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反撃7

 獣人達の侵入を許した人妖機関、上沢支所。


 指揮官の熊田 房士(クマダ フサシ)と対峙する、走矢、小夜子、光師だったが、1人空気を読めない獣人がいた。


「あ〜、君が走矢くん?! うわ〜、ほんとそっくりだね〜」


 房士と共にシェルター内に突入してきた、烏の獣人、烏間 香子(カラスマ カオルコ)がやけに馴れ馴れしく走矢に近づく。


「こら、そこのあなた。そんな子供はどうでもいいですから、光師くんを拘束しなさい」


「ほんと、新矢(にい)にそっくり」


 そう言って、走矢の顔をペタペタと触り始める香子と動揺する走矢。


「ええ〜い、邪魔です。どきなさい!」


 房士は光師に向かっていき、その前に立ちはだかる走矢と香子を押しのけようとしたが、その手を香子に掴まれる。


「なっ、なんですかこの力は?! 月宮の小娘の力じゃありませんよ!」


 房士はその巨体を投げ飛ばされ、目を白黒させる。


「あの男、頭の方はアレだが、戦闘力はかなりの物だぞ!」


「頭がアレとは何ですか! お兄ちゃん程ではありませんが、かなりの切れ者と自負しているんですよ!」


 戦闘態勢に入る房士。


 それを見て一歩前に出る香子。


「コイツは僕が何とかするから、君達は下がっていて」


 そう言って烏の翼を広げ、臨戦態勢をとる。


 キェーッ、と奇声を上げながら巨体からは想像もできないスピードで突進してくる房士。


 刹那、香子の目の前でフェイントを入れての横っ飛び。


 からのジャンプで、その巨体が香子を押しつぶす。


「?!」


 香子の翼から抜け落ちたであろう、烏の羽根が房士を中心に舞散る。


 咄嗟に自分達を助けようとしてくれた少女の名前を呼ぼうとした走矢だったが、ついさっき出会ってなぜか自分の事を知っていたこの少女の事を彼は何も、名前すらも知らなかった。


「余白。澄白 余白(スミシロ ヨハク)。それが僕の名前だよ。覚えておいてね、佐伯 走矢(サエキ ソウヤ)くん」


 どこからともなく少女の声が聞こえる。


 その時、走矢は気づいた。


 舞散る烏の羽根が木の葉に変わっていた事に。


 起き上がる房士を中心に渦巻く木の葉。


「面妖な?! いったいなんです? 何なんです!」


「君はこれから僕にボコられるの!」


 その声と同時に、渦巻く木の葉の中から攻撃を食らい、吹っ飛ぶ房士。


 その後、吹っ飛んだ先々で、パンチかキックかわからないが攻撃を食らい続け、最後に渦の外に吹っ飛んできたときには白目をむいていた。


 渦が止み、木の葉が床に落ちると、そこには巫女服に袴ミニスカート。


 狐の耳と尻尾を待つ、妖孤の少女が立っていた。


 狐の少女は走矢と目が合うと、ニッコリ笑ってVサインする。




「どうやら役者が揃ったようですね」


 オルトロスに取り憑いている霊体の男が、攻撃を受けている上沢支所を眺めながら、静かに呟く。




 一方、敵の拠点では、ヘカーテと霧香、玲奈、アリスの戦闘が続いていた。


「食らえ!」


 正面から切りかかる霧香。


 と、同時にアリスと玲奈が左右から攻め、コンビネーションで、ヘカーテをおい詰めていく。


「おのれ〜!」


 配下が倒され、打つ手の無いヘカーテ。


 正面の霧香めがけて妖力波を放つが、彼女の刀と鎧に(はば)まれてしまう。


「今だ!」


 紗由理がそう叫ぶと、土人形達がヘカーテにしがみつき、拘束しようとする。


「泥人形の分際で!」


 ヘカーテはワンテポ遅れて妖力を全身から放出し、土人形達をふっ飛ばす。


「泥人形じゃなくって、土人形だから」


 ヘカーテの言葉を訂正する紗由理の手元に、吹き飛ばされた土人形が変化した粘土玉が戻る。


「きっ、貴様ぁぁぁぁ! この薄汚い魔女がァァァ!」


 紗由理の手元に戻った粘土玉には『封』と書かれており、これはヘカーテの力の一部を封じた物だった。


「いける?!」


 紗由理の懐でウィルウィスプが勝利を確信したようなセリフを口にする。


「気が早いよ……」


 そう言って紗由理はたしなめる。


 先程のリリスとエリスの会話のせいというわけではないが、紗由理も何か予想外の事が起きそうな予感がしていた。


「ウイル、いつでも出れる準備はしておいてね。それと、その時の相手がヘカーテとは限らないから……」


「消えろ!」


 ヘカーテ怒りの妖力波が骸骨達に炸裂するが、一掃するには至らない。


「妖力が落ちている?」


 アリスが呟く。


「妖力と言うより、器の方が持たないみたいね」


 その呟きに自身の見解で返す玲奈。


「支所を襲撃したときも、結界の破壊から次の行動まで、結構な(あいだ)()いていた。本来はあのくらいのインターバルが必要だったんだ」


 事実、最初の霧香と土人形を攻撃したときが妖力のピークで、それ以降、落ち続けていた。


「妖力を使った後、回復まで時間がかかるんだ。だからこうやって畳み掛けられると回復する間もなく次から次へと消費していくから、普通に対処できるレベルにまで落ちていく。ただ、それでもかなりの妖力だし、こうやって勝負になっているのはコチラの上位戦力だからさ」


 紗由理の説明に、ナルホドと納得するウイルウィスプ。


「せぇぇぇぇぇい!」


「ふん!」


 紗由理とウイルウィスプが会話している間に、アリスと玲奈の即席コンビが同時に回し蹴りを繰り出し、ヘカーテを壁際までふっ飛ばす。


「おの……れ」


 力無く立ち上がるヘカーテに巨大骸骨が襲いかかる。


「くっ……」


 妖力を絞り出し、何とか巨大骸骨を破壊するヘカーテ。


「まだた!」


 そのヘカーテに駆け寄る霧香が何やら念じると、ヘカーテの周囲に等身大の骸骨が4体現れ、攻撃を開始する。


「ぐっ?!」


 もはや等身大の骸骨ですら、一撃で破壊することのできないヘカーテ。


 妖刀一閃、霧香はその骸骨達もろともヘカーテを斬る。


 無言で地に伏すヘカーテ。


 霧香が紗由理の方を見ると、魔女は小さく頷いて返す。


 封印のための弱体化はもう十分と言う事だ。


 紗由理が近づき、封印を試みようとしたその時、大広間の天井が砕け、何者かが乱入してくる。


 乱入者は数人いたが、そのうちの2人に舞は見覚えがあった。


「奏美……。お父さん?!」


「久しぶりだね、舞。藍華も」


「お姉ちゃん……。いや、綾瀬舞。そして藍華。大人(おとな)しく私に殺されてもらうぞ」


 そう言うと、手から龍の形の妖力波を放ち、それは舞を(つらぬ)く。

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