第四部(完結編)
※R指定
(文中に性的な表現が含まれておりますのでご注意下さい)
ネ・・・・ネボスケ
イ・・・・イブイブ
キ・・・・キリスト
じ・・・・じい(執事)
玉・・・・玉姫様
キ 「ハアハア、ハア・・・・。」
イ 「・・・・。(ごくっ)」
ネ 「ついに、扉が開かれていく。・・・・行きましょう。」
ついに、玉姫様の間へと続く最後の扉が開かれた。
三匹は玉姫様の間を奥へとゆっくり歩いていった。本能のままに生きるセイシであるなら、玉姫様をものにするため、我先にと走り出すと思うかもしれないが、「そのようなはしたないことはできない」とセイシ達に感じさせてしまうほどの厳粛な雰囲気が、玉姫様の間には漂っていた。
しばらく進んでいくと、正体不明の何者かが待ちかまえていた。その何者かは僕らセイシというよりもどちらかというと白い悪魔に似た姿形をしていた。
じ 「ようこそおいで下さいました。」
ネ 「あなたは?」
じ 「私めは玉姫様の世話役を仰せつかっている『執事』でございます。ささ、玉姫様がお待ちでございます。こちらへどうぞ。」
その執事に案内され、さらに奥へ進んでいくと、そこには白い悪魔達が左右に列を成し、まるで道を作っているかのように立っていた。
キ 「お、おいおい、まさか襲ってこねえよな?」
じ 「彼らは玉姫様直属の護衛部隊でございます。」
イ 「自分達はここに来るまで、散々あなた方の仲間を殺してきたのである。相当恨みを買っているのではないだろうか?」
じ 「いえいえ。あの戦いは決して抗うことの出来ない『定め』でございます。なのでこちらは恨みになど思っておりません。それにそちらも相当数の犠牲を払われている。・・・・『痛み分け』というやつですな。」
ネ 「・・・・。」
じ 「この玉姫様の間にたどりついたあなた方は、玉姫様の大切な客人となったのでございます。なのでこちらとしては誠意をもって対応させていただきます。ささ、参りましょう。」
僕らは白い悪魔達が作る道を恐る恐る進んでいった。進んでいくとそこには、玉座を思わせる巨大な椅子が置かれており、玉姫様らしき人物がちょこんとお座りになっていた。
じ 「玉姫様、連れて参りました。」
玉 「ご苦労であった。」
僕らは誰に教えられるでもなく、玉姫様の前で膝をつき、平伏した。
玉 「苦しゅうない。面を上げい。」
僕らは顔を上げ、玉姫様をしっかりと見た。あの、夢にまで見た念願の玉姫様が今、目の前に座っておられるのだ。
イ 「ついに、ここまで来たのであるな。」
キ 「おう、感慨深いことこの上ねえよ。」
ネ 「そうですね。僕も今感動してます。」
玉 「わらわが玉姫じゃ。そち共が、先ほどわらわに向けてテレパシーを送ったのだな?」
ネ 「そ、そうです。通じましたでしょうか?」
玉 「本当に弱々しくではあったが、届いたぞ。」
ネ 「ふ~、よかったぁ。」
玉 「必死な気持ちが伝わってきたのでな、今は扉を開ける気分ではなかったのだが、思わず開けちゃったのだ。」
イ 「やはり当初は開ける気がなかったようであるな。(こそこそ話)」
キ 「まあ結果オーライってやつよ。(こそこそ話)」
玉 「わら、わ、わらわら・・・・・・、」
ネ 「??」
玉 「わら・・・・・・・・・・あーん、もう!やーめた!!」
ネ 「どうなさったのですか?!」
玉 「実はあたし、『わらわは、~じゃ』とかこういうしゃべり方、窮屈でほんとは大っ嫌いなの!」
ネ 「え?」
玉 「じいがこういう風にしゃべった方がいいっていうから、我慢してやってたけど、もうやめ。やっぱあたし、普通にしゃべるわ。」
イ 「なんと!」
じ 「ですが玉姫様、そうしますと玉姫様としての格式の高さが薄れてしまわれますよ?」
