のことで、すぐにおられなくなったのですけれども、ほら、聖恵祭はご覧のとおり、人の出入りが激しいでしょう? 念の為にと、今年は警備を増やしましたの」

「その後は、何もないんですか?」

「ええ。何も。でも、そんなことがありましたから、武藤様がお独りで歩かれていたら、警備の方に呼び止められてしまうかもしれないのですわ」

「そうですか……」

 多分、静香も気にするほどではないと考えたのだろう。

 ――だが、一言告げておいて欲しかった。

 春先には、げんの会社内でちょっとしたゴタゴタがあり、注意するように言われたこともあった。おそらくそれとは関係のないことだろうし、あれから何も起きていないから、多分、このまま何事もなくいくのだろう。しかし、万が一ということもあるのだ。

 それに、そういった『利害』や『金』が絡んだ危険以外にも、彼女自身がターゲットになる可能性もあるではないか。

 いや、充分すぎるほどに、ある。

 こっそり写真でも撮られていたかもしれないと考えただけでも、恭介は腹の底がジリジリと焦げ付くような不快感に襲われた。

 実際には、校舎をぐるりと囲む格子の柵は人の背丈の倍はあり、随所に監視カメラも設置されているから、よじ登って侵入するなど不可能だ。望遠レンズで中を覗こうとしても、絶妙な間隔で植えられた木々に遮られ、校舎内の人間を撮影することも、まずできはしないだろう。

 だが、「もしかしたら」と考えるだけでも、恭介の腹の中が煮えくり返る。

 そんなことを考えていた恭介だったから、琴子の唐突な質問に反応し損ねた。

「はい?」

 何か、奇妙なことを訊かれた気がして、恭介は眉根を寄せて問い返す。

「ですから、静香様には、どなたか想う方がいらっしゃって?」

 いったい、いつの間に、どんなつながりでそんな方向に進んでいたのだろう。あまりに急な方向転換に、彼は思考が停止する。

 だが、そんな恭介の戸惑いをよそに、琴子は胸の前で両手を組んで続けた。

 困惑に満ちた彼の顔など、一瞥もすることなく。

「少し前から、気になっていましたの。武藤様にお会いしたら忘れずに伺わなければ、とずっと思っていましたわ。わたくしたちが三年生に進級してから、『お付き合い』をしている男女はどんなことをしているのか、とか、殿方はどんなことを喜ぶのか、とか、静香様が訊いていらっしゃるようになってきて」

 そこで、ようやく彼女は恭介の顔に視線を移す――が、どうやら彼の心中を察することができるほどには、見てはいないようだ。

 恭介の返事がないままに、更に続ける。

「どなたか想う方がいらっしゃるのかと単刀直入にお訊きしてみたのですが、静香様は微笑まれるだけでしたの。でも、あの眼差しは、絶対に、心の中にどなたかがいらっしゃるのですわ。ねえ、武藤様、何かご存じでなくて?」

 両拳を握って力説する琴子に、そんなことは俺が訊きたいよ、と恭介は独りごちる。

「さあ……俺にはわかりません」

「まあ。でも、常にお傍にいらっしゃるのでしょう?」

「そうですが、思い当たる節がありません」

 正確には、一人だけ心当たりはあったのだが、それは先日静香自身に却下された。

 この上なくきっぱりと。

 誰か好きな相手がいることは肯定したが、それが誰かということについては、はぐらされたのだ。

 恭介の返事に、琴子は切なげなため息をつく。

「武藤様にも悟らせない恋だなんて、静香様がお可哀想。きっと、秘するお相手なのだわ。静香様は淑女の中の淑女、誰もがお手本にと望むこの学院の華、でしてよ。そんな方が忍ぶ想いを抱かれて、独り悩まれておられるのかしら……」

