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乱戦5

「とにかく、中央室に急ぎましょう。一時的でも、今この状況で指揮をとる人が必要です」


 エリスは清十郎を連れて2階にある『作戦中央室』を目指す。


 本来は作戦行動を指揮するための大規模な通信室で、施設の内外とあらゆる通信方法で(つな)がっている。


 この支所内でも上位の役職の清十郎をそこに連れていき、この状況に対応しようというのだ。


「走矢はママ達と綾瀬さん達の身柄の保護に向かうそうです。私達はこの状況を正常化する事に努めましょう」


 エリスの言葉に黙って頷く清十郎。


 その彼の視界に意外な、いや、本来ここにいないはずの人物の姿が飛び込んてくる。


「佐伯さ〜ん」


 それは舞救出に向かい、連絡を断った実働部隊員の三田村 日奈子(ミタムラ ヒナコ)蒼条 夏(ソウジョウ ナツ)だった。


「佐伯さん!」


 顔見知りの2人。


 しかし、何かが違うとエリスと清十郎は感じていた。


貴女達(あなたたち)、一体どうして? 現場で何があったの? いつ支所に戻ってきたの? 他の人達は?」


 矢継ぎ早に質問を浴びせかけるエリス。


 それに対して、しどろもどろの2人。


 そしてエリスは2人の一瞬の異常を見逃さなかった。


 身体の形が崩れ、液体のように変化したのだ。


「三田村さん、勘違いだったらごめんなさい」


 そう言って日奈子の顔面を殴るエリス。


 殴られた日奈子は床に倒れ、液体状に変化する。


「これは……。スライム?」


 清十郎が驚きながらも分析する。




「オークの群れの次は人に化けるスライムだと? 一体何が起こっているんだ……」


 リザードマン兄弟の長男、一郎は仲間に化けて近づいてきたスライムの残骸を見て呟いていた。


「兄者、コイツ()、四郎と六郎とところにも現れたようだ」


「施設内にも出現しているかもな……。注意深く見れば違和感だらけなのだが、乱戦の中でいきなり現れるとそれも見落としかねん。使われ方次第ではかなり厄介だぞ」


「中の連中にも報告しておくか?」


「いや、味方を疑って同士討ちとまではいかなくても、疑心暗鬼になりかねん。今の所は伏せておこう」




「スライムにはさぁ、大きく分けて2種類あるの。コアの有るやつと無いやつ。んで、術師なんかが使役(しえき)するのは主にコアのある方。コッチは簡単な命令を聞いたりできる知性があって、コアの性能で色んな能力を持たせることができんのよ」


 4階の廊下ではコボルドやスパルチスの次に、数種類のスライムに襲われた紗由理達がいた。


「知性? 隣に本人がいるのに化ける様なのが知性があるって言うの?」


「コア無しは本能のままにしか行動しないから、こんなもんじゃないよ」


 数分前、紗由理と羽月の目の前に現れたコア有りのスライムは、彼女達の目の前で紗由理に擬態し、自分が本物だと主張し始めたのだ。


 当然、速攻で倒した羽月だったが、悪ふざけにしか見えないとこのスライムの襲撃を馬鹿にしていた。


 しかし魔女である紗由理反応は違った。


「情報収集?」


「そう。あたし達の性格や行動パターン、癖や喋り方を学習してより、本物に近い偽物を作るって事。これはそのための情報収集なんじゃないかって事よ」


「……なんかそう言われると気持ち悪くなってきたわ」


 羽月はゼリー状のスライムの残骸を(ほうき)で片付けながら嫌そうな顔をする。


 その羽月の視界にある物が入ってくると、その表情がいっそう曇る。


「げっ、またスライム……」


「今度はコア無しだね」


 問答無用とばかりに箒を振り下ろす羽月。


「確かにコア有りに比べると動きとかも別物ね」


 攻撃を食らい、あっさりとバラバラになる、コア無しスライム。 


 しかし、その破片がモゾモゾと動きながら集まり、再生しょうとする。


「げっ、やっぱりコア無しも気持ち悪い……」


 そんな引き気味の羽月の横から紗由理が何かをコア無しスライムに掛けると、スライムは動かなくなり、崩れていく。 


「えっ? なに?! 何をしたの!!」


「別に、食器用洗剤を掛けただけだよ。コイツ()ってほとんど油でできているから、油汚れとかを落とす物なら何でも効果あんのよ。しかもコイツ()って、グルグルと流動しているから、1か所に掛けるだけで後は勝手に全身に自分で運んでくれんの」 


「そんな方法が有るんだ。私は燃やすぐらいしか思いつかなかった」


「まぁ、コイツ()って油だから燃やすっていうのは悪い案ではないんだけど、逆によく燃えすぎる事もあるから気をつけないとね。屋内とか……」


「消し炭になれぇ!!」


 叫び声とともに部屋の扉ごと炎上するスライムが廊下に現れる。


「げっ、火の元がきた……」


 そして扉を失った部屋の出入り口から下着姿の火織が姿を見せる。


「君さぁ、何でもかんでも燃やせば良いわけじゃないんだよ」


 しかし、紗由理の忠告もどこ吹く風と新たに現れたコア無しスライムに向かっていく火織。


 炎の宿った拳で次々とスライム達を焼き払っていく。


「こっちはこっちでとんでもない事になっているな」


 羽月達に声をかけたのはガシャドクロ。


 ここに来るまでにスパルチスやコボルド、スライムとの戦闘を繰り広げてきた女武者だ。


「悪いところに来たね」


 紗由理はそう言うと傘を取り出し、その場で広げる。


 そして、火織の攻撃でスライム達が一斉に燃えだすと、スプリンクラーが作動し、水が降り注ぐ。

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