眩しいと
眩しいと
目をつむってしまうように
降り注ぐもののすべてを
受けとめられずに
柔らかいと
羽化したての蝶のように
傷つきやすくて
すぐに潰れてしまって
苦しいと
黙りこんでしまうように
胸が溢れそうになるのを
怖がってばかりで
この皮膚の下に
私たちはいつも神経を走らせて
ほんの少しのことでも
痛い、痛いと言う
撫でるほどの痛みでも、痛い、と言う
なぜなら痛い、の他に言うことがないから
目やら耳やら
私たちの神経の末端は
受容体というには脆くて
なにを受け得る
なにも、なにも
撫でるほどの痛みでも
すぐに壊れてしまうから
神経が伝えるのは痛みだけで
悲しみは届かない
だから私は悲しくもならなくて
涙は出てこない
涙は中で溜まって中で渦を巻いて
いたいのをひたすら秘め続けて形をなしていく
秘めているのは沢山の沢山の声…
私の声…何処へも出ていかない声ぇ…
『悲しい。』という音を秘めて
けして鳴りはしない
音を秘めているならこれは楽器…
渦をなすならホルン、肉ホルン!
ホルンは泣きたい、
泣きたいけれど全然悲しくない。
ホルンは痛い!
泣きたいだけで涙なんか出ない。
溜まっていくから目も体もどんどん膨れて
皮膚が透けて中が全部見えてグロテスク
わたしのなかこんなに
ひどい花が咲いてるんだよって言って、びっくりさせたい
涙流せれば、きれいなのに、ね
嬉しくも悲しくもない
君に見られつづけている
白い胸がゆるやかに
あがりさがりを繰り返す
のを感じて
もくれんの花が微笑いながら
崩れていくしあわせな映像が
すいこまれるのが
君の目のなかで
ありますように
一人だと
どこにもいないみたいだから
一人じゃないと
かえって一人
とりこんでも
たたまない色とりどりの洗濯物を
思い浮かべながら
インクのないボールペンを
からから振っている
満たされていると
かえって空っぽだね