「西園寺様こそ、心当たりはないんですか? この学院にいる男の誰か、とか」

「まさか! 確かにわたくしは静香様とご一緒させていただくことが殆どですけれども、殿方の陰なんて、少しもありませんことよ」

 何となく、近付けてたまるか、という響きが彼女の声にはあるような気がするのは、恭介の耳の所為だろうか。

 妙な気迫に満ちた琴子の台詞に、彼は無意識のうちに半歩ほど引く。

 琴子に押され気味になって、続く彼女の言葉を聞き流しそうになった。

「どんな方なのかしら。静香様のお作りになったものを、きっと、素知らぬ顔して召し上がったのよ」

「……え?」

 怪訝な顔を向けた恭介に、琴子は微かに眉間にしわを寄せて言う。

「静香様が、殿方はどんなことを喜ばれるか、とお訊きなったから、わたくしは何か手作りでごちそうなさったら、とお答えしたの。きっとお相手の方は静香様がどんなふうに想ってお作りになったかご存じないまま、お口にされたに違いなくてよ」

 ちょっと待て、と恭介は心の中で呟いた。

 確かに、静香は何回か料理をしたことがある。どれも菓子だ。そして、それを食べた者は限られている。だが、静香は琴子が考えているような気持ちでいたわけではない。彼女の勘違いだ。

「恐らく、それは西園寺様の考え過ぎですよ」

「考え過ぎ?」

「ええ。お嬢サマは、そんな気持ちで作ったわけじゃありません、きっと。西園寺様の見込み違いですよ」

 肩をすくめてそう答えた恭介に、琴子は首を振る。

「いいえ、あの時の静香様の目には、確かに浮かんでいらっしゃいましたわ――お相手に対するお気持ちが。間違いありません、あの眼差しは大事な方を想うものです」

 握った拳に力を入れて、琴子はきっぱりと断言した。

「あれは絶対に、特別に想っていらっしゃる方へごちそうされたに違いありませんことよ。ええ、絶対に」

 そんな筈はない。静香の『手料理』を口にした者は、新藤一輝と運転手の杉田と、そして恭介だ。彼女がふるまった相手は、それだけ。新藤一輝は、違った。杉田は妻子孫持ちの五十七歳だ。だったら、後は――

「どうかなさいまして?」

 ピタリと固まった恭介を、琴子が首をかしげて見上げる。

「いえ、何でも……」

 気もそぞろに答えながら、彼の頭の中はめまぐるしく回転していた。いや、動いているようでいて、その実、一点で止まっていたのだ。

 まさか、そんな筈はない。やはり、琴子の思い違いだ。単なる早合点なのだ。

 恭介は、頭の中の愚かな考えを打ち消そうとする。

 だが、もしも――もしも、琴子の言うとおりだったら?

 彼の胸に、微かな期待が揺らめき、消え、また現れる。

 ――静香の気持ちを、期待してみてもいいのだろうか。

 全て、単なる憶測に過ぎない。確かなものなど、何一つない。

 けれども。

 ――ほんのわずかでも、それを望むことが許されるのであれば……

 恭介の中にそんな願望が揺らめいた時、手首を返して時間を確認した琴子が声をあげた。

「あら、もうこんな時間ですわ。そろそろ会場に参りませんと」

「ああ、はい、そうですね」

「では、こちらへ」

「はい」

 口先だけで返事をして、恭介は先に立って歩き出した琴子に続く。

 彼のその頭の中は、希望と、否定と、諦めと、そんな定まらない思考で埋め尽くされていた。


   *


 たかが高校の文化祭だったが、合唱コンクールの会場となる講堂では、座る場所は『指定席』となっていた。

 琴子と共に赴いてみると、げんみやび、それに一人の老人が、恭介が座る席の辺りに陣取っていた。老人は静香の父方の祖父で、春先に彼女がアルバイトをした喫茶店のマスターでもある。

