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応戦2

 綾瀬姉妹の姉、綾瀬 舞(アヤセ マイ)には不思議な力があった。


 明確な敵意を持って攻撃をすると、その攻撃を受けた部分が火傷したような状態になるというもの。


 月宮の寮で奏美が襲われた時もその力は発動し、十郎に傷跡を残した。


「みやこ!」


 友人の名前を叫びながら、ワーキャットの元に駆け寄る奏美。


 その声に反応し、竹刀を落すとワナワナと震えだす舞。


 何やらワケありの状況に、紗由理は眉をしかめる。




「見つけたわ。5階の北側に2人とも居るわ」


 修道女が不意に話し出すと、虎次郎がそれに反応する。


「5階だ、正確に何人飛ばせる?」


「確実なのは3人。だが5人までならほとんど(くる)いは無い」


 虎次郎の質問に答える五郎。


「ならば3人だ。俺と緋都女(ヒヅメ)と……。本来ならば彼女なのだが……」


 虎次郎の視線の先にいる修道女姿の女性は、支所の結界を破った反動なのか、それ以外の原因なのか、消耗した様子だった。


「ならば俺が行こう」


 二郎が名乗りをあげる。


「他は新崎(ニイザキ)の結界で施設に入り、ターゲット確保後の撤退をサポートする」


「そろそろ我慢の限界だ。俺達は正面から行かせてもらう」


 作戦を話し合う中で凶星のリーダー格、禍津 凶剴(マガツ キョウガイ)が割って入る。


「俺達は戦闘の専門家。人さらいの算段はお前達で勝手にやれ」


「わかった、職員のせん滅はお前たちに任せる」


 ため息まじりに、五郎が許可を出す。


「勝手な事を……」


 聞こえるようにグチる六郎を制し、作戦の第二段階が始まる。




「この部屋だ」


 目的地に飛ばされた虎次郎と緋都女。


 そして二郎は綾瀬姉妹の部屋の前に立つ。


 虎次郎がノックをしようとするが、それよりも早く、二郎が扉を破壊し、部屋の中に突入する。


「手荒なマネは……」


「馬鹿め、もぬけの殻だ」


 部屋の中を見るように指図する二郎。


 二郎に続いて入室して取り乱す虎次郎。


「おそらくだが凶星の動きはこれを読んでの事だろう。1階からローラー作戦で行くつもりだ」


「ぐあっ?!」


 二郎の説明の途中、何者かに蹴り飛ばされ、1人廊下に残っていた緋都女が部屋に飛び込んでくる。


「なんだ?! どうした?!」


「罠か……」


 取り乱す虎次郎に対して冷静な二郎。


「そういう事だ」


 部屋の入り口に立つ、白髪で着物姿の女性。


 曲刀を構えたガシャドクロだった。


「舐めるな!」


 蹴り飛ばされた緋都女がヒョウの獣人、ワーパンサーへと姿を変え、入り口のガシャドクロに襲いかかる。


 その後を追うように、ワータイガーへと姿を変えた虎次郎が続く。


 スピード重視の緋都女が敵を翻弄し、パワーのある虎次郎が仕留める。


 2人のコンビネーションがガシャドクロに襲いかかる。


 しかしそれを、バックジャンプで対応しようとするガシャドクロ。


 逃がすまいと廊下に飛び出した緋都女を、挟むような火織と羽月の攻撃が炸裂する。


 ガシャドクロに気を取られ、壁の向こうに(ひぞ)んでいた2人に気づかなかった緋都女。


 その彼女に追いついてきた虎次郎に、緋都女越しに曲刀の突きを見舞うガシャドクロ。


 緋都女に気を取られ、対応が遅れる虎次郎だったが、二郎が彼の首根っこを掴んで突きの射程外に逃がすと、自身の大剣の突きでお返しする。


「すまん……」


「数の有利を作られたな。来るぞ!」


 二郎の言うとおり、挟撃(きょうげき)を受けた緋都女は、ピクリとも動かない。




「前にも説明したけれど君達、御子は妖の血と人間の血が丁度いい関係で混ざっているんだ。その妖の血が目覚め始めているのかもしれない」


 綾瀬姉妹を連れて、下の階を目指す紗由理。


「じゃあ、お姉ちゃんが妖に?!」


「う〜ん、どうだろう。昔から炎の力みたいなのは確認できたんだよね?それで安定しているならこれ以上、変化する確率は低いと思うんだけど……」


 ここで紗由理があえて伏せた事があった。


 それは舞の意識が途切れる瞬間があるという事。


 それは妖の血が持つ、衝動の様なものが彼女の脳を、精神を支配しようとしている予兆の可能性がある。


 きっかけはおそらく、支所の結界を一撃で消滅させたあの圧倒的な妖力。


 今後、舞がどう転ぶか、想像もつかないが、これを話してしまう事で意識がそちらに(かたよ)ってしまうこともありえるのだ。


「とにかく今は、あの娘達と合流しよう。もう近くまで来ているはずだ」


 紗由理は舞と奏美を連れて階段を駆け下りる。




「って言うか、何度目だ? おめぇ()……」


 5階の奏美達の部屋に向かっていた桜達は、階段で朔美、利波、十郎と遭遇していた。


 上の階に行くのを邪魔するように立ちはだかる3人。


「今度という今度こそ息の根止めてやる!」


 そう言って、階段から飛び降りながら仕掛けてくる利波。


 他の2人もそれに続くのを見て、春香は羽を撒き散らす。


 しかし、朔美が取り出した新しい戦斧は幻に惑わされる事なく春香を狙う、


「なに?! 幻術が効かない!」


 焦る春香をトロール利波の鎖が襲いかかる。


「くっ、こっちにも私の幻術が通じない……」


 防戦一方の春香だったが、2人の攻撃が以前戦ったオークのモーニングスターと重なる。


「あのモーニングスターの自動追尾に似てるんだわ……」


 試しに舞散る羽に妖力を込めると戦斧とチェーンは、そちらにそれていった。


「だったら話は簡単!」


 まず、春香は作見の方に向かっていき、自身の羽を投げナイフの様に投げる。


 朔美には当たらなかったが、肩をかすめるように飛ぶ羽に妖力を込め、彼女の持つ戦斧を誘導する。


 自身の肩に戦斧を振り下ろそうとする朔美。


 咄嗟にそれを止めようとするが、春香が戦斧にかかと落としを当てて後押しをする。


「ぐぅわぁぁぁぁ?!」


 朔美は絶叫し、両膝をついて動かなくなる。


「てめぇ!」


 春香が何をしたのか分かっていない利波は、容赦無く鎖を振り回すが、春香は飛翔し、彼女の周りを飛ぶ事で自動追尾する武器を誘導し、自分の鎖で縛りあげさせる。


「くそっ、なんでこんな……」


 絶望する利波の顔面に、突く様な鋭いハイキックを命中させ、戦闘不能に追い込む。


「なんだ、もう終わったのか」


 十郎を倒し、加勢しようとしていた桜が話しかけてくる。


 その時、階段を降りてくる足音に新手を想定する桜達だったが、


「良かった、合流できた」


 足音の主は綾瀬姉妹を連れた紗由理だった。

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