表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
母はヴァンパイア  作者: 見えてる地雷
過去と今とその先と
136/162

総力戦10

 ソロモン72使徒、ダンタリアン。


 彼女の能力は、触れた物の情報を再現すると言うもの。


 魔導書に触れればそこに書かれている魔法を発動し、生物に触れればその生き物の考えている事や情報を読み取れる。


 電話や通信機の話し相手も、この『触れる』の概念に当てはまるようで、本来ならラードンが電話をかけてきた時、心を読めるはずだったのだが、一時的に死にかけのヒドラを取り込んでいたため、ソレが雑音になって心の声の聞き取りを邪魔したのだった。


「ありがとう」


 連れてこられた部屋で傷の手当を受けた走矢は、ダンタリアンに礼を言う。


「お前に死なれては困るからな」


 走矢と目を合わせずに話す、ダンタリアン。


 しかし、傷の手当で彼に触れることで、ダンタリアンは走矢の多くを知ってしまう。


 いつも周りの妖に助けられている事、特に母親に負担をかけていると思っている事。


 そして、父親の死の真相を知りたいと思っている事。


 考えている事だけでは無い。


 彼の右手にはいま手当したのとは違う別の傷痕があった。


 エリスが死にかけた時、桜がつけた傷の(あと)だ。


 他にもウィルウィプスに刺された傷痕や昔、俊紅を狙った妖につけられた傷痕。


 それらが全て、当時の情報を伝えてくる。


 これがフォルネウスが情が強いと言った理由だった。


「あの、父さんの事……。佐伯新矢の死について、貴女(あなた)は何か知っているんですか?」


 走矢の言葉に一瞬、動きが止まるダンタリアン。


「私の口からは何も言えないわ……」


 とだけ返す。




 新手の72使徒と交戦する正面組の先行部隊。


「せぇぇぇい!」


 ヒョウ顔の男、シトリーに向かって、気合と共に炎の剣を振り下ろす火織。


 男は無言で盾で受けると、右手の剣で反撃する。


「ふん」


 空いた方の手で、自分の翼から逆手で羽根を抜くと、もう1振りの炎の剣に変えて攻撃を受ける。


「上手く避けるわね」


 矢を回避した春香と星垂に向かって言う、弓を持った女性、レラジェ。


 その弓の弦は鋭利な刃で、触れると指先を切り、血が流れる。


 その血を矢として放つのだが、レラジェの血液は強い毒性があり、その矢は毒矢となる。


 レラジェに倒された魔法生物を見て、春香と星垂が矢の性質を見抜いた。


「うるぁ!」


 レラジェの背後回り込んだ桜が、殴りかかる。


「ふふっ、おバカさん」


 それに対し、レラジェは落ち着いて弦に指をかけ、屋を放つ。


 放たれた矢はUターンしてレラジェの背後にいる、桜目掛けて飛んでいく。


「うおぉっ?!」


 のけ()ってなんとか矢を回避する桜。


「ある程度、矢の軌道を操れるのかしら?」


「自動追尾とかの(たぐい)かもよ? 意図的に機能に制限をかけて、ここぞってところで出してくるとか」


 春香と星垂が仮説をたてる。


「ふふ〜ん。じゃあ、こういうのはどう?」


 そう言って右手の5本の指を弦に当てるレラジェ。


「まずい!」


 春香が叫ぶと5本の矢が春香と星垂に向かって飛んでくる。


「まぁ、想定の範囲内ね」


 星垂は青白い炎を放ち、矢を全て焼きつくす。


「最初からやれよ! それ!!」


 桜が大声で突っ込む。


「積極的にそれを使わないのは、アレが気になるから?」


 フードを被った少女を横目で見ながら春香が尋ねる。


「そうね。それとレイカを連れて行った奴。あの子を置いて、こっちに戻ってくる可能性も考えておかないと」


 一瞥もくれず応える星垂。


 フードを被った少女が使った、眼の形をした魔法陣。


 それを前に爆散した魔法生物達は爆風ではなく、内側からの爆発で四散していた。


『おそらく、何らかの方法で、妖力を暴発させて自爆させたんだと思う』


 春香の分析を受けて、少女に対する直とレイコは、魔法陣に注意しながら戦っていた。


「魔法陣の前に立つのはヤバイんだよね?」


「吹き飛んだ連中がその条件だったからな。とにかく左右に回り込んで仕掛けるぜ!」


 直は糸で、レイコは鱗粉で槍を作り出して飛ばすが、少女はそれらを最小限の動きで回避する。


「すっごぉい! 全然無駄が無い!」


「バカ、足を止めんな!」


 感心する直の方に手をかざす少女。


 それを見たレイコが叫び、直も慌ててその場から離れる。


「もう一度やるぞ!」


「らじゃー!」


 2人は少女の左右に移動すると、糸と鱗粉で攻撃する。


 少女は先程と同じ様に、無駄の無い動きで回避するが、直とレイコが距離を詰めて来ていた。


「てぇい!」


 直が少女の両足に飛びつき移動を封じると、レイコが飛びかかる。


「わりぃがとっとと決めさせてもらうぜ!」


 レイコの飛び蹴りが少女を捉えようとした時、床に眼の形をした魔法陣が描かれている事に直が気づく。


 カッ、と閃光が周囲を包む。


 見れば魔法陣の黒目のところにいた直と少女。


 この2人は無傷だったのだが、その外にいたレイコが吹き飛んでいた。


「イコちゃん?!」


「たぶん、魔法生物を倒したのとは別のヤツよ!」


 横目で見ていた春香が叫ぶ。


「直、離れろ! くるぞ!」


 桜の言葉通り、少女は直に手をかざしかけていた。


 ヒェッ、と小さな悲鳴をあげて飛び退く直。


「クソッ、向こうに誰か行かないと……」


 倒れたレイコを放っておけない。


「鬼さんこちら〜」


 直は派手に手を叩きながら自分に注意を向けさせる。


葬炎・人魂廻廊そうえん・ひとだまかいろう!」


 星垂は今日、2回目の人魂廻廊を発動させ、赤い炎の灯籠をレイコと入れ替える。


「まとめて始末してあげる」


 レラジェは5本の血の矢を放ち、それを見た星垂はレイコを抱きかかえたまま、青い炎の灯籠と入れ替わる。


 が、そこに新たに放たれた矢が飛んでくる。


「やっぱり連射を隠していたのね」


 星垂は冷静に炎で飛んでくる矢を焼きつくす。


「テメェェェ!」


 怒号と共に殴りかかる桜。


「本当におバカさんね」


 小馬鹿にした笑みを浮かべながら矢をつがえようとするレラジェだったが、矢を持つ左手に春香の羽根が突き刺さる。


 一瞬ひるむレラジェ。


 そこを逃さず直の糸が弓に絡みつき、奪い取る。


「バカはテメェだ!」


 桜の拳がレラジェの顔面に突き刺さる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