「それでは、わたくしも席に着かねばなりませんので、ここで失礼させていただきますわ」

 講堂には、もうずいぶんと人が集まっていて、席が確保されている招待客はまだしも、学生である琴子は座る場所が無くなりそうだ。

「ありがとうございました」

 そう言って恭介が頭を下げると、彼女は優雅な一礼を返してきた。

「こちらこそ、楽しゅうございましたわ。元様と雅様には、よろしくお伝えくださいませ」

 ニコリと笑った琴子はヒラリとスカートの裾を翻すと、同じ制服を着た少女たちの中にあっという間に埋もれていく。

 その姿を見送って、恭介も自分の席へと足を向けた。

 着いてみると、そこは、左に元、右にマスターという、何とも嫌な感じの席並びになっていた。

 別に雅の隣が良かったわけではないが、親族で固めて恭介は一番端という形で良いではないかと思うのだが。

 いっそ踵を返して壁際にでも立っていようかと思ったのだが、いち早く雅に気付かれてしまった。

「あら、武藤さん? こちらでしてよ?」

 満面の笑みでヒラヒラと手招きする雅を無視するわけにもいかない。恭介は乾いた笑いを口元に張り付けて、そちらへと歩み寄った。

「おう、来たか」

「どうも」

 左の元、右のマスターにそれぞれペコリペコリと頭を下げつつ、恭介は諦めの境地で真ん中の席に腰を下ろす。

「久し振りだのう。あの子のアルバイトが終わって以来だから、半年ぶり程か? たまには遊びに来て欲しいもんだがの。それとも、さびしい年寄りの相手なんぞ、うっとうしいか?」

 哀れっぽい口調だが、この老人はそんな可愛らしいものではない。静香のアルバイトに付き合って彼の喫茶店に通っていた頃に、恭介はイヤというほどそれを思い知らされていた。うっかり下手に出れば、ここぞとばかりに付け込まれる。

「すみませんね、忙しいもんで」

 素っ気なくそう答え、微かに耳に届いた小さな舌打ちは無視しておいた。澄ましてステージに目をやった恭介に、今度は反対側から声がかかる。

「おう、あいつの様子はどうだった?」

「いつもどおり、落ち着いてましたよ。毎年歌っていれば、今更あがることもないんじゃないですか?」

 静香が人前で緊張するとか取り乱すとか、そんな姿をさらすのを恭介は今まで見たことがない。いつも穏やかに微笑んでいて、その笑みが消えることすら稀だった。

 やはり、どこか一つ違う次元に住んでいるのではなかろうかと思わせるほどに。

「立派なもんですよ」

「そうか」

 元は満足そうに頷くと、横を向いて雅と何か話し始めた。

 恭介は再び舞台に目を戻しながら、緊張して掌に人の字を書いている静香の姿を想像しようとしてみた。

 まったく、思い浮かばない。

 綾小路家主催のパーティーで元から急遽挨拶を任されても、サラリとこなす。きっと、どんな天災人災も、笑顔のままでやり過ごしてしまうのだろう。

 それが、静香という少女だ。

 そのことを誇らしく、そしてどこか物足りなく思いながらかすかに笑った恭介だったが、ふと眉をひそめた。

 一瞬――ほんの一瞬、今にも泣き出しそうな静香の面影が脳裏をよぎったのだ。

 静香と出会って五年と数ヶ月、その間、彼女のそんな表情は見たことがない筈なのに。

 恭介の記憶違いだろうか。

 首をかしげた彼の耳に、ざわめきを縫って開演のブザーの音が届く。途端に、笑い声や囁き声、衣擦れの音などが、一瞬でピタリと止んだ。

「お、始まるな」

 嬉しそうな元の声に、曖昧だった恭介の中の疑問が霧消する。

 一度消えてしまったものは掻き集めようとしても戻らない。

 何となくモヤモヤとしたものを残したまま、正面へと意識を向けた。

 ステージ上では一人の女生徒が開会の挨拶をしている。定型的な文言で、最後に優雅な一礼をして袖へと下がっていった。

 次に現れたのは、一年生の少女だ。制服ではなく長い修道女のドレスを身にまとい、頭にはレースのベールを被っている。まだ少し幼さの残るまろやかな声で、讃美歌か何かと思われる、恭介には解からない言葉でつづられた曲を歌い上げる。

 やがて一年生のメンバーが歌い終えると、二年生の生徒に移った。

 流石に選りすぐりの歌い手だけあって、皆、巧い。『コンクール』と銘打ってはいるが、相争うという雰囲気は皆無で、彼女たちはただ自分の歌を歌うだけである。聴衆は、咳払い一つ漏らさずに歌声に聴き入っていた。

