反撃3
「なに?! 地下施設に侵入者だと? そいつらはもういい! 地下施設に応援に行け!」
フロントのスタッフの1人が連絡を受け、他のスタッフに指示を出す。
「陽動はここまでだな。日奈子!」
「了解了解」
フロントスタッフ相手に鬼ごっこをしていた夏た日奈子。
夏は術で愛用の刀を召喚し、日奈子は雷を帯びた翼を広げる。
「こいつ、人間じゃない?!」
「おそらく人妖機関だ!」
2人の正体に驚愕するスタッフ達。
「コイツラを地下に行かせない」
「大丈夫、あたしが全部シビレさせちゃうから!」
日奈子の翼から放たれた閃光が獣人のスタッフ達を包み込む。
「お前か……」
「私と戦った時よりボロボロだな。休んでいた方が良いんじゃないのか?」
地下の騒動に気づき、参戦してきたリザードマン、二郎が霧香の前に立ちはだかるが、まともに戦えるようには見えなかった。
「やるからには容赦はしないぞ。今の私には負けられない理由しかないからな」
「望むところだ!」
ガシャドクロ渾身の一太刀は二郎の予備のグレートソードごと彼の胴を切り裂く。
「…………」
霧香は一瞥もくれることなく、無言でその場をあとにする。
「昼間はよくもやってくれたな!」
「要は羽の模様を見なければいいだけの話」
「種が分かればどうということはない!」
レイカ、レイコ、夢子の前に立ちはだかる七、八、九郎。
昼間の再戦となったが、やはり3人ともダメージが残っている。
「姉貴、あたいにやらせてくれ。リベンジだ!」
言うと同時に羽から鱗粉を槍状にして飛ばすレイコ。
「ふん、そんなモノ!」
自慢の槍で撃ち落とそうとする八郎だったが、槍の穂先が削りとられて取り乱す。
「俺の自慢のやりがぁぁぁ!」
「あの鱗粉、厄介だぞ!」
「ならば手数で勝負だ!」
九郎は両手で10本以上の投げナイフを放つが、円盤状の鱗粉が面を向ける事で盾のようになり、全て削り取ってしまう。
「とうした? 終わりか?」
「舐めるなよ!」
七郎は一度刀を鞘に収め、居合の構えを見せる。
「影井流居合!」
右手に持った刀に妖力を纏わせ、左手に持った鞘から妖力を放出させる事で剣速を上昇させる。
高速の斬撃は削り取られる前に鱗粉の盾を貫通し、纏った妖力を刃状に延ばしてレイコに届く。
「なに?! これは!」
盾の後ろにいたレイコは鱗粉で作られた偽物。
「そういうこった!」
鱗粉による迷彩で姿を隠したレイコは、七郎の真横に迫っており、その体当たりをまともに食らう。
「フィナーレだ!」
レイコがそう言うと、リザードマン兄弟目掛けて槍状の鱗粉が次々と発射される。
「って言うか、何度目だ? おめぇら」
「こっちのセリフだ!」
桜達の前に現れたのはリザードマン兄弟の10男、十郎とトロール利波とミノタウロスの朔美。
再生能力が自慢の利波以外はやはり昼間のダメージが残っているようだ。
「まともに動けるのはあたしだけだ。お前達は援護に徹しろ!」
そう言って先陣を切る利波は両腕から合わせて10本の鎖を放ち、桜達を攻撃する。
「春香!」
そう叫んだ桜は放たれた鎖の半分を掴むと、同じ様に春香が残りの鎖を掴み、利波の周りを回転して縛りあげる。
「ったく、何やってんだか」
拘束された利波に呆れながら加勢しようとする朔美。
本来、両手で持つようなバトルアクスを片手で持ち、その二刀流で桜達に襲いかかる。
「しねぇ!」
桜目掛けて、右手に持ったバトルアクスを振り下ろすが、簡単にかわされてしまう。
桜は床に刺さったバトルアクスの柄を勢い良く踏みつけ、右手の斧を封じる。
「このぉお!」
朔美は残った方のバトルアクスを今度は横方向に振るうが、桜は一歩踏み出し、柄の部分を掴んで止める。
と、同時に桜ぎ繰り出した蹴りが、深々と朔美の横腹に食い込む。
「ぐはぁっ!」
悲鳴をあげる朔美の武器を握る力が弱まる。
桜はそのスキを逃さず、握った柄で勢い良く朔美の胴を突き、前のめりになったところを前蹴りで顎を蹴り飛ばす。
「クッソ、なんてタフな奴だ!」
顎を蹴り飛ばされても、必死に体勢を立て直そうとする朔美を見て思わず叫ぶ桜。
「これでおねんねしろ!」
朔美に組み付き、頭突きを御見舞する桜。
ようやく敵が白目をむいたのを確認して戦闘を終了する。
「くそっ、これでどうだ!」
鎖で縛られた利波はそう言って全身から体内にしまい込んでいた発射する。
春香はそれをかわしながら利波に接近し、膝蹴りを顔面に食らわせる。
「ダメ押し!」
春香はそう言いながら、膝蹴りの勢いを利用して利波を飛び越しながら彼女の首を掴んで、地面に叩きつける。
一方、直と咲花が十郎の相手をしていた。
「足手まといにはならないんだから!」
鼻息荒くファイティングポーズを取る直と心配そうな咲花。
「行くぞ!」
威勢よく直に向かっていく十郎だったが、肝心の直が逃げ腰で、とうとう敵に背を向けて逃げ出してしまう。
「真面目にやれ!」
追いかけながら叫ぶ十郎だったが、体に違和感を感じる。
よく見れば、周囲に糸のような物が張りめぐらされ、それに手足が絡まっていたのだ。
「なんだ、これは?! 動けない……」
「ふっふ〜、引っかかっちゃったね〜。それこそが我が、美島家に伝わる『亜空間縛り』! その糸1本1本が亜空間結界で、それに捕らわれた部位は完全に固定されるのよ!」
この業は以前、直の両親が朱雀の石像を捕らえ、破壊したのと同じ物なのだが、直は捕らえるだけで、生き物相手に破壊は行わない。
「ま〜、時間が経てば消えるから」
そう言いながら十郎に近づく直。
「いや〜さ〜。前からリザードマンって顔が怖いって思ってたのよ。んでね? 眉毛を描いたら怖くなくなるんじゃないかっておもったの」
そう言ってマジックを取り出す直。
「おい、まて! やめろ!!」
桜達が立ち去ったあと、意識を取り戻した利波が立ち上がる。
「くそ〜。あたしだけでもあいつらの後を追わないと」
トロールの再生力で何とか動ける砺波だったが、直の術で拘束された十郎の顔を見て大爆笑してしまい、塞がった傷がまた開いてしまう。
同時刻、ビジネスホテルの裏口にて、動きがあった。
「片付きました」
「ご苦労。さぁ、母上こちらです」
男がエスコートするように『母上』と呼んだ女性に付き従う。
「この先にこの器の家族がいるのだな?」
「はい、この器の母親、綾瀬藍華と綾瀬舞。この2人をその手で殺害すれば、器は完全に母上の……、いえエキドナ様のモノとなります。」
エキドナと呼ばれた少女、綾瀬奏美がニヤリと不気味な笑みを浮かべる。




