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夜襲と切り札

 エリス達が帰宅途中に襲撃を受けていた頃、自宅周辺でも異変が起こっていた。


「霧香?!」


「ああ……」


 自宅リビングにて、突然立ちあがる霧香とその理由を察している星垂。


「ちょっと、貴女達(あなたたち)!」


「この家の敷地外で迎え撃つ。この家まで壊されたら、本当に野宿するハメになりそうだからな」


 同じ様に状況を理解している玲奈に、そう言い放って家をでる霧香。


「ちょっと待って!」


「じゃあアタシも……」


 霧香の後を追う星垂と夢子。


 その様子を見て困惑する走矢に深完が告げる。


「敵が近づいてきてる。大勢の人間を引き連れて……」




「力押しにも程があるだろう」


 住宅街にて、リャナンシーに操られたであろう大勢の人間を前に、呆れてみせる霧香。


「フン、そんな態度でいられるのも今のうちよ! 人海戦術で押しつぶしてあげるわ!」


 得意げに声を張るリャナンシー。


 その言葉と同時に、操られた人間達が一斉に襲いかかる。


「多勢に無勢と言うことばを知っているか?」


 霧香が静かに呟くと、彼女の周囲に大小様々な大きさの骸骨が出現し、人の群れを向かい撃つ。


「なっ、何コレ?!」


「ガシャドクロね。確かにこれは厄介だわ」


 驚愕するリャナンシー。


 その横に居るチュパカブラの表情も険しくなる。


「今だ、夢子!」


「了解!」


 突撃してくる人の群れを骸骨達が壁を作って押さえ込む。


 その間に夢子が精神攻撃で意識を失わせると言う作戦だ。


「サキュバスか。なるほど、厄介な組み合わせだわ」


「ちょ、どうすんのよぉ! このままじゃトレントに色々言われちゃう!」


「大丈夫よ。最後に笑うのは私達なんだから」


 感心するチュパカブラに焦るリャナンシー。


 だが、チュパカブラはそんなリャナンシーを落ち着かせて次の手を打つ。


「サキュバスは意識を失わせて貴女の吸血の効果を解いただけ。なら、もう一度血を吸って操ればいいだけの話よ」


 チュパカブラはそう言って、右手のひらをリャナンシーに向ける。


「わかった!」


 リャナンシーはそう応えると、その右手のひらに自分の左手のひらを合わせる。


「なに?!」


 チュパカブラとリャナンシー、街灯に照らされた2人の影が広がると意識を失った者達から血を吸い、再び支配下に置く。


「なるほど、こうやって一度に大勢の人間を操っていたのか」


「って、感心している場合じゃないでしょ! どうすんのよ、この状況!」


「やる事は変わらん。私が押さえ込むから夢子が気を失わせる。それだけだ」


「そうだけど……。いや、そうじゃなくって、これを繰り返していたら最初に参るのはその(たび)に血を吸われている人達よ?」


「ああ、だから次で決める」


 霧香が静かにそう宣言すると、その背後に巨大な骸骨が立ち上がり彼女はその手のひらに乗る。


「いくぞ!」


 霧香の号令と共に骸骨達は操られた者達を押さえ込み、夢子が精神攻撃で動きを止める。


 同時に、霧香を手に載せた巨大骸骨は彼女をリャナンシーめがけて投げつける。


「そうよねぇ、リャナンシーを狙ってくるわよねぇ」


 不気味な笑みをを浮かべながら、迫る霧香に向かって影を伸ばすチュパカブラ。


 しかし、チュパカブラの影が霧香のソレに触れる前に、もう1体の巨大骸骨が立ち上がり、それを蹴って跳んで行く方向を変えて攻撃をかわす。


「小細工を!」


 声を荒らげるチュパカブラ。


「本当の小細工はこっちよ」


 と、聞きなれない声が足元ですると、突然リャナンシーが青白い炎に包まれる。


「なっ?!」