 二年生の三人目が舞台から姿を消すと、ついに三年生の番だ。

 一人……二人――そして。

「次だな」

 彼女で、最後だ。

 舞台の右袖から静かに歩み出る、それまでの生徒たちと同じように修道服にベールを被った女子学生。

 中央まで来ると足を止め、聴衆に向き直ると、彼女は伏せ気味だった視線を真っ直ぐに並み居る人々に向けてゆっくりと両手を胸の前で組んだ。

 彼女が眼差しをサッと巡らせた時、一瞬恭介の視線と絡む。

 ――口元に微かな笑みが浮かんだように見えたのは、彼の気の所為だろうか。

 地味なグレイのドレスにも拘らず凛とした佇まいの静香の風情は聴衆の目を奪った。彼らが微かに漏らした吐息がさざ波のようにざわめき立つ。

 静香は一度ゆっくりと深呼吸をし、そしてクッと顎を上げた。

 一拍置いて、彼女から歌が溢れ出す。

 アカペラの澄んだ声は恭介の鼓膜を震わせ、そしてその奥へと浸透していく。その歌詞の意味はさっぱり解からなかったが、胸に染み入るその音楽に、彼の全身は心地よく粟立った。

 静香が歌を口ずさむことは、しばしばある。恭介はそんな時の楽しげな彼女の歌声も好きだったが、こんなふうに響き渡る旋律には酩酊しそうな感覚を覚えるのだ。

 まだ、完全に成熟した女性の声ではない。

 けれども、一年前の、まだ幼い響きを残したものとも違う。

 完成する直前の、歌声。

 だが、不完全だからこそ持つ、美しさ。

 高く、低く、自在に音を操り、やがて彼女は微かな震えを残しながら歌い終える。

 シンと静まり返った聴衆に向けてユルリと一礼すると、静香は音もなく舞台から消えていった。

 静寂から、次第にざわめきが湧き起る。そうして、喝采の嵐となった。

「ちょいと、お前さん。よだれが垂れてるぞ?」

 右側からかけられた声に、とっさに恭介は口元に手をやってしまう。当然、湿り気一つない。

 これまでにない鋭い目付きで横を睨み付けたが、その先にいるマスターは素知らぬ顔で拍手をしているだけだった。

 恭介は舌打ちをしながら上げた手を膝の上に戻し、憮然として舞台を見やる。そこには、歌い終えた九名と司会の女子生徒一名の、計十名が並んでいた。

 同じ服装、同じ年頃だというのに、恭介の目は一瞬で主に吸い寄せられる。

 まるで彼女だけが別の色をまとっているかのように、似通った大勢の中からいつでもすぐにわかるのは何故なのだろう。

「今年も、皆様素晴らしい歌声を披露してくださいました。どの歌も、お聴きになって下さった方々のご多幸と安らぎを祈るものです。どうか、また一年、皆様が心地よくお過ごしになれますように、わたくしたち一同、お祈り申し上げます」

