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母はヴァンパイア  作者: 見えてる地雷
過去と今とその先と
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総力戦5

「錬金術の最高峰に賢者の石と言うものがあるが、あの王は造りだした者達にとっての賢者の石なのだろう」


 地下駐車場の戦いの最中、九骸が王についての見解を述べる。


「元々賢者の石とは不完全な物を完全な物にするという代物で、不完全な金属を完全な金属である金に変えたり、不完全な状態である病や怪我を治す力があるのだとか。さしずめ、あの王様は不完全な国とか世界を、完全な物にするという意味合いかもね」


 自身の考えを嬉しそうに語る九骸に他の者達は呆れる。


「本当に嬉しそうですね」


「話は後で聞きますから、コレを飛ばしていただけないかしら」


 呆れる灰の横で、スキュラの下半身の獣達が火球の発射体制に入っていた。


「はいはい……」


 仕方ない、といった調子で王に狙いを定める九骸。


 すると、スキュラの獣達の口から火球が消え、王の身体に直接命中する。


「今だ!」


 蓮美が掛け声と共に霊剣を撃ち込むと、他の者達も一斉に攻撃を集中させる。


「なに?!」


 何かを感知したケルベロスが、注意喚起を兼ねて大声を出す。


 見れば巨大な妖力の触手が、周辺にある車を薙ぎ倒しながら迫ってきていた。


「くっ! 何だよ効いてないのかよ!!」


 各々がそれに対処し事なきを得るが、あれだけの攻撃を受けて弱る様子のない王に疑問を持つケルベロス。


「少なくともスキュラの火球は直撃しているから無傷では無いはず。おそらく龍脈からのエネルギー供給によって、受けたダメージが回復したんだろ。龍脈をどうにかしないと王を倒すのは難しいな」


「でも九骸さん、今現在の龍脈は書き換えられていて……」


「ああ、書き換えられていて72使徒の支配下にある」


「龍脈の支配権を奪わないと、王の攻略は現実的ではないですね」


 九骸と灰の話を聞いたスキュラが結論を出す。


「くそっ、また来た!」


 ケルベロスの言葉通り、王の触手による猛攻が続く。


 そして今回の攻撃はそれだけではなかった。


 地面を貫いて、突然現れる触手。


 王は通常の攻撃とは別に、地下に触手を通して不意打ちを狙ったのだ。


「これはまずい。向こうは常に万全の状態なのに対し、こちらはジリジリと体力を失っていく!」


 そう呟くと、九骸は強引な手段にでる。




 72使徒の隠れ家にて、アンドラスと交戦する星垂は、人魂廻廊によって、敵を翻弄していた。


 灯籠と入れ替わる事で攻撃を回避し、時には不意打ちを成立させる。


 結界を破ろうとすると、そのスキを突かれて攻撃を受けるという、不利な状況。


「ならばこれでどうだ!」


 そう言って翼を広げて宙に浮き上がるアンドラス。


「その厄介な灯籠、全て破壊してやる!」


 アンドラスは周辺に炎剣を大量に出現させ、灯籠に向けて発射する。


 次々と破壊されていく灯籠。


 しかし、星垂は近くの灯籠の青白い炎に手をかざすと、炎の色が赤くなり、ソレがアンドラスと入れ替わる。


「青い炎の灯籠は私と入れ替わり、赤い炎の灯籠は私以外と入れ替わる」


 言うと同時に、青白い炎を(まと)った回し蹴りをアンドラスに食らわせる。


「おのれ……」


 青白い炎に包まれながらも、戦闘を継続するアンドラス。


「しぶといわね」


 星垂がそう言うと、まだ無事だった灯籠が滑るように移動して、アンドラスを挟む。


「これでとどめよ、」


 そう言って自身を青白い火球に変え、突っ込んでいく星垂。


「ぐはぁっ?!」


 吹っ飛ぶアンドラス。


 星垂は結界を解き、通常空感に戻る。


 その星垂が見た光景。


 それは手足の生えたサメたちと戦う、レイカとレイコの姿だった。


「なに?! なんなの、この気持ち悪い」サメもどき達は!


「おそらくは、サメの形をした魔法生物。今わかっているのはこのくらいね」


 淡々と応えるレイカ。


 その横でレイコがサメの一体を蹴り飛ばすと、そのサメに他のサメ達が(むら)がる。


「あともう1つ、コイツらとも食いで進化するみたい」


 とも食いしたサメ達は、筋肉質な、より人間に近い姿に進化する。


「何なのよ、コイツら……」


 星垂が呟く。


「来るぜ!」


 レイコが叫ぶと同時に、サメ達が襲い掛かかってくる。


「とも食いさせないためには、全員倒すしかないってこと?!」


 青白い炎を(まと)った星垂が困惑した様子で漏らす。


「は?!」


 突然、星垂が奇妙な声をあげる。


 星垂が蹴り飛ばしたサメのふっとんだ先に巨大な貝殻がおり、サメをまるごと補色してしまったのだ。


「貝がサメを捕食?」


 レイカ達の目の前で、サメを捕食した貝は鎧をまとった騎士のような人型に進化する。


「くそっ!」

 

 人型の貝殻に向かっていくレイコが攻撃を繰り出すが、どれも決定打にはならない。


「鱗粉で削り取ってやりなさい!」


「了解!」


 姉のアドバイスに従うレイコ。


 羽から鱗粉を出すと、それを円盤状にして人型の貝殻に向けて放つ。


 円盤は、敵の貝の装甲を削り、生身を覗かせる。


「これでトドメだ!」


 レイコが放った槍状の鱗粉が装甲を削り、体を貫通する。


「くそ……。手間かけさせやがって?!」


 グチるレイコの視線の先。


 そこにはカニやタコ、クラゲの人型がおり、こちらに向かってくるのだった。


「ちょっと数多くない?」


 星垂が思わず呟く。

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