表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/159

決戦5

 ヒドラと戦う、火織達は苦戦していた。


「ラードンは100の命を自慢していたが私は違う。伝説にあるヒドラは9つの首を持つというが、私は9つの本体を持っている。9人全員が本物だ!」


 その言葉の通り、9人のヒドラが火織と羽月の前に、立ちはだかり襲ってくる。


 9対2という絶望敵な状態で一方的にやられている火織と羽月だったが、そこに戦闘に勝利した桜、春香、直、レイコ、レイカ、夢子が参戦し何とか盛り返す。


「戦うのは良いけど倒しちゃ駄目だよ。伝説のとおりなら1人倒すと2人生えてくる。トドメは火織の炎じゃないと」


「倒しちゃ駄目って、手加減できるレベルの相手じゃないのに……」


 紗由理の指示に逆らうわけではないが、それが容易ではない事を、春香が口にする。


「やるしかねぇ! コイツを片付けてエキドナの方にいかねぇと……」


 チラリと横目で走矢の方を見る桜。


「とりあえず1人」


 レイカは羽の模様でヒドラの1人を拘束する。


「ダメッ! あたしの精神攻撃じゃ、動きを止める事はできない!」


 夢子の能力では足止めは無理そうだ。


「なっ何だこれは?!」


 春香の(まぼろし)に引っかかり、直の糸状の亜空間に、ヒドラが2人ひっかかる。


 動けなくなったヒドラを火織が始末しようとするが、それを他の引っヒドラ達が邪魔をする。


「流石にもったいぶり過ぎ」


 そう言って飛び出すウィルウィスプ。


「テメェは?!」


 その姿を見て、咄嗟にかつて走矢の命を奪いかけた存在だと気づく、桜。


「落ち着きなさい。経緯はわからないけど、味方だというのなら彼女の力は役に立つわ。ヒドラの対処を間違えるわけにはいかないの」


 今にもウィルウィスプに掴みかかりそうな桜を、春香が制する。


 春香には、桜が必死に自分を抑えているのが伝わってくる。


「でももし、おかしな素振りを見せたら、私は躊躇(ちゅうちょ)しないわよ」


 春香も決して彼女の事を許したわけではなかった。


 ウィルウィスプは直の結界に捕らえられた2体を狙うが、他のヒドラがそれを邪魔しようとする。


「ちぃっ!」


 それを桜と春香が迎撃し、ヒドラ2体はウィルウィスプの炎に包まれる。


「敵の数が減れば妨害も難しくなる。これで均衡(きんこう)は崩れたわ」


 春香の言うとおり、9対7と人数で有利となり、次々とヒドラを焼いていく。


「おのれ〜、かくなるうえは……」


 そう言うと、最後の1人となったヒドラは、自らの首をはねる。


「まさか?!」


 その姿を見て、春香は取り乱す。


「なっ、なんだぁ?!」


 はねられた首からは胴体が、胴体からは首が生えてきて、それを見た桜が青ざめる。


「私は体勢を立て直す! 時間稼ぎを頼むぞ!」


 2人になったヒドラの1人が戦場から離脱しようとする。


「やべぇ、逃したら増えられるぞ!」


 翼を広げ、逃げるヒドラを追う桜。


「邪魔はさせん!」


 時間稼ぎを任された方が、桜に襲いかかるが、レイコとレイカに取り押さえられ、ウィルウィスプの炎で焼かれる。


「桜!」


 火織は桜目掛けて炎の矢を放つが、それは炎の剣に変化し、桜の手に収まる。


「よっしゃあ!」


 気合の入った桜の一撃が最期のヒドラを貫き、焼きつくす。




「おのれぇえ!」


 先程までの余裕が消え、激昂(げっこう)するエキドナ。


 一度に100近い、龍の妖力波を放つが、蒼炎が余裕の笑みを浮かべるとその半数が支配権を奪われ、残りの半数を迎撃する。


「エキドナの妖力をハッキングして支配しているんだわ。たぶん、その気になれば全ての龍を支配できるんだけど、その必要が無いから半分だけ支配権を奪っている……」


 年長者のリリスが、何が起こっているのか解説する。


「フンッ! だけど貴方(あなた)も私に攻撃できないんじゃないの? 龍の支配権を全て奪わないのも私を攻撃できないから。妖力のハッキングには相当の集中力が必要なはず。私は貴方(あなた)がミスをするのを待てば良いだけ!」


 そう言って妖力波の発射体勢を取るエキドナ。


 しかし、その表情は(あせ)りと困惑に変わる。


 妖力波は放たれる事なく、エキドナに巻き付き、拘束する。


「勘違いするなよ? その娘を傷つけずに助け出す方法なんていくつも思いついている。どれが一番格好良く助けられるか。俺が悩んでいるのはそれだけだ」


 かっこよさげな顔でポーズを決める蒼炎。


「このバカ息子」


 そんな彼に身内から野次が飛ぶ。


「陰陽師風情がぁぁぁぁ!」


 エキドナは怒りの形相で拘束を破壊すると、猛ダッシュで蒼炎に迫る。


 妖力波とは身体の外に妖力を放出するモノ。


 そのぶん、支配権を奪われやすい。


 しかし、体内の妖力は支配する力が強く、支配権を奪われ(づら)い。


 エキドナは妖力を放出しない肉弾戦で決着をつけようというのだ。


「やっと近づいてくれたな」


 あともう一歩で届くというところで、エキドナの足元に五芒星が出現すると、光の柱に飲み込まれる。


貴方(あなた)……、誘ったの!」


 ほくそ笑む蒼炎。


「そりゃ、その子とお前を分離するために、触れる必要があるからな」


 そう言ってエキドナを包む光の柱に手をかざす。


「デルピュネ、手を貸しなさい! このままでは封印されてしまいます。」


「ハッ!」


 手短に返事をしたデルピュネから、蛇の形の妖力波が放たれる。


 右手の5本指からエキドナに、左手の5本指からは蒼炎向かって飛ぶ。


 しかし、計10体の妖力波の蛇はその半分をハッキングされ、エキドナの龍の妖力波と同じ運命をたどる。


 が、妖力波に隠れて1本のナイフが蒼炎の眉間目掛けて放たれていた。


 (すんで)のところでそれを止める蒼炎だったが、同じ様なナイフが、奏美にも放たれていた。


「ぐっ?! デルピュネ……。いったいなんの真似だ!」


 ナイフは奏美の腹部に刺さり、エキドナは両膝をつく。


「私が戦っても勝てる気がしませんので、エキドナ様。暴走していただけませんか?」


 その微笑みはどこか冷たかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