 司会の少女がそう言い終えると、彼女たちは深い一礼の後、静かな衣擦れの音と共に舞台から去る。

 静まり返っていた聴衆がざわつき始め、やがて一人二人と席を立っていった。

「素敵なお歌でしたわ」

 ほう、とため息をつきながら、まだ座ったままの雅がうっとりと言う。

 彼女自身が、あのステージの上に立ったことがある筈だ。その時のことを思い返しているのか、彼女の目の中には懐かしむような色がある。

「お前の歌も、良かったぞ」

「?」

 元の台詞に、雅が首をかしげる。

「ほら、お前も高校三年の時――」

 言いかけて、ハッと元が口を閉じた。眉をしかめた彼とは反対に、雅の顔はみるみる華やいでいく。

「まあ……旦那様、あの時に来てくださってらしたのですね?」

「いや……」

 常に横柄――いや、堂々としている元が、歯切れ悪く彼女から目を逸らした。

「旦那様ったら、あんなに『行かない!』とおっしゃってましたのに、わたくしの歌をお聴きになってくださいましたのね」

「あの時は、たまたま時間ができたんだ」

「わたくし、嬉しくて天にも昇りそうな心持ちでしてよ。こんなに素敵な『贈り物』をいただけるだなんて」

「その、なんだ……」

 目を輝かせて元に見入る雅に、彼はらしくなく言葉を失っていた。

 どうやら、高校時代の雅のこのコンクールでの発表を、元が隠れて聴きに来ていたらしい。所構わずいちゃつくのは止めてくれよと恭介は胸の中で呟いて立ち上がる。

「俺は、お嬢サマを迎えに行きますんで」

 こっそりと、「後は勝手にやっててくださいよ」と付け足した。そうして、台詞通りにその場を後にする。

 少女たちの間を縫って、目的の場所を目指した彼だったが、幸いなことに、琴子が言っていたように、廊下を歩いていて呼び止められるようなことはなくて済んだ。

 合唱コンクールが終わった後に待つように言われていた場所に独り佇んで、恭介はぼんやりと女子高生の群れを眺めていた。

 彼女たちは、どう見ても『女の子』だ。華やかに笑いさざめく少女たちを『可愛い』とは思うが、それだけだ。当然と言えば当然だが、それ以上の強い気持ちは抱かない。

「武藤?」

 耳に馴染んだ、涼やかな声。それに不意に名前を呼ばれ、恭介は思わず小さく息を吸い込んだ。

 振り返った先には、いつもの制服の静香がいる。その隣には、琴子だ。

「どうかなさいまして?」

「いえ、別に。お疲れ様でした」

「聴いてくださっていましたね、ありがとうございます」

 微笑みながらそう言われ、恭介は何と答えるべきなのか、考えた。が、結局気の利いた言葉は捻り出すことができず、傍で聞いたら投げやりとしか思えないことを言う。

「――良かったですよ」

「ありがとうございます」

 彼のただそれだけの台詞に、静香はこの上なく嬉しそうに顔をほころばせた。

 もっとうまい賞賛を口にできない自分を腹立たしく思った恭介だったが、それは、その場にいたもう一人の少女も同様だったようだ。

「武藤様、もう少し、何かありませんの? あの、透き通っているのに柔らかいお声。高音部も低音部もまったく濁りなく、まるで夜空に煌めく星々のよう……いいえ、あんなにか弱くはありませんわね。そう――闇夜で道しるべとなる望月のような……ああ、足りない語彙が口惜しいですわ! それに、最後のビブラート……静香様の祈りのお気持ちが伝わってきて、わたくしの心も震えましたの」

 その時のことを瞼に浮かべようとしているかのように、琴子が目を閉じて両手を胸の前で組んだ。彼女の賞賛を受けて、静香は少し困ったように微笑む。

「琴子様、そのお褒めの言葉は、わたくしにはもったいなくてよ?」

「いいえ、そんなことはありません。本当に、お素敵でしたのよ。ねえ、武藤様?」

「ええ、そうですね」

 頼むからこちらに振ってくれるなと思いつつ、恭介は余計な言葉は付け足さずに頷いた。もっと派手な同意が欲しかったと見えて、琴子は不満そうに口を尖らせる。

「まあ。素っ気ないこと。これですから、殿方というものは張り合いがないのですわ」

「ふふ。言葉は少なくても、心を伴っていればよろしいのよ」

「心? あれだけでお判りになりますの?」

「ええ。ねぇ、武藤?」

 柔らかな笑みで水を向けられたが、そう問われても恭介は返事に困る。

「はい、まあ……」

「本当に、これでよろしくて?」

「武藤は、これで良いのです」

 あくまでも素っ気ない彼の返事に呆れたような目で確認を返した琴子へ、静香はクスクスと笑いながら答える。

 そんな少女二人のやり取りに、話題のネタである恭介は、どう割り込んでよいものか判らなかった。


   *


「琴子様と、何かございまして?」

 会話のない帰宅途中の車の中で、そう切り出したのは静香だった。

「はい?」

 横を見れば、気遣わしげな眼差しが恭介に向けられている。

「別に、何もありませんよ。何故です?」

「少し……考え込んでいらっしゃるように見受けられましたから」

 相変わらず、人の気配にさとい。

 だが、まさかお前のことを考えていたのだとは口が裂けても言えるわけがなく、恭介はごまかすことに終始する。

「元様に出されている課題のことを考えていたんですよ。ちょっと、難しくて」

 最近出された課題は昨日終わらせて元に提出したばかりだが、静香がそんなことを知っている筈がない。軽く首をかしげて、少し間を置いた後、彼女は呟くように言う。

「……そう?」

 自分を見つめてくる彼女の眼差しを、恭介は濃い色のサングラス越しに見返した。女子高生をビビらせてはいけないから、という理由で学院の中にいる間は着けていたが、今も、外す気にはなれない。

