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超人機関

「これは、我々に好機が巡ってきたかもしれないな」


  とあるカラオケボックスにて、数人の男女が密会を行っていた。


「あれが空亡で、完全態となるには佐伯走矢が必要。つまり、世界を守るために彼を抹殺すると言う道理が成立するわけだ」


「しかし、総本部長がそれを許すとはとても……」


「許さないだろうね、あの女は。だから秘密裏にやる。今までは俊紅を狙った妖の仕業にする必要があったが、それを考えなくていい。これだけでも大きいと思わないかい?」


 リーダー格の男は力説する。


「あくまでも今までどおりですが、選択肢が増えると言うことですか?」


「そうだ。なんなら彼女達を使ってもいい。結局のところ、妖など信用できんからな」


「なるほど。テストも兼ねて、と言うわけですね」


 リーダー格の男は黙って頷く。


「しかし、それにはまず、空亡の情報を広める必要がありますよね? おそらく機関内でも知る者が限られているこの情報を拡散しないと……」


 メンバーの中では比較的若い男が言う。


「そうですね。なるべく足のつかない方法で、情報を広める必要がありますね」


 女性参加者が頷く。


「そこは情報屋を使おうと思う。我々が直接、動くわけにはいかないからな」




「つまり、私が彼女と組んでヘルハウンドを地上に呼び出す手伝いをしろってこと?」


「ええ、そうよ。空亡との決戦の前に、(走矢)の命を狙っている奴らを叩くためにも、情報が必要だわ」


 乗り気では無い星垂を説得するバックベアード。


 呉夫の工場にて、地獄に縁のあるウィルウィプスとケルベロスが協力して、ヘルハウンドを復活させようというのだ。


「簡単じゃないわよ? 私の時は一応、一部が残っていたし……」


「ああ、アタシの場合もお母様に復活させてもらったわけだし……」


「今は少しでも情報が欲しいわ。チャレンジしてみて」




 一方その頃、走矢は何かを確信したようなラードンに絡まれていた。


「やはり僕の目に狂いは無かったようですね」


 エリスに甘噛みされている走矢を見ながら勝ち誇るラードン。


「いや、これは……」


 必死に否定しようとする走矢だったが、エリスは先程より体を密着させてきている。


「もう一度言いますよ? 母親を思う気持ちとはとても神聖な物なのです。恥ずかしいと思う事こそが恥ずべき事なのです!」


 力説が止まらないラードン。


「ちょっと貴方。なに、さっきから走矢に絡んでいるのよ! 走矢が困っているでしょ」


 騒ぎに割って入る玲奈。


 しかしラードンはめげずに自身の考えを声高らかに言い放つ。


「いいえ、これはとても重要な事です。彼がマザコンであると認めるまで、僕は引き下がるわけには行かないのです」


 マザコンと言うワードを聞いて、恥ずかしくなる走矢。


「走矢がマザコン……」


 一方エリスは、そのやり取りを聞いて別の理由で赤面していた。


「また絡んでやがる……」


 ラードンの背後から呆れるケルベロスが顔を覗かせる。


「おや? ヘルハウンドを復活させるんじゃなかったのですか」


「ああ、終わった」


 そう言ってケルベロスは、自分の背後を親指で指し示す。


 そこには小学生低学年くらいの女の子が立っていた。


「まさか……」


「そのまさかってやつだ。あれが新生ヘルハウンドだ」


「で、一体何を聞きたいの? こんな中途半端未満の姿で呼び出して……」


 ムスッとした表情で腕を組んでいる少女はそう言うと、近くの椅子に腰をおろして足を組む。


「お行儀が悪いわね」


 星垂が注意するが、どこ吹く風のヘルハウンド。


「私達が聞きたいのは12年前に死亡した俊紅の機関職員、佐伯新矢について。彼が調べていた事と、彼の命を奪ったとされる3人の妖の背後関係よ」


「その事……」


 バックベアードの質問にため息をつくと、ヘルハウンドは知り得た事を話し出す。


「先ず、佐伯新矢が追っていた機関内の謎組織について説明するわ。新矢は『超人機関』って呼んでたわ。最初の内は人間を強化する事が主な目的だと思っていたんだけど……」


「違うの?」


 と、問いかけるバックベアード。


「ええっ。連中の目的は殉職した優秀な職員の亡骸を繋ぎ合わせて理想の戦士、『超人』を創り出す事よ」


 ヘルハウンドの『亡き骸を繋ぎ合わせて』と言うワードが印象に残る一同。


「あの〜、亡き骸を繋ぎ合わせるって……」


「フランケンシュタインの怪物っているでしょ? 要はアレを厳選した職員の亡き骸から創り出そうって話よ。たしか人造人間って言い方をしてたわね」


 今度は春香の疑問に応える。


「でも、どうして死体から人造人間なんか……」


「もしかして、死んだ人間を生き返らせるのが目的だったとか」


 疑問を投げかける直と、独自の解釈をする咲花だった。


「術師の中には長い間、妖と戦いつづけた家や流派があって、そういう人が人妖機関に所属していても妖と、どこか距離をおいていたりする」


「それで人造人間なのね」


 何やら納得した春香。


「まあ、この人造人間も、より優秀なパーツ集めるようになって連中も暴走気味になっちゃったみたいよ? 不可解な殉職者とか調べてみたら何か分かるんじゃないの」

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