玉 「あたしはそのままのあたしでいたいの。格式なんてどうだっていいわ。」
じ 「うむむ。困りましたな・・・・。」
キ 「玉姫様の言うとおり。変に格好をつける必要なんてありませんよ。なぜなら、そのままの君が一番素敵だから。」
玉 「うふふ。そうかしら。」
じ 「すみませんが、どさくさに紛れて玉姫様を口説かないで頂けますか?」
キ 「悪ぃ。つい、血が騒ぐんだ。」
玉 「とにかくあたしはやりたいようにやらせてもらうわ。いいわね?」
じ 「・・・・わかりました。ではそのようにしてやっていきましょう。」
ネ 「僕らセイシなんかよりも玉姫様のほうが本能のままに生きている感じだね。(こそこそ話)」
イ 「それは言えているのである。(こそこそ話)」
玉姫様のご意向で、もう一度最初の対面するところからやり直すこととなった。
じ 「玉姫様、連れて参りました。」
玉 「よっ、お疲れちゃーん♪」
じ 「・・・・。」
平伏する僕ら。
玉 「そんな平伏なんて堅っ苦しいことしなくていいわよん。無礼講といきましょ。あたしが玉姫、よろしくねん♪」
じ 「・・・・。」
玉 「あなた達がさっきあたしにテレパってくれたんでしょ?」
ネ 「通じましたか?」
玉 「ビミョ~。」
ネ 「え?」
玉 「かろうじてって感じね。あたしのテレパシー能力が高くなかったら、おそらく届いてなかったわよ。あたしに感謝なさい。」
ネ 「ど、どうもありがとうございます。」
玉 「でもね、こう、『必死な強き思い』みたいなものは確かに感じ取ったの。だからね、そんな気分じゃなかったんだけどね、こう、扉をパカッと開けてあげちゃったのよね~。」
ネ 「・・・・とにかく、僕らの思いが玉姫様を突き動かしたというわけですね。」
玉 「ま、そういうことね。・・・・・・とまあ、こんな感じでやっていくわよ。いいわね?じい。」
じ 「・・・・どうぞ、ご自由に。」
イ 「玉姫様がこんなに気さくな方とは予想していなかったのである。」
玉 「ふんふんふ~ん♪」
じ 「随分ご機嫌でらっしゃいますね、玉姫様。」
玉 「そりゃそーよ。だって、異なるルーツより生まれし三セイシがここに揃うなんて、こんなドラマチックな展開は初めてだわ。」
じ 「確かにおっしゃる通りでございます。通常は考えられない、いえ、常識的に考えてありえない事態でございます。」
玉 「そうね。確かに複数の殿方と同時に関係を持つというのは、一般的に非常識だと非難される行為ね。・・・・けど、あたしはありだと思うわ。」
じ 「な、何をおっしゃいますか?!」
玉 「だって、『より優秀なセイシ』と融合を果たすことがあたしの本能だもの。」
じ 「それは、そうですが・・・・。」
玉 「より優秀なセイシを見つけるためには、より多くの、そしてタイプの異なる様々なセイシ達を競わせること。それしかないわ。」
じ 「それは・・・・一理ありますが・・・・。」
玉 「つまり、常識に囚われない本能的な行動によって、まさにあたしが望む理想的な状況が生まれたの。それが、今よ。」
じ 「・・・・全く、そのような斬新的な発想には、私めはついていけませんな。」
玉 「さてと、それではそろそろ始めましょ。」
ネ 「始めるって、僕らはいったい何をすればいいのでしょうか?」
玉 「あなた達はここにたどり着くまで、幾多の試練を乗り越えてきたわよね。」
イ 「長く、辛い道のりだったのである。」
玉 「灼熱地獄から始まり、そして我が下僕『ルーケサイト』との戦い、」
キ 「まさかの敵セイシとの遭遇、そして戦闘、」
ネ 「仲間割れもありました。」
玉 「幾多の試練を乗り越えてきたあなた達にとって最後の試練よ。」
イ 「最後の試練とは?」
玉 「最後の試練とは、『あたしに選ばれること』に他ならないわ。」
