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母はヴァンパイア  作者: 見えてる地雷
過去と今とその先と
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総力戦8

「夢子、君はこの臓器を持って紗由理の所に戻ってくれないか。彼女に調べてもらった方がいいと思うんだ」


 そう言って封印した臓器2つを夢子に渡す霧香。


「えっ?! ちょっ! そんな余裕あるの? キモいし、これ……」


「この敵は2人いた。今後も遭遇する可能性がある以上、攻略法が必要だ。紗由理に解析してもらった方がいい。できるだけ早くな」


 戸惑う夢子を諭す霧香。


「確かにこの強さで不死身となると、かなり厄介な障害ね。私も彼女の意見に賛成だわ」


 理奈に言われて渋々引き受ける夢子だった。


「他の者は先に行ったのか?」


「ええ、手こずりそうだったので先に行かせたわ。でも、早計だったかもしれない……」


「悔やんで何も変わらない。急ごう、同種の敵が出たらまた私がなんとかする」


「流石は姫髑髏(ひめどくろ)ね、頼りにしているわ」


「ヘルマリナには(かな)わないさ」


「その呼び方、やめて!」


「フッ、急ごう」


 旧知の2人は歩を進める。




「なんとか片付いたか……」


 先行していた桜達だったが、人型に進化する魔法生物達に足止めされていた。


「ハルちゃんの幻影結界が無かったら、ヤバかったね。あの数だと!」


 直の言うとおり、幻影結界である程度同士討ちにできたため、大きな被害を出さずに勝利する事ができた。


貴女達(あなたたち)、無事だったのね」


 桜達に追いついてきたレイカが声をかける。


「おう、おめぇらも……?! なに、引き連れてんだ!!」


 レイカの能力で操っている魔法生物達に驚く桜。


「事情は後で話すわ。お出迎えよ……」


 レイカの言葉通り、奥の方から何者かが向かってくる。


 それも複数。


 1人はそういう顔か、(かぶ)り物か、ヒョウの顔をした剣と盾を持った男。


 それに続く弓を持った女性とフードを深く(かぶ)った少女。


 そして最後に短パンにタンクトップという、動きやすそうな服装の女。


「先手必勝!」


 レイカがそう叫ぶと、操られている魔法生物達が一斉に迎撃者達に襲いかかる。


 ヒョウ顔の男は剣技で、弓を持った女はどこからともなく取り出した矢をつがえて放つ。


 タンクトップの女は拳と足技で対処し、フードの少女は手をかざし、眼の模様の様な魔法陣を出現させると、少女を攻撃しようとした魔法生物達が全て爆発する。


「なっ?! あの数をあっという間に!」


「油断ならない相手ね」


 驚く桜と気を引き締める春香。


「魔法生物に気を取られているうちに!」


 レイカは鱗粉で中空に眼の模様を描く。


 が、敵は全員、目を背けて模様を見ないようにしている。


「なんだと?! まるで姉貴の能力を知ってるみたいな事しやがって!」


「知ってるみたいじゃなくって、知ってるんだよ!」


 レイコの言葉を遮るように、突然レイカの目の前にタンクトップの女が現れ、レイカと共に消える。


「何だ?! 姉貴」


「瞬間移動よ! レイカをどこかに連れて行ったのね……」


 驚くレイコに星垂が解説する。


 レイカの能力を知っていると断言した、タンクトップの女。


 おそらく、一番厄介な相手として、主戦場から引き離したのだろう。


「テメェら、姉貴をどこにやった!!」


「落ち着きなさい。レイカは簡単にやられるタマじゃないわ。それより、目の前の敵に集中しなさい。姉貴がいたらそう言ってるわよ!」


「くそっ!」


 ぐうの音も出ないレイコは、仕方なく星垂の言葉に従う。


「来るわよ!」


 火織の言葉を合図に、戦闘が始まる。




 正面組の最後尾、羽月、余白、日奈子は72使徒、マルバスの襲撃を受けていた。


 首付きの獅子の毛皮を(まと)った巨漢で、戦斧を使う荒々しい戦士。


 ドオォン、と轟音をたてて稲妻がマルバスに落ちる。


「アタシの最大火力。これならもう、立てないでしょ……」

 

 息を切らせる日奈子。

 

 一方、マルバスは戦斧も毛皮も吹っ飛び、黒焦げになって倒れている。


「流石にもう、動けないでしょ」


「って言うか、これで倒せなかったら……」


 余白が言いかけたその時、黒焦げのマルバスがゆっくりと起き上がる。


「そんな……」


 絶望する日奈子。


「倒せないなら僕の封印術で!」


 木の葉を指に挟んで構える余白。


「なにやってんのよ、アンタ達」


 それはベリト達との戦闘を終えたエリスの声だった。


「エリス(ねえ)


「エリスさん!」


 余白と日奈子がその名を呼ぶ。


「コイツが倒れないのよ!」


 羽月が叫ぶ。


 言われて黒焦げのマルバスを一瞥するエリス。


「そいつの本体、ライオンの毛皮の方よ」


 エリスの指摘を受け、一同の視線が投げ出された獅子の毛皮に集まる。


「確かに……。本当に(かす)かだけど、妖気の流れを感じる……」


「この!」


 余白が呟くと、日奈子が毛皮めがけて雷を落とす。


 毛皮は膨らみ、普通のライオンの姿になると、雷を回避して逃走を図る。


「ふざけんな!!」


 羽月が怒りの形相で戦斧を拾い、ライオンめがけて投げつけると、それは見事に命中する。


「トドメ!!」


 日奈子の雷が突き刺さった戦斧に落ち、断末魔をあげる間も与えず、黒焦げにする。


「まぁ、気づかなくても仕方ないわよ。そのくらい巧妙な妖力操作だったもの」


 エリスなりの励ましも、3人の耳には入っていなかった。




「これは、まずいわね……」


 ハルファス、マルファスの生み出し、進化するホムンクルス。


 何度か倒しているうちにより進化し、リリス達との同じ容姿になっていた。


「なに……、これ?!」


 呆気にとられたルリが言葉を漏らす。


「たぶん、私達に適応した結果、同じ様な存在になったんだと思うわ」


 リリスが自身の見解を述べる。


「あと何回か倒したら、本当に手におえなくなりますね……」


 愛美の言葉に、ギョッとする河童姉妹。


 ハルファスとマルファスの合体技、『ホムンクルス牧場』。


 このホムンクルス達は彼女達が張った結界の中でしか生きられないが、死んでも次の世代を生み出し、その次の世代は先代の死亡原因に耐性を持つようになる。


 現時点で愛美達の攻撃に一定の耐性があり、動きにもついてこれるホムンクルス達。


 結界の外にいるハルファスとマルファスを倒すため、真央が結界(やぶ)りを試みているのだが、おそらく結界器か何かで強度が上げられたこの結界を破るのは容易ではないのだろう。


「なんとか真央さんが、結界を破る時間を稼がないと」


 倒せば強くなる敵への対抗手段後それぐらいしか無かった。


『えっ?!』


「また妙な場所に出たわね……」 


  ハルファス達の背後の空間が割れて、南沢 悦子(ミナミサワ エツコ)が現れたのだった。

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