 あわててリャナンシーから飛び退くチュパカブラ。


「あら、ちゃんと最期まで手を握っててあげればいいのに。薄情ね」


 声の主は人魂状態で忍び寄っていた星垂。


 最初から霧香と夢子が派手に動き、星垂がリャナンシーを仕留めるという作戦だった、が、


「馬鹿なことをしたな、お前達。リャナンシーという種族を知らなすぎる……」


「なに?! どういう事?」


「グルルルルルルゥ……」


 リャナンシーと距離を置くチュパカブラの言葉に、星垂は緊張を覚える。


 そしてそのすぐ(そば)で獰猛な唸り声が聞こえてくる。


「なに?!」


 咄嗟にその方向を見る星垂。


 そこには青白い炎に焼かれながら四つん這いで星垂を睨みつける、リャナンシーの姿があった。


「ヴァンパイアから派生したリャナンシーはとても獰猛な種族よ。他者を操る能力も、本来は自身の獰猛さを抑える、コントロールするためのモノ。大ダメージを受けた事でソレが解けたんだわ。私は撤収させてもらうわ。貴女達と心中なんて御免ですから」


 そう言い残してチュパカブラは影の中に消えていく。


「夢子、操られていた人達を、今度は君が操って避難させろ!」


 霧香はそう、夢子に指示を出して、リャナンシーに斬りかかる。

 

 しかし、霧香の刀は空を斬る。


 その時、リャナンシーはすでに星垂に飛びかかっていた。


「星垂?!」


 絶叫する霧香。


 彼女には星垂がリャナンシーに胴を貫かれたように見えたからだが、


『葬炎・人魂廻廊そうえん・ひとだまかいろう


 星垂の声が周囲に響き渡ると、貫かれたように星垂は灯籠となって地面に崩れ落ちる。


 周囲の住宅は消え、代わりに大量の灯籠に包囲された薄暗い空間に霧香とリャナンシーは居た。


「この動きは危険だ。何としてもこの空間内で倒すぞ」


『了解』


 星垂は姿を見せずに応える。




「何なの、コイツラ?!」


 その頃、走矢達の自宅はピエロのマスクを被った、不気味な集団に襲撃されていた。


 自宅の裏側で、ピエロマスク達と交戦するルリとリル、雪那の3人。


 夜の闇に浮かぶ、その不気味な姿にリルが思わず悲鳴をあげる。


「人間の様だけど、普通じゃないわね。アンデットでもないし人工生物とも違う……。もしかして、コレが人造人間?」


 これまで遭遇したことの無い敵に、注意深く対応する雪那。


「確かに不気味だけど、どうにもならない相手じゃないんだから。しっかりして、リル!」


 最後のピエロを倒したルリが妹を叱咤する。


「あれ?! まだ残ってる?」


「え?! ホントだ、しつこい奴ら!」


「ちょっと待って。なんか様子がおかしい……」


 まだ1人残っている事に気づく河童姉妹と、その1人に違和感を感じる雪那。


「もう来んな、不気味ピエロ!」


 リルはそう叫ぶと水流を放つ。


 しかし、その最後の1人はコウモリの様な翼を広げ、飛翔してソレを回避する。


「ピエロとは違う。油断しないで!」


 姉妹の方を向いて注意を促す雪那。


 しかし、飛翔した相手を目で追っていた河童姉妹は夜の闇の中で輝く、怪しい双眸(そうぼう)を見つめてしまう。


「リル、ダメだ……」


 ルリは最後の力を振り絞り、水流を放つとソレはリルの顔面に命中師で、結果的に目をそらすことになる。


「ねぇちゃん、ひど……」


 姉への文句の途中で固まるリル。


 双眸(そうぼう)から目を離せなかったルリは宝石の像になっていたのだ。




「私達を3人組だと強く印象付けるほど、伏兵が効いてくるでしょ? 特にヴィーブルの宝石化能力は初見での対応は困難よ」


 遠目に戦況を見守るトレントは微笑を浮かべる。

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