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応戦4

「桜! 奏美ちゃんも無事だったんだね」


 支所の2階で合流した走矢と桜達。


「彼女達を他所(よそ)に避難させたいんだ。誰か話しを通せる人は居ない?」


「それなら中央室に居る伯父さんに話してみよう?!」


 走矢が言い終わる前に、建物を揺るがすような轟音が鳴り響く。


 天井が崩れ落ち、下敷きになりかけた一同は粉塵の中で立ちあがる人影を目撃する。


「クックック、俺にこの『大斬波(だいざんぱ)』を使わせるとはな」


 それは、5階で戦っていたはずのリザードマン、二郎の姿だった。


 ソレと対峙する女武者、ガシャドクロの矢嶋 霧香(ヤジマ キリカ)


 彼女は綾瀬姉妹との密約で得た『御子の血』を使い、一時的に能力を解放していた。


 骸骨を模した鎧を身に着け、分体である骸骨達を操り、二郎を追い詰めたのだが、彼の大業(おおわざ)によって逆転されたのだった。


「まさか骸骨達(分体)が一撃で一掃されるとはな……」


 負傷した身体を引きずるようにして立ち上がる霧香。


「くそっ、時間か!」


 御子の血の効果が消え、再び封印状態になる霧香。


「結界が消えたとはいえ、とんでもない威力だな」


 5階から飛び降りた虎次郎が感想を述べる。


「何より、幸運をもたらしてくれた」


 ワータイガーは綾瀬姉妹の方を向き、ニヤリと笑う。


「霧香!」


 虎次郎を追うように5階から飛び降りる羽月と火織。


「走矢くん?! 怪我は? 大丈夫だった?」


 霧香に駆け寄りながらも走矢の事しか考えていない火織。


「最悪だぁ……」


 頼りにしていたガシャドクロで倒しきれなかったリザードマンを前に、目を覆いたくなる紗由理。


「随分とボロボロね。貴方(あなた)も剣も。それでもやるの?」


 挑発気味の玲奈。


「数の上ではこっちが有利! ここは私達に任せて、走矢くんは彼女達と伯父さんの所へ!」


 春香に促され、姉妹を中央室に連れて行こうとする走矢。


「行かせん!」


 虎次郎がそれを追おうとするが、火織と羽月、桜と春香が立ちはだかる。


「お前が俺の相手か?」


「そうなるわね」


 二郎の質問に玲奈が応えるや否や、まだ粉塵舞散る戦場を彼女が駆ける。


 手には戦利品の陣夜の槍が握られている。


 グレートソードで迎え撃つ二郎だったが、玲奈はそれをあっさり片手で受け止める、握ってへし折る。


「なっ?!」


 驚く間もなく、玲奈が振り下ろした槍が二郎の頭にめり込む。


「言ったでしょ? 剣貴方もボロボロだって。第二ラウンドを戦える状態じゃなかったのよ」


 玲奈は冷たく言い放つと、二郎の前のめりになった顔面に前蹴りを食らわせ、さらに大きく上げた足を勢い良く振り下ろし、かかと落としを炸裂させる。


「次は貴方(あなた)よ」


 二郎の頭部を踏みつけたまま、虎次郎に死刑宣告を言い渡す。


 その光景を見て動揺する虎次郎。


 その時、粉塵の中から現れた人影が虎次郎の喉元を狙う。


「お前は?!」


「凶星、その首貰い受ける」


 流崎 凶(ナガレザキ キョウ)と名乗った女が虎次郎に襲いかかる。




「さっきの轟音。まさか二郎兄者、建物の中で大斬波を使ったのか?!」


 レイコと対峙していた八郎が叫ぶ。


「二郎兄者ならやりかねんな……」


 ため息混じりに七郎が呟く。


 そして、彼らの前にはボロボロのレイコが片膝をついて必死の抵抗をしていた。


「頑張ったがここまでだ」


 刀を構えて七郎が近づいてくる。


「妹はやらせないわ」


 その言葉と共にレイカが間に割って入る。


「姉貴、無理だ! 逃げろって言っただろ!」


貴女(あなた)を置いて逃げるわけ無いでしょ? チョット準備をしていたのよ」


 そう言うとレイカは背中から蝶の羽を広げる。


「御子の血、使ったのか?!」


 何も言わずに微笑む姉。


 何の警戒もせず、レイカの羽の目の様な模様を見てしまうリザードマン兄弟。


「コッチよ」


 リザードマンの方を向いたまま、ホバリングしながらレイカは窓が開け放たれた部屋に彼らを誘導する。


 結界が無くなった今、自由に出入りできる支所の施設。


 部屋から飛び出したレイカはリザードマン達に勢いをつけてベランダから飛び降りる様、操る。


「あっ、兄者!」


「駄目だ、身体の支配権を奪われたみたいだ」


「あの目だ、あの目さえ見なければ……」


 そんな断末魔を残してリザードマン兄弟は頭から落下していく。




「何?!」


 流崎凶が虎次郎の首を取ったと思われた瞬間、凶星のリーダー格、禍津 凶剴(マガツ キョウガイ)がそれを阻止する。


「なるほど、病に倒れた師は代わりにあんたを放ったわけか……。姉さん」


 それは、50代半ばくらいの年齢の凶剴から10代後半ぐらいの中性的な少女、流崎凶に投げかけられた言葉だった。


 そして、その言葉を聞いたその場にいた者達は困惑する。


「あの人達の母親が混血が産まれない妖?」


「でもあの女の人、人間だよ?」


「すっごい若作りとか?」


「多分、反魂の術ね。わずかだけどあの娘、死臭がするわ」


 玲奈の言葉に場が静まりかえる。


「老けたな、凶剴」


 そんな空気を嘲笑うかのように姉は言い放つ。


 かつて、妖に家族を殺された凶剴とその姉、京花(キョウカ)は復讐代行を雇う金銭を持っていなかったため、自らが強くなって(かたき)を討つため、当時の凶星のリーダー格に弟子入りした。


 その中で京花は才能を開花させ、多くの妖を狩り、恐れられるようになっていた。


 しかし、以前から凶星をよく思わない妖達は罠を張り、京花を(むご)たらしく殺害した。


 当時の凶星のメンバーは激高し、罠にはめた妖達と全面戦争寸前までいったが、当時の凶星のリーダーはそれを許さなかった。


 このときから凶星は復讐の代行者から、復讐者に変わり始めていた。

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