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母はヴァンパイア  作者: 見えてる地雷
過去と今とその先と
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イグドラシル16

(まった)く、うちの職員の優秀さときたら……」


 ラードンとの取引で得た2枚のメモ書きを見ながら、第18支部長の根谷は呟く。


 彼との取引直後に俊紅の少年が連れ去られたと言う報告が入り、それから時を経たずして少年の居場所と72使徒の隠れ家が見つかったと告げられた。


 確かにラードンの言うとおり、時間が経っていれば2つの情報のうちの1つは価値を無くしていた。


 例の肋骨の取引に乗ったのはいささか早計だったか、と自分に問う。


 そして1回、大きなため息をついて切り替える。


「あまり気乗りはしないんだが、二正面作戦を行う。対象の1つは72使徒が潜伏する、例の洋館。もう1つは王の遺体を保有すると言われている虚空……」


 支部長根谷は側近に指示を出す。




「取引は成立?! あれでですか?!」


「あれが取引なんですよ。彼の立場を考えてください、ノコノコとこちらの言いなりになるわけにはいかないてしょ? 出し抜くポーズだけでもして見せないと」


 まんまと肋骨を取り戻し、支部から脱出したラードンと房士。


 罠にハマって囚われ、肋骨を奪って脱出するまでが取引と言い張るラードンに何とも言えない房士。


 結果論では、と喉まで出かかっているのを必死に抑える。


「おっと、二正面作戦ですか。なかなか大胆な動き方をしますね」


「なんですか一体……。まさか盗聴?! 一体いつの間に……」


 ラードンの片耳につけられたワイヤレスイヤホンに気づく房士。


「おそらくですが彼、気づいていますよ。意図的に情報を流して、あわよくばこちらを利用しようと言うのでしょう。さてさて、どちらに向かうのが得策でしょうねぇ」




 その頃、王の遺体と共に九骸達が潜伏していたホテルの地下駐車場にて、彼らは意外な刺客と対峙していた。


「え〜と、任期満了に(ともな)う代金の支払いは完了しているはずなんだが……」


「ええ、こちらでも確認しました。これをもって、貴方方(あなたがた)との契約は終了。私達が来たのは新しい雇い主の依頼によるものですわ」


 地下駐車場で対峙する九骸たちと少し前まで彼らに雇われていたスキュラ達。


「もう一度こちらにつかないか? 今の雇い主の倍払うぞ?」


「お言葉は嬉しいのですが、この界隈てそれはタブーですので、お受けするわけにはまいりません」


 スキュラの返答にため息をつく九骸。


「まっ、やるしかないな」


「今日は徹夜になってしまいましたね」


 やる気満々の蓮美とやる気を全く感じさせない灰。


「焼きつくさせてもらうぞ」


「凍えて死にな」


 グールとジーンズの女こと、ウェンディゴ、そしてケルベロスとヘルハウンドも戦闘の意思を示す。


 そして、九骸の黒いバンのスライドドアが開くと、眠たそうな男と周りに人魂を従えた少女が出てくる。


鉄三(テツゾウ)鈴禍(リンカ)お客様だ。丁重にお出迎えしろ」


 九骸の言葉に頷くだけの少女とあくびで応える男。


 双方の緊張が高まる中、地下駐車場のアチコチから大量のネズミが集まってくる。


 よく見るとそのネズミ達は頭部や胴体に致命的な傷を負っており、普通ではない事が見て取れる。


 気味の悪いものても見るかのような虚空の面々の前で、それは人型に積み上がり、痩せこけた男になる。


「72使徒のガミジンです。分体で失礼しますよ」


 自己紹介が終わり、ガミジンは両手を叩くと、魔法陣が出現し、そこから包帯に包まれた巨大なミイラが出現する。


「では、開戦といきましょうか」


 ガミジンの言葉を受け、巨漢のミイラはブモォーと咆える。




「先々代のオークキング、別名タイラント(暴君)。間違いなく、その時代における最強の個体だったぜ。頭はあんまり良くなかったがな」


 スキュラたち同様、契約が終了となったオルトロス達。


 以前から根城にしている取り壊し予定のアパートに戻っていた。


 オルトロスがトン助達が使う特殊鎧のパワーアップ案を出す中、最強のオークとして先程の先々代オークキングの名前が上がったのだった。


「ても確か先々代は……」


「ああ、同族から恨みを買いすぎて、最期は同族によって討たれた。ただなぁ、その死体は未だに見つかっていないらしくて、今でもどこかで生きていると信じてる奴って言うのが一定数居るんだ」




「ここが貴方の寝室よ、佐伯走矢」


 寝室に案内された走矢。


 ひと通り部屋の説明を受けた走矢に、ダンタリオンはある話題をふる。


「佐伯走矢、君はお父さんが大事なのか?」


「そりゃあ家族だし……。どうしてそんな事を?」


「私達72使徒は人工的に造られた生命体、ホムンクルス。そして王は私達の同胞の最良のパーツをくみあわせた存在、いわば兄弟のようなものだ」


「ホムンクルス? 人口生命体!」


 ダンタリオンの言葉に驚きを隠せない走矢。


「私が言いたかったのはそこでは無い。君のお父さんの件だ。アガレス殿は教えるといったが、正直私は知るべきでは無いと思っている」


「それは一体……」


 走矢が言いかけたとき、館内に警報が鳴り響く。




「何だこいつは?!」


「増援を!!」


「フォルネウス様に報告だ」


 洋館の扉を蹴破り、入ってきた女がつぎつぎと手下の妖をなぎ通していく。


「無断外泊したから不良息子を引き取りにきたわよ。とっとと上の奴らに伝えなさい。釣り天井固めが来たって」

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