表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
母はヴァンパイア  作者: 見えてる地雷
過去と今とその先と
128/160

総力戦2

「いくぞ、佐伯エリス!」


 バルバトスと融合し、大人の姿となったベリト。


 一気に間合いを詰め、手刀の突きを連続で繰り出す。


 それらを全て、紙一重で避けるエリス。


 しかしベリトはその手刀からエリスの髪を掴むと、自身の膝に引っ張り、膝蹴りを命中させようとする。


「くっ!」


 咄嗟に両腕でそれをガードするエリス。


 だが、ベリトは膝から先を伸ばし、爪先でエリスの顎を狙う。


「しつこい!」


 髪を掴んだ腕を振りほどき、ギリギリのところで爪先アッパーをかわすエリス。


 この強さ、単純にオートマタとしての性能が上がっただけでは無く、ベリトの意識の変化。


 良く言えば覚悟を決めた、悪く言えばヤケクソ。


 その強さに、エリスも覚悟を決め、自分の右手に噛みついてリミッターを解除する。


 と、同時に先程掴まれた髪の毛がベリトの手に握られている事に気づく。


「人の髪の毛を無闇やたらとむしり取るんじゃない!」


 エリスが咆えると、ベリトが掴んでいた銀髪が腕に絡みつきながら伸びていき、彼女を(おお)いつくす。


 ベリトを拘束した事をする確認し、飛びかかるエリス。


 だが、ベリトを拘束していた髪の毛は斬り裂かれ、バラバラと床に落ちる。


 見ればベリトは両腕を両刃のブレードに変化させ、髪の毛を斬り裂き、その刃をエリスに向けて振るう。


 咄嗟に翼を羽ばたかせて、ブレーキをかけるエリス。


 紙一重で(やいば)をかわすと、一瞬でベリトの懐に入り込み、連続で拳を打ち込む。


「ぐふっ?!」


 吹っ飛ぶベリトを追撃するエリス。


 しかし、ふっ飛ばされながら右手から矢を、左手から弓を出し構えるベリト。


「バルバトォス!!」


 己の半身の名を叫びながらのゼロ距離射撃。


 ベリトの射撃がエリスの(ほほ)をかすめ、髪の毛を焦がす。


 そして、エリスが回避と同時に繰り出した回し蹴りがガードする腕ごとベリトを薙ぎ倒す。


「……ろせ」


 戦闘不能になったベリトが言葉を絞り出す。


「どうしてもトドメが欲しいって言うなら、くれてやるわ。てもアンタ、ホントにそれでいいの? あのバルバトスって子が言ってたわよね? アンタが生きている限り自分ひはそこに()るって。自ら死を選ぶ行為は、もう一度あの子を死なせるって意味よ?」


 エリスの言葉に顔をそむけ、身体(からだ)を震わせるベリト。


 エリスはその姿を見て背を向ける。


「どうしても生きるのが辛くなったのなら、アタシのところに来なさい。トドメをさしてあげるわ」


 一瞥もくれることなく、エリスはその場を立ち去る。




 72使徒の隠れ家突入の少し前、エリス達は簡単なミーティングを行っていた。


「突入部隊は大きく4つに分けるよ。まずは正面組、数はここが1番多くなるね。次は別働隊AとB。こっちは少数精鋭。そんで最後に待機部隊。これは敵の出方を見て、対応したり増援を送ったりするための部隊ね。あたしはここに所属して、後方から指示を出すから」


 ここまでの事で何か質問は、という紗由理な言葉に、


「組と隊が混ざってて、紛らわしいんですけど」


 真顔の夢子のの発言。


「正面隊とか別働組だとゴロが悪いんでこれでいいんです」


 淡々と応える紗由理。


「感知してみた感じ、連中の隠れ家の中は、ほとんど亜空間になっているみたいだね。そこに入ってからが本番だから」




 ミーティングでの紗由理の言葉どうり、通常空間が終わり、亜空間のエリアに入るエリス。


 ベリトと戦っているうちに先行した者達が戦闘状態に入っている。


「こいつ、ガシャ姉と戦っていたやつだよなぁ。姉貴!」


「たしか名前はムルムル。グリフォンの方が(あるじ)だったはずだけど……」


 グリフォンライダームルムルと対峙するレイカとレイコ。


 一方、そう離れていない別の場所では、炎の剣を構えるアンドラスと星垂がにらみ合っていた。


「霧香が相手じゃなくってごめんなさいね」


「構いませんよ。貴女を倒した後にきっちりと借りを返させていただきますから」


「あら、面白い冗談を言うのね。貴女」


「冗談かどうか、すぐにわかりますよ」


 言うと同時に、アンドラスは星垂に斬りかかる。




「流石ですな、アガレス殿。こうも簡単に、王の居場所がわかるとは」


「貴方達がイグドラシルの根を張り巡らせてくれたおかげよ。今、この周辺の龍脈は私達の支配下にあるわ」


 静かに微笑むアガレス。


「ブエル、王を奪還し次第心臓の移植を行う。その準備をしておけ」


 近くに待機していた小柄な男、ブエルにそう命じると、フォルネウスは部屋を出る。


 自身も侵入者達を迎え撃つために。




「死は生の上位互換。それをその身に教えてさしあげましょう」


 正面組の桜、春香、直、火織は無数の小動物が重なり合ってできたガミジンの分体、それも複数に進行を(さえぎ)られていた。


「こいつらは小動物の死体の集合体。普通の打撃では倒せないわ。ここは私がやる!」


 そう言って自身の真紅の翼から、羽根を抜き取ると、ソレが炎の剣に姿を変える。


「いくわよ!」


 翼を広げホバリングしながら、次々とガミジンの分体を焼きつくしていく火織。


 しかし突然、彼女の動きが止まる。


「くっ、こいつ!」


 地面を突き破って現れたワームが、火織の足に絡みつき、動きを止めていたのだ。


「このぉ!」


 ワームを斬り捨てる火織。


 しかし同時に複数のワームが、彼女を囲む様に地面から顔を出す。


「ベリトが培養しすぎたワーム達です。遊んでやってくださいな」


 地上と地下から一斉に襲いかかるワーム達。


「うぉりゃあぁ!!」


「死体にミミズなんていい趣味ね」


 桜と春香が火織の援護に入り、ワーム達をなぎ倒していく。


「邪魔しないでいただきたい」


 分体の1人が桜に掴みかかってくる。


 しかし桜はその手を掴み、両手を当てるとその分体に妖力を流し込む。


 するとガミジンを形作っていた小動物のアンデッド達は、ボロボロになって崩れ落ちていく。


「よし、修行の成果が出たぜ!」


 そう言って地面に両手を当てると、以前バケツの水を渦巻かせた要領で地面を伝って妖力を敵に流し込む。


「なっ! そんな……」


 ガミジンとワーム達は一斉に崩れ落ちていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