ネ 「!」
キ 「当然そうなるわな。」
玉 「このあたしを『その気にさせてみなさい♪』ってことよ。」
じ 「つまりは、『アピール合戦』をしてもらおうと、そういうわけでございます。」
キ 「ほっほー。そういうことならこの勝負、いただきだな!」
イ 「何を?!」
キ 「遅らせばながら、自己紹介をさせてもらいます。オレの名前は、キリストと申します。以後お見知りおきを。」
イ 「そ、それなら自分も。自分はイブイブという名であります。」
ネ 「ぼ、僕はネボスケと言います。」
玉 「ネボスケ?変わった名前ね。」
キ 「そいつは寝坊したからそんな名前をつけられたダッサいやつなんすよ。それよりもね玉姫様、なぜオレがキリストを名乗っているかわかりますか?」
玉 「ええ、なんとなくわかるわ。」
キ 「さすが聡明な玉姫様。察しがいい。なぜキリストを名乗っているかと言えば、それはオレがクリスマスの夜に送り込まれたセイシだからに他なりません。」
玉 「そうなるわね。」
キ 「クリスマスと言えば、恋人達にとって最も大切な一日。そのクリスマスの夜に男と女はロマンチックなメイクラブをし、そしてこのオレが送り込まれた。・・・・これだけ言えば、聡明な玉姫様ならご理解いただけますよね?」
玉 「そうね。確かに『クリスマスメイクラブ』はポイント高いわね。」
キ 「もう、決まりっしょ。」
イ 「ちょっと待つのである!確かにイブイブ、つまり23日とクリスマスとの意味合いを比較すれば、クリスマスのほうが重要な意味合いを持つことは、この際認めるところである。」
キ 「だろ、なら、」
イ 「いや、待つのである!しかし、もしイブイブのメイクラブで我らセイシの誰かが玉姫様と早々に融合を果たしてしまっていたのなら、どうなるのであるか?」
キ 「うっ!」
イ 「そうしたら、クリスマスもクソもないのである。つまり、一番重要なことはメイクラブの『順番』なのである!!」
キ 「うがっ!!」
イ 「そして、順番で言えば自分、イブイブがこの三匹の中では最初なのである!!」
キ 「くそ、痛いとこを突きやがって・・・・。」
イ 「どうであるか?玉姫様。」
玉 「そうね、確かにあなたの言うとおりだわ。」
イ 「これは自分で決まりであるな。」
玉 「ねえ、ネボスケ、あなたは何か言うことないの?」
ネ 「え、ぼ、僕はクリスマスイブ、つまり24日に送り込まれたセイシなので、意味合いで言えばクリスマスに劣り、そして順番で言えば23日のイブイブに劣ります・・・・。」
キ 「相変わらずダッサいな。とりあえずお前さんの可能性は消えたな。あっち行って遊んでろ、な?」
ネ 「・・・・。」
玉 「・・・・。」
キ 「しかしね、順番とは言っても、現実問題として今現在に至るまで、どのセイシも玉姫様と融合を果たせていないわけで、その時点で順番の重要性は消滅なんじゃねえの?」
イ 「たまたま、融合が果たされなかっただけである。女は我らのセイシが人間になることを望んだからこそ、最初にメイクラブをしたのである。」
キ 「いいや、何かの手違いで事故的に送り込まれたという可能性もあるんじゃねえか?」
イ 「何を言うのであるか?!我らが愛のないメイクラブで送り込まれたセイシであるとでも?!」
キ 「ああそうさ。本命はやはりクリスマスのオレ達で、お前さんらとはお遊びだ。」
イ 「お遊びだと・・・・?!」
キ 「お遊びで戯れていたが、事故的に『送り込まれてしまった』。そういうことなんじゃねえの?」
イ 「キリスト、お前、さっきから言わせておけば、」
玉 「待ちなさい。」
イ 「!」
玉 「その点については、もうわかったわ。今度はもっと他のことでアピールしてもらおうかしら。」