 恭介は、静香の目の中にあるものを探る。

 琴子が言ったように、静香が手料理を作った相手が彼女の慕う者なのだとすれば、恭介に向ける眼差しの中には何かが現れるのではないだろうか。

 だが、それは見つからない。

 静香の眼差しにあるのは、出会った時から変わらぬ同じ色だ。初めて会った十二歳の時と、まったく同じ色だった。

 何を期待しているのかと、恭介はこっそりと息をつく。話題を切り替える目的も兼ねて、彼は常々自分の中にある疑問を口にした。

「しかし、いつも思いますけど、元様は何を考えてるんでしょうね。まったく、次から次へと、よくぞあれだけ俺にさせることが見つかるものです」

「先々、武藤が困らないように、ですわ」

「でも、経営学やら社会学やら、そんなもの、普通は必要ないでしょう。お嬢サマだっていつも言っているじゃないですか。使わない知識は身に付ける必要がない、と」

 記憶力はいい筈なのに、物理法則やら数学の公式やらはさっぱりその頭の中に留めておこうとしないのは、静香だ。そこを突いてやった恭介だったが、彼女にはいたずらっぽい笑みを返される。

「ふふ。お父様のおっしゃることは、身に付けておいても無駄にはなりませんわ」

「そうですか?」

「ええ、きっと。……わたくしは、そう願っていてよ」

 静香の言い回しに恭介は若干の違和感を覚えたが、そこを突っ込もうとしたちょうどその時に、運転手の杉田が気のいい声をあげる。

「着きましたよ」

 ふと気づけば、車はもう敷地内へと進入していた。ほどなくして玄関前に横付けされる。

「お疲れ様でした」

「お休みなさいませ、お嬢様」

 車を降りた二人の間で交わされるいつものやり取りを横で聞きながら、恭介は考える――常々疑問に思っている、元の思惑を。

 静香の付き人として、彼女の夫となる男の補佐を務めさせるつもりなのか。

 それとも、静香の傍を離れた後、彼が食いはぐれないようにということなのか。

「武藤? どうかして? お家に入りませんの?」

 涼やかな声に、恭介はハッと我に返る。

「ああ、はい」

「どこが、具合でもお悪いの?」

「いや、平気ですよ。何でもないです。ちょっと、ぼうっとしてました」

「それならいいけれど……何かあるなら、すぐにおっしゃってね?」

 穏やかなその笑みが、何故か痛い。

 彼の中にあるその気持ちを伝えたら、彼女はどんな反応を見せるのだろう。

 恭介には容易に予想が付く。

 きっと、にっこり笑って言うのだ――「ありがとう」と。

 そして、それで終わり。

 その後は、また同じ毎日が続く。

 だが、静香には軽く流されたとしても、万が一、それが元の耳に入ることがあれば、速攻でここから叩き出されるだろう。娘に妙な気持ちを抱いている男を、彼が放っておくわけがない。

 静香の中には何も残せず、そして離れることになる。

 そんなところだ。

「家に入りましょう」

 会話を断ち切るような恭介の返事に、静香は一瞬何か言いたそうな風情を見せたが、結局それ以上の問いを重ねることはなく、小さく頷いただけだった。

「そうね……日も落ちましたわ。参りましょう」

 そう言うと、静香は先に立って玄関への階段を上がっていく。その後に続く恭介の中に、昼間の琴子とのやり取りが一瞬ふわりと浮かんで、消えた。

 もしも、彼女の言う通りなら――

 恭介は小さく頭を振る。

 自分が静香の思う相手だなどと、まず有り得ない。きっと、琴子の早合点だ。

 そうやって、恭介は埒もない、安易な希望を追いやった。

 余計な期待を抱いていては、平静な気持ちで彼女の傍にいられなくなる。

「武藤?」

 玄関の扉の前で、静香が彼を見下ろしている。こうやって真っ直ぐに見つめられ、名を呼ばれる以上のことを望むのは間違いなのだ。

「今、行きますよ」

 答えて階段を上がりながら、恭介は投じられた一石が起こした波紋には気付かなかったふりをした。


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