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新居

 佐伯家襲撃から数日後。


 清十郎が用意くれた新居への引っ越しのため、走矢とエリスは自宅に使える荷物を取りに来ていた。


「使えそうなのは衣類と一部の日用品ぐらいかな」


「おかしそうなのは捨てちゃいなさい。着ていて破けたりしたら大惨事よ」


「このジャンパーも駄目か。気に入ってたのになぁ」


「新しいの買ってあげるわよ。今はまだ早いけど、寒くなる前に一緒に買いにいきましょ」


「わっ、わっ、わぁっ! エリス姉、これこれ!」


 荷物の選別作業をする走矢とエリスを、何やら興奮気味の余白が呼び寄せる。


「あら、そういえばこんな物もあったわね」


「えっ?! なにこれ……。犬小屋?」


 走矢の言うとおり、余白が引っ張り出してきた物は、確かに犬小屋の様な物だったが、


「違うよ走矢。これは余白ハウス。昔、新矢兄が作ってくれたんだ」


「父さんが?!」


「そうよ。昔、新矢が余白のお(やしろ)的な物として作ったの」


 たしかにエリスの言うとおり、入口には立体的な鳥居の様な物が付いており、狐の置物もある。


「ねえねえ、コレ持って行ってもいいでしょ?」


 余白の問いかけに、そうねと応えるエリス。


 走矢な足元が気に入り、毎晩布団に潜り込んでいる余白。


 エリスは余白ハウスを持ち込む事で、ソレを防げるのではと考えていた。




「ここね」


 教えられた住所に到着した走矢とエリス、そして余白の3名。


「ママや理奈さん達が先に来ているはずよ」


 72使徒との戦闘で、今まで住んでいたアパート自体が危険な状態なため、アパートな住人は全員退去し、それぞれ新しい住居に引っ越していた。


 佐伯家の両側に陣取っていたリリス達と理奈達も、そこを離れて走矢達と同じ戸建ての家に住むことになったのだ。


「たしか、理奈さん達以外にも一緒に住む人がいるんだよね?」


「そう聞いているんだけど、どういう人なのか聞きそびれちゃったわ。清十郎さんも忙しいみたいで。まぁ、清十郎さんの事だし、変な人じゃないと思うわよ?」


 それほど古さを感じない、2階建ての一軒家。


 今までもリリスや理奈達とは同居同然の生活だったが、それでも別の部屋という仕切りがあった。


 しかし今日からは1つ屋根の下という、本当の同居生活が始まるのだ。


「ちょっと緊張してきたな」


「大丈夫よ、全員家族なんだから。以前ママが言ってたでしょ? 血は繋がってなくっても、命は繋がっているって。ママがいなければアタシは産まれてこなかったし、理奈さんがいなければ新矢は産まれてこなかった。そしてアタシと新矢がいなければ走矢、アンタは産まれてこなかったの。間違いなく、アタシ達は家族なのよ」


「あっ、うん……?!」


「ちょっと貴女、なんて格好でうろついているのよ! これから走矢が来るのよ? もうちょっと人目を気にしてもらえる? ちょっと母さん、なにやってんの?! 対抗しなくていいから、服を着て!!」


 母の言葉に返事をしようとした走矢だったが、家の中から聞こえてくる玲奈の怒号に言葉を詰まらせ、エリスの顔が曇りはじめる。


「そういえば同居人がいるんだよね?」


 余白の無邪気な発言。


 今、聞こえてきた玲奈の発言内容から事の元凶が理奈以外にいるという事だ。


 エリスの感覚からして、リリスやアリスがおかしな事をするとは考え辛い。


 そうなると、事の元凶は同居人という事になる。


 そんなエリスが考え込んでいると、突然玄関のドアが開く。


「あっ、走矢。来てたんだ」


 現れたのは白いタンクトップにショートパンツ姿の柊 雪那(ヒイラギ セツナ)だった。


「雪那さん?!」


「雪那でいいってばぁ、走矢。さあさあ、入って。今一段落ついたとこだから」


 雪那に言われるまま、新居に上がる走矢達。


「同居人って雪那、の事だったんだね」


 さんを付けそうになって、一瞬言葉が詰まる走矢。


「なんか中が騒がしかったんだけど、何かあったの?」


「あ〜、まぁちょっと……」


 エリスの質問に困ったような顔をする雪那。


「その〜、もう一組の同居人が……」


 そんな中、リビングから飛び出してくる人物が2人。


「河童姉妹……。アンタ達だったのね……」


「奥方様?! ご子息様も!!」


「あっ、これからよろしくお願いします」


 ハイライトの消えた目で河童姉妹を眺めるエリス。


 そんなエリスを見て土下座モードの河童姉妹、ルリとリル。


 外に漏れてきた玲奈のセリフが色々とつながり、エリスは納得する。


「あっエリス。来てたのね」


 河童姉妹を追うようにリビングから現れた玲奈。


 どうやら同居するうえで、2人の服装について注意したのが騒動の始まりだったようだ。


 相変わらずのビキニ姿のルリとリル。


「この娘達も問題なんだけど、母さんが色々と触発されて……」


『えっ、走矢が来てるの?!』


 リビングがら聞こえてくる、理奈の声。


『ちょっと理奈さん、行っちゃだめ! 逃げて走矢ちゃん!!』


 リビングから聞こえてくる理奈の声と、その直後の危機を知らせるリリスの叫び声。


 その喧騒(けんそう)から、何が起ころうとしているのか察したエリスは、咄嗟に走矢の目を塞ぐ。


「走矢ぁ〜」


 走矢達の前に姿を表したのは、貝殻ビキニを身に着けた理奈だった。


「一体どこで調達してるんですか? ソレ?」


 エリスは死んだ目で、理奈に問いかける。  

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