イ 「くっ・・・・。」
玉 「そうねえ、じゃあ、次は夢でも語ってもらおうかしら。」
イ 「夢・・・・でありますか?」
じ 「つまり、人間になったらどんなことをしたいかってことですな。」
イ 「自分は世界を飛び回って、いろいろな世界の観光名所を見て回りたいと考えているのであります。」
玉 「へえ、旅行が好きなのね。」
キ 「ちっちゃい夢だこと。」
イ 「何を?!」
キ 「玉姫様、オレの夢はもっとスケールがでかいですよ。」
玉 「どんな夢かしら?」
キ 「オレの夢は宇宙飛行士になって、火星に行って、それで火星人と友達になることだぜ。イェイ!」
玉 「うふふ。確かにスケールの大きな夢だこと。でも火星人ってほんとにいるのかしらね。」
キ 「いますとも!飽くなき探求心!これぞ、男のロマンというやつですよ、玉姫様。」
玉 「じゃあ次はネボスケの番ね。あなたの夢を聞かせて。」
ネ 「僕の、夢ですか・・・・。僕の夢は・・・・、」
イ 「・・・・。」
キ 「・・・・。」
ネ 「僕には、まだ夢がありません。」
玉 「そうなの・・・・?」
キ 「くっははは。まあいいじゃねえすか、玉姫様。こいつの可能性はもう消えてるわけだし。ダサ過ぎて、もはや聞いてらんねえ。」
イ 「ネボスケ、本当に君には夢がないのか?」
ネ 「・・・・僕には鶴亀という苦楽を共にしたセイシがいました。」
キ 「おいおい、何の話だよ?」
玉 「その鶴亀というセイシがどうしたの?」
ネ 「鶴亀は僕の命の恩人です。彼にはとても具体的な夢があったのです。」
キ 「おいおい、他セイシの夢の話かよ・・・・。」
玉 「その鶴亀の夢、聞かせてもらえる?」
ネ 「はい。鶴亀の夢は大女優になることでした。」
キ 「大女優だと?」
イ 「大女優・・・・であるか。」
玉 「うふふ。面白いじゃない?」
ネ 「大女優になるためには、まずカリスマ読者モデルになる必要があります。」
玉 「うんうん、読モね。」
ネ 「そうです。それで女子中高生の憧れの的になります。」
イ 「カリスマとはそういうものであるからな。」
ネ 「そうしたら清純派女優として鮮烈デビュー!」
玉 「清純派なのね!」
ネ 「新人賞を総なめ!」
キ 「そんなうまいこといくかよ。」
ネ 「本能のままに歌手活動をしたりもします!」
イ 「それはマルチな才能であるな。」
ネ 「7週連続オリコン1位!」
キ 「7週連続て。浜崎あゆみでも無理だろが。」
ネ 「その後、きりのいいところで仕事ストップ!」
玉 「え、どうして?」
ネ 「結婚するからです!」
イ 「なんと?!相手は誰であるか?」
ネ 「クリエイターです!理由は、一番本能のままに生きてそうな気がするからです!それで、あとは・・・・、」
キ 「・・・・おい、ネボスケ。お前さんの目から変な液体が流れ出てるぞ。大丈夫かよ?」
ネ 「え、あ、いつの間に。これは・・・・これは、涙と言われるもので、人間の世界で最も尊いとされているものです。」
玉 「涙・・・・?」
キ 「まだ人間でもねえお前さんが、なんでそんなもんを流すんだ?」
ネ 「僕にもわかりません!ただ、ただこんなに具体的な夢を思い描いていた鶴亀が、何の夢も持っていない僕なんかのために死んでしまったその無念と、自分の不甲斐なさを思うと涙が止まらないのです!!」
じ 「た、玉姫様、どうなさいました?!」
ネ 「え?」
玉 「わからないの。ネボスケの涙を見ていたら、急に目頭が熱くなってきて・・・・。これが、涙なのね。」
キ 「おいおい、涙っていったい何なんだよ?」
イ 「自分にも理解不能なのである。」
ネ 「玉姫様・・・・。」
玉 「涙止まらないじゃない。ネボスケ・・・・どうしてくれるのよ。ぐすんっ。」
