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乱戦8

「神話級のくせに、こんなに簡単にやられて……」


 近くにあった消化器でオルトロスの炎を消しながら愚痴をこぼすサイクロプス。


「次は貴女(あなた)?」


 サイクロプスを挑発する火織だったが、オルトロスから受けたダメージは少なくない。


「カウンター、と言えば聞こえはいいが、要は相打ち覚悟の自縛攻撃。オルトロスの攻撃も決して軽くはない事を考えると、結構なダメージが蓄積されているはずだ」


 サイクロプスの言葉通り、立っているのがやっとの状態の火織。


 突然、サイクロプスは持っていた消化器を火織目掛けて投げつけると、それをガードした彼女は片膝を付く。


「フン、お前の妹は戦闘不能だぞ、地獄の番犬」


「あたしが全員始末してやるから、黙って見ていろ!」


 そう言って自分に張り付いた濡れた着物を引き剥がし、投げ捨てる。


 連続拳打からの蹴りと、3倍のスピードによる連続攻撃に、ガシャドクロは圧倒される。


「アレで仕留(しと)められなかったのは痛いな。しかし曲刀のダメージは入っているはずだぞ? そんなに動いて大丈夫か?」


「黙れ!」


 ガシャドクロの口撃を一蹴するケルベロスだったが、自分の周囲に違和感を感じる。


「大きさはこれが限界か」


 見ればケルベロスの左右に、等身大の骸骨が現れ、攻撃の体勢をとっている。


「なんだ?! コイツら!!」


 思わず動揺するケルベロスに、骸骨2体とガシャドクロが襲いかかる。


「これでコチラも3倍だ」


「ふざけるなよ? 本体のお前を倒せばいいだけだろうが!」


 ケルベロスは骸骨を無視して、ガシャドクロに猛攻をかける。


 しかしガシャドクロは、蹴りを繰り出した右足をしっかりと掴み、逃げられないようにする。


「しっ、しまった!」


 動きを止められたケルベロスに、骸骨2体が攻撃を仕掛ける。


「くそっ!」


 サンドバック状態のケルベロスは、力を振り絞って反撃に出る。


 骸骨の頭部に手を伸ばすと、そこから妖力を噴出して破壊する。


 これにより、骸骨は動かなくなるが、そのスキをついてガシャドクロは再び曲刀で斬りつける。


「くそ! クソ! クソォッ!!」


 深刻なダメージを受けたケルベロスにはもう後がなかった。


 憎悪の雄叫びと共に、彼女を黒い炎が包み込む。


「この炎は炎であって炎ではない。この炎に包まれた者は地獄送りになる地獄の炎だ!!」


 黒い炎をガシャドクロに向けて放つケルベロス。


 それをギリギリで回避するガシャドクロだったが、彼女も戦いのダメージが蓄積されていて、それが原因で体勢を崩した所を、地獄の炎に狙われる。


「霧香!」


 ガシャドクロをその名で呼んだのは人魂状態のウィルウィスプで、彼女を庇い身代わりに黒い炎に包まれる。


「星垂?!」


 跡かたもなく消え去ったウィルウィスプを見て、愕然とするガシャドクロ。


「まずは1匹。次に地獄に行きたいのはどいつだ?」


 無言でゆっくりと立ち上がるガシャドクロの目には、明確な殺意があった。


「あいつとは、短い間だったがコンビを組んだ仲だ。(かたき)ぐらいは撃ってやらないとな」


 真剣な眼差しでガシャドクロはそう言うと、曲刀を構える。


『仇を取るなんて、嬉しい事言ってくれるじゃないの』


 その声が響いたと同時に、ケルベロスの黒い炎は青白く変化し、その青白い炎にケルベロスが包まれる。


「私の炎は生きているの。一度でも燃え移ったら死ぬまで消えないわよ」


 青白い炎から飛び出してきた女性。


 一度冥府に帰り、力を取り戻したウィルウィスプだっだ。


「くそぉっ! 消えないと言うのなら、あたしの妖力で!」


 自身の妖力を爆発させて、この炎を消そうというのだ。


「うおぉぉぉっ!!」


 気合と共にウィルウィスプの炎を消し飛ばすケルベロス。


 しかし、妖力を使い果たし、立つこともままならない状態だった。


「これ以上の戦闘継続は不可能。撤退するわよ」


 突然、オルトロスを担いだサイクロプスがケルベロスの首根っこを掴む。


「ふざけるな! 勝負はここからだ!!」


「外の術師達が攻撃を受けているわ。このままだと、結界の中和継続が不可能になって、取り残されることになるわよ。」


 それを聞いたケルベロスに焦りの表情が見て取れた。


 大人しくなったケルベロスを見て、


「良い()ね」


 と、サイクロプスが呟く。


 そして、一瞬で霧が立ち込めたかと思うと、それがハレ、サイクロプス達は消えていた。




「何だここは……」


 亜空間結界を()て施設の外に出たサイクロプスだったが、その場所は自分が想定していた場所と違い、自分1人しか居なかった。


「何者かの邪魔が入った……。いったいだれが……」


 サイクロプスは呆然としていた。




「くそっ、何だここは? 施設の外じゃないのか?!」


「どういう事? サイクロプスの姿も見えないし」


 ケルベロスとオルトロスが出現した場所は、施設のどこかの階の廊下。


 そして、その廊下の先に誰かがいる事に気づく。


「誰だ!」


 ケルベロスがそう叫ぶと、廊下の先の誰かが近づいてきて、それが30代前半のスーツ姿の男性というのが分かる。


「姉さん……。こいつ?!」


「ああっ、肉体の無い幽霊の様な物だ」


 そして近づいてきた男が口を開く。


「すいません、実は私、肉体を失っていまして、よろしければどちらかの肉体を頂けないでしょうか?」


「ふざけるな!!」


 男の言葉に激昂したケルベロスが殴りかかるが、男が手をかざすと、ケルベロスは跡かたもなく消え失せた。


 それを見てオルトロスは、


「ヒィッ?!」


 小さな悲鳴をあげる。


「では、消去法で貴女(あなた)にさせていただきます」                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            

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