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母はヴァンパイア  作者: 見えてる地雷
過去と今とその先と
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総力戦3

「先々代のオークキングが最強と言われた要因の1つに『振動』っていうのがあってな、体脂肪を振動させて作り出した衝撃波を(まと)うんだ。この衝撃波は攻撃だけじゃなくって、攻撃を打ち消したり衝撃を使って吹っ飛んだりと、防御や移動にも使えたんだ」


 取り壊し予定のボロアパートにて、トン助は先々代のオークキングの強さについて語っていた。


「たしかにすげぇけど、結局先代に倒されたんだろ? 何か弱点とかあったんじゃないのか?」


「ああ、振動は体に負担がかかるみたいで、連続で長時間は使えないんだ。そこを突かれて敗北したって話だ」




「ひぃぃぃぃっ?! おたすけぇ!!」


 地下駐車場の戦いでは、灰がオークキングがら必死に逃げ回っていた。


 アンデッドと化したことで振動の副作用もものともせず、暴れ回るオークキング。


 圧倒的な攻撃力と防御力に加えて、高い機動力まで持つこの怪物になす術がなかった。


「ちょっ、九骸さん! 手伝ってくださいよぉ、僕1人じゃ無理ですってぇ!」


「いや、そうしたいのは山々なんだけどさぁ……」


 スキュラと対峙しなが無理言うな、という感じで返す九骸。


 空間転移でスキュラ本体の心臓を抜き取ろうと試みるが、回避されて逆に反撃を食らう九骸。


 (すんで)のところで転移して回避するが、じれったい展開が続く。


 オークキングの初撃を天井に穴を開けて回避した蓮美は姿を消したままで、鈴禍と鉄三はケルベロスと交戦中。


 援護を受けられない灰に、さらにグールとジーンズの女ことウェンディゴが襲いかかる。


「他に行ってくださいよぉ!!」


「倒しやすい奴から倒す。これは大原則だ!」


 グールはそう言うと、オークキングの攻撃を回避した灰に餓鬼火を放つ。


 回避直後を狙われ、灰に直撃する餓鬼火。


 炎に包まれた灰にオークキングが渾身の一撃を放ち、吹っ飛んでいく灰。


「これで双方、1人づつリタイアですね」


 ガミジンが嬉しそうに言う。


「灰くん、腰抜けごっこはそのぐらいにしてして、そろそろら本気を出して貰えないかな?」 


「ごっことか言わないでくださいよ。ホントにおっかないんですから……」


 餓鬼火に焼かれ、文字どうり(はい)となった(かい)が普段の調子で応える。


「『灰燼(かいじん)(かい)』、彼の(はい)は超高温だよ」


 九骸がほくそ笑むと同時に(はい)がオークキングを包み込み、(はい)も残さず焼きつくす。


「なんだと?! 一瞬で!!」


 驚愕するグールを床を貫いて現れた刀剣が斬り裂く。


「先輩……。もっと早く参戦してくださいよ」


 ボヤく(かい)


「なんだと?!」


 動揺するウェンディゴ。


 足元に意識が向いていたが、蓮美は天井を斬り裂いて現れ、その剣がウェンディゴを刺し貫く。


「何と言う……」


 一気に形勢が傾いた事で激しく動揺するガミジン。


 そのスキを逃さず(かい)が襲いかかる。


「しまった?!」


 咄嗟に回避を試みるも間に合わず、首から下を焼かれるガミジン。


 残る戦力はケルベロスとスキュラの2人。


 虚空側の勝利かと思われたその時、王の遺体が隠された黒いバンが突然、弾け飛ぶ。


 突然の出来事に虚空の面々だけでは無く、ケルベロスとスキュラも驚き、そちらを見る。


「王の遠隔覚醒に成功しましたか。さすがはアガレス殿」


 バンのあった場所に立つ人影は尋常ではないプレッシャーを発していた。




「なんだ?! グリフォンが本体じゃなかったのか?!」


 ムルムルと空中で対峙するレイカとレイコ。


 そのレイコが困惑の声をあげる。


 ムルムルと名乗った女性の背中から猛禽類の翼が生え、グリフォンは翼ある女性の姿になる。


「どうせどっちも本体とか言うオチなんでしょ。どのみち両方ぶっ飛ばすんだから、考えるだけ無意味よ」


 そう言ってムルムルに肉弾戦を(いど)むレイカ。


 レイコも姉に(なら)ってグリフォンに挑む。


「これが、俊紅の効果……。敵の動きがよく見える、そして体が軽い!」


 レイカはムルムルの槍の連撃を避けながら接近し、左手ストレートからの右アッパーを見舞い、ダウンさせる。


 レイコはスピードでグリフォンを翻弄しながら、回し蹴りを命中させ、地上に叩きつける。


「くそ……」


 立ち上がるムルムルとグリフォン。


 そこへレイカが羽を広げて、目の模様を見せる。


「なっ、なんだ?! 体の自由が効かない?!」


「勝負あったわね。レイコ、とどめよ!」


「了解!」


 そう言ってレイコは鱗粉を槍状に集めたその時、2人の背中から翼が離れて宙に舞い上がる。


「今度は何だ?!」


「本体はあの翼だったって事かしら。今度は私達に取り付くつもりみたいね」


「寄生してたってのかよ?! キモッ! コッチくんな」


 鱗粉の槍で一対分は撃ち落とすが、残る一対は未だ無事。


「この羽の上にあんなのが付くなんて、ぜってぇカッコ悪いし、ぜってぇヤダ!」


 レイカとレイコは一対二枚の翼にそれぞれ蹴りを食らわせ距離を取ると、レイコの鱗粉が渦巻きながら翼を包み込む。


 鱗粉は高速で渦巻き、中の翼をズタズタに斬り裂き、その破片がバラバラと落ちていくのを見届ける。


「先を急ぎましょう」


 そう言ってその場をあとにしようとするレイカ。


 しかし、前方を見てフリーズする。


 何も無い空間をサメが泳ぐ様に浮いているのだ。


「魔法生物?!」


 レイカは連戦の覚悟を決める。

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