ネ 「・・・・玉姫様。僕は今、ようやく夢を見つけることが出来ました。」
玉 「え?」
ネ 「僕は・・・・僕は、鶴亀の夢を引き継いで大女優になる!それが僕の夢です!!」
玉 「・・・・それでいいの?」
ネ 「はい!僕の本能が言っているのです。鶴亀の夢を引き継ぎたいと!」
じ 「ちょっとお待ち下さい。ネボスケさんは私めが見たところ、オトコセイシであるとお見受けいたしますが、その場合、女優じゃなくて、男優になるのでは?」
ネ 「いえ、僕はあくまで大女優になるのです。」
じ 「いえ、ですから、ネボスケさんはオトコセイシで・・・・、」
ネ 「男に生まれたら、性転換手術をして女になる!」
じ 「!!」
ネ 「・・・・それだけのことです。」
じ 「な、なんと、そこまで考えていらしたとは・・・・恐れ入りました。」
「性転換手術をして女になる!」という僕の衝撃発言が飛び出した後、場はしばらく沈黙に包まれた。そしてその沈黙を破って、玉姫様が言葉を発した。
玉 「あたし、決めたわ。」
じ 「左様でございますか。それで、どのセイシになさるのですか?」
イ 「もちろん、この自分でありましょう?」
玉 「・・・・うーん、世界中を旅行するのも悪くないと思ったわ。」
イ 「そうでありましょう!」
玉 「でもね、よく考えたらあたし、根っからの『出不精』なのよね。」
イ 「うがっ!」
玉 「だからごめんなさい。」
キ 「くっははは。残念だったな、イブイブ。・・・・ということは、つまり、このオレで決まりってことですよね!」
玉 「うふふ。」
キ 「ひゃっほーい!」
玉 「あなた、あたしの話、聞いてなかったの?」
キ 「は?」
玉 「あたしは根っからの出不精だと言ったでしょ。」
キ 「え、ええ、それは聞きましたが・・・・。」
玉 「つまり、宇宙なんて、もってのほかよ。」
キ 「!!(がびーん)」
じ 「玉姫様、ということは・・・・。」
玉 「ええ、あたしはネボスケに決めたわ。」
ネ 「え、ぼ・・・・僕?」
キ 「オゥマイガ~。こんなダサいセイシのどこがいいんすか?!」
玉 「ネボスケの話を聞いて、あたしも大女優になってみたくなったの。それだけのことよ。」
キ 「ですがね、大女優になるという夢は元々ネボスケの夢ではない!鶴亀ってやつの夢だったんでしょ?!」
ネ 「・・・・。」
キ 「他セイシの夢をさも自分の夢であるかのように語り、そして玉姫様の気を惹くなど、セイシの道から外れた外道な行為だ!」
玉 「それは違うわ。」
キ 「え?」
玉 「友の果たせなかった夢を叶えてあげたいというこの気持ち。これは自己を犠牲にしてでも他者を思いやるという尊い感情よ。」
キ 「うっ・・・!しかし、それは本能のままに生きるオレらセイシにとってあるまじき思考!」
玉 「確かにそうね。通常のセイシの発想ではあり得ない。・・・・でもあたしはネボスケのそんなところに惹かれたの。」
キ 「そ、そんなぁ。そ、そいつは出来損ないのセイシなんすよ?!」
じ 「キリストさん、玉姫様は一度決められたことを変えるようなお方ではございません。」
玉 「そうよ。あたしに二言はないわ。大人しく下がりなさいな。」
キ 「納得できねえよ~。」
玉 「さあネボスケ、こちらにいらっしゃい。」
ネ 「はい。」
キ 「うわ~ん、玉姫様ぁ~。」
イ 「キリスト、往生際が悪いぞ。『セイシたる者、潔くあれ』であろう?」
キ 「ぢぎしょ~。お前さんは悔しくないのかよ?!」
イ 「もちろん悔しかったのである。・・・・が、今は祝福したい気持ちである。」
キ 「あ?祝福だぁ?!・・・・お前さんも十分変わりもんのセイシだぜ。まったく。」
