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決着

 エリスによって脳天を地面に叩きつけられたデルピュネ。


 エリスはそのままデルピュネの首を脇に抱え込んで絞め上げる。


「斬撃や打撃が()かなくってもこれは()くみたいね」


 二重のリミッター解除で、一気に絞め上げるエリス。


 これで決着をつけるつもりだ。


 だが突然、デルピュネを絞め上げる感触が無くなる。


「コイツ、また脱皮して!」


 レイコが注意を促す意味も込めて叫ぶ。


「面倒くさい女ね」


「やはり斬るのが確実か」


 星垂と霧香が追撃し、レイカも羽の模様を見せる体勢に入る。


「まずい?!」


 デルピュネの異様な雰囲気を感じ取った由利歌が叫ぶと、右手で手印を組む。


「なんだ?! 星垂、いったん離れろ! 何かあるぞ!」


 霧香の叫びに反応する一同。


「もう遅い!」


 デルピュネの両目から異様な妖力が発される。


「?! 何ともない……」


 気の抜けた表情の星垂。


「ちっ、邪魔されたか。だが次はないな」


「そうね、次はちょっと無理かも……」


 忌々しそうに由利歌を睨むデルピュネ。


 その由利歌の手印を組んだ右手が石化していた。


「今のはメデューサの能力。あのキメラがどこかで拾い食いでもしたのかしら……」


「メデューサの石化の呪いを肩代わりしたの?!」


 由利歌の反応から状況を理解した星垂が驚きの声をあげる。


「迂闊に顔を見れないな」


 言葉通り、デルピュネの顔を視界に入れないように構える霧香。


「喧嘩は(つら)(つら)合わせてやるもんだからなぁ。やりづれぇ」


 レイコがボヤく。


「次はこれよ」


 そう言うと、デルピュネの周囲を冷気が包み、その手足や翼が凍り始める。


「この妖力、まさか氷水達の?!」


 その妖力に覚えがある火織が、かつて自分と小夜子を追ってきた『敵』の名前を出す。


 デルピュネの周囲に無数の氷の刃が出現し、一斉に発射される。


「このぉ!」


「数が多すぎる」


 火織と星垂が炎で迎撃するが、全ては撃ち落とせない。


「えっ?!」


 氷の刃を迎撃する中、星垂が異常に気づく。


 自分のすぐそばの空間が揺れたと思うと、それがデルピュネになる。


 氷の刃が降りそそぐ中、保護色で周囲をに同化して接近していたのだ。


「しまった?!」


「まず1人」


「させない!」


 咄嗟に夢子が精神攻撃を仕掛け、デルピュネをうつむかせたまま地面に伏せさせる。


「長くは待たないわ!」


「助かった!」


 星垂はその場を離れながら、青い炎を食らわせる。


「また脱皮して逃げたら、そこを狙い撃つ」


 距離を置き様子見に徹する一同。


 しかし、デルピュネは炸裂し、何かが全方位に発射される。


「これは……。鱗だわ! アイツ、古い皮を炸裂させて炎を消したんだわ!」


 星垂は自分に刺さった何かを取り出し、デルピュネの手の内を明かす。


「結局は脱皮か」


「でもそれが厄介なのよね」


 ボヤく霧香と脱皮の応用に感心するレイカ。


「でも、1番の問題はまだまだ、相当な妖力が残っているのよ。コイツ」


 エリスの言葉に、仲間達は静まりかえる。


「デルピュネもキメラも妖力の総量はかなり多かったけど、それが合わさった感じなのかしら」


「そうですね。多分、今の総妖力量はエキドナを超えていると思います」


「えっ、エキドナ以上?!」


 愛美とエリスの会話に思わず割って入る桜。


「エキドナだってあの陰陽師がいなかったら、相当な犠牲を出していたわ。加えてコイツはあのキメラの能力も使える。エキドナの上位互換と認めるしかないわね……」


 沈黙す楼。


「そんな強大な相手と戦う術が封印術だ。やるしかあるまい」


 一郎の言葉に静かに頷く紗由理。


 その時だった。


『すまない走矢。もうコイツを抑えきれない。コイツが暴れだすとあたり一面にとんでもない被害を出すかもしれない。とにかく、身の安全を第一に考えてくれ!』


 突然、走矢の口を借りて蒼炎が危険を知らせる。


「ちょっと、バカ息子! コイツって何? いったい何が出てこようとしてんのよ!」


「もしかして温羅さんが来てくれたとか?」


 期待を込めた春香の言葉に首を横に振る走矢こと、蒼炎。


『温羅なら別に止めやしねえ。何だかんだ加減も周りへの気づかいもできるからな』


「じゃあいったい、何が来ようとしているのよ?」


『ババァもよく知ってる奴だ。いつも喧嘩してただろう?』


「まさか……、アイツ?!」


 言い終わった由利歌は、走矢の影が変化している事に気がつく。


「あらあら。誰かと思ったらタダ飯女じゃない。こんなところで会うなんてきぐうね」


 走矢の影は黒いセーラー服を着た少女になり、由利歌に話しかける。


「出たわね、この蛇女……」


 由利歌は、あからさまに嫌な顔をして返す。


 フンッ、と微笑を浮かべてデルピュネの方を向く少女。


「はじめまして、櫛名田 八重子(クシナダ ヤエコ)よ。よろしくね」


 八重子は冷たい笑みをデルピュネに向ける。


「フンッ、まとめて始末してやる」


 デルピュネはそう言うと、自分の周囲に大量の氷の龍を出現させる。


「氷に妖力波を込めた氷龍。これで終わりにしてやる」


 しかし、その氷龍達は放たれる事なく全て砕けちった。


「…………?! なんだ……、一体何をしたんだ?!」


 取り乱すデルピュネを八重子から伸びた8つの影が捕らえる。


 圧倒的な力に押さえ込まれ、取り乱すデルピュネ。


「逃さないわよ。人の縄張りで、好き勝手やってくれたわね。この外来種が」

 

 そう言うと、8つの影はデルピュネに食らいつき、捕食されて逝く。


「ああ、まだこっちの名前は名乗ってなかったわね。櫛名田 八重子(クシナダ ヤエコ)。またの名は八岐大蛇(ヤマタノオロチ)よ。よろしく、そしてさようなら」


 八重子が名乗り終えた頃には、すでにデルピュネの原型は無かった。

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