イ 「我々にはない何かがネボスケにはあったのであろう。そして玉姫様はそれを感じ取ったのであろうな。」
ネ 「あ!」
玉 「どうしたの?」
ネ 「あるセイシから託されたこの指輪を玉姫様に渡すのを、すっかり忘れていました。」
玉 「あら、綺麗な指輪ね。」
ネ 「今更ですが、受け取って頂けますか?」
玉 「うふふ。あなた、馬鹿ね。さっさとこの指輪を渡していれば、簡単にあたしのハートを射止められていたのに。」
ネ 「そうですよね。僕は本当に馬鹿です・・・・。」
玉 「・・・・なーんてね、嘘よ。」
ネ 「え?」
玉 「こんな指輪で射止められる程、あたしのハートは単純じゃないわ。」
ネ 「え、え?」
玉 「むしろ、逆ね。こんな指輪であたしの気を惹こうなんてしてたら、今頃あなたを選んでいなかったわ。」
ネ 「それは、あぶないところでした・・・・。」
玉 「うふふ。うっかり者な自分の性格に救われたわね。」
ネ 「じゃあ、この指輪は・・・・、」
玉 「そうねえ、でもせっかくだからありがたく頂戴しておくわ。」
ネ 「玉姫様、意外とちゃっかりされているんですね。」
玉 「まあ!うっかり者のあなたに言われたくないわ。うふふ。」
じ 「それでは、これから『融合の儀式』を始めさせていただきます。」
ネ 「・・・・。」
玉 「・・・・。」
じ 「・・・・と、その前に、もう一度お二方の『覚悟の程』を確認させていただきます。」
玉 「いいわ。」
じ 「ネボスケさんはここに至るまで、数々の試練を乗り越えて参りましたが、これは決してゴールではございません。新たな試練へのスタートなのでございます。」
ネ 「はい。」
じ 「玉姫様と融合を果たしたからと言って、必ず無事に人間になれるとは限りません。『死産』という形で生涯を閉じることもございます。」
玉 「そうね。」
じ 「また、無事人間として産まれることができたとしても、親によっては育児放棄をされるかもしれませんし、また、虐待を受けるやもしれません。」
玉 「負けないわ。」
じ 「保育園は待機児童で溢れ、なかなか入園できないかもしれませんし、小学校に上がれば上履きを隠されていじめられたり、中学校に上がれば好きな子に告白した時、フラれてショックを受けることもあるやもしれません。」
ネ 「上履きを?」
じ 「社会人になっても、不景気で正社員になれないかもしれませんし、また・・・・、」
玉 「じい。もういいわ。」
じ 「・・・・左様でございますか。」
玉 「それにあたし達は大女優になるんですもん。」
じ 「そうでございましたね。その点についても言っておかなければなりませんな。男ながらに大女優を目指すということは、世間から好奇の目で見られ続けるイバラの人生を送るということでございます。その覚悟はおありですかな?」
玉 「承知の上よ!!」
ネ 「僕は・・・・本能のままに生きるだけです!!」
じ 「左様でございますか。・・・・承知致しました。それでは、融合の儀式を始めるとしましょう。」
僕と玉姫様は、『受精膜』と呼ばれる、誰にも破ることの出来ない透明な膜にすっぽりと覆われた。もはや、僕と玉姫様の融合を邪魔できる者は誰もいなくなった。玉姫様の間には、護衛部隊の「玉姫様、万歳ーー!!」という声が響き渡っていた。
玉 「ねえ、ネボスケ。」
ネ 「うん?」
玉 「ふふ~ん♪新人賞、総なめにしよーね。」
ネ 「うん、総なめにしよう!」
玉 「7週連続オリコン1位も獲るんだよ?」
ネ 「もちろん!そしたら、クリエイターと結婚さ。」
玉 「ふふふ~ん♪・・・・じゃあ、おいで。あたしの中へ。」
BGM:マライア・キャリー「恋人たちのクリスマス」
こうして、オカマの男性が生まれてくる
世界中すべてのオカマ達に
メリークリスマス
Fin.




