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母はヴァンパイア  作者: 見えてる地雷
過去と今とその先と
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イグドラシル15

「結構、歩きましたね」


「すいません。私達の隠れ家には転移を封じる結界が張られていて、私の転移術も弾かれてしまうんです」


 戦場から離脱したアガレス達は直接隠れ家には転移せず、そこから数百メートル離れた公園に転移していた。


「用心するにしても結界の範囲が広すぎますよ。これでは何かあると言ってるようなもの」


「私もそう言ったのですが、ベリトが言う事を聞かなくて……」


 アガレスの意見に困った様な顔で応えるフォルネウス。


 日本に入国してから王の護衛を担当していたのがベリトだったのだが九骸の襲撃を受け、彼の使う転移術により、王をうばわれてしまった。


 この一件があってから、ベリトは転移術を異常に警戒するようになってしまったのだった。


 そうして走矢をふくむ一同が到着したのは、古びた洋館だった。


「アモン達も回収されて、一足先に戻っているはずです」


 そう言って先頭を歩くダンタリオン。


 走矢もあとに続き、洋館に入っていく。


 そしてこのときの姿を、南沢悦子に目撃されていたのだった。


「やあ、お帰り。お疲れ様」


 そう言ってフォルネウス達を出迎える遊び人風の男。


「ヴァサゴ殿?! いつ日本に?!」


「日本についたのは少し前だよ」


 ニタニタ笑いながら応えるヴァサゴ。


 そして走矢は見逃さなかった。


 ヴァサゴの姿を見たフォルネウスとダンタリオンがあからさまに嫌そうな顔をした事を。




「俊紅って凄いのね。千切れた羽まで再生する何て」


 走矢の俊紅によって回復した、収容組。


 その中の1人、レイカが再生した自分の羽を動かしながら、かんたんの声をあげる。


「ダメージも妖力も回復したけど、一番驚かされたのは……」


 そう言って星垂はある人物の方を見る。


 その時、バサリと羽音をたてて舞い降りる人影が2つ。


 同じ収容組の羽月と火織だった。


 こちらの状況を説明しようとする霧香だったが、火織はそれを(さえぎ)り、ある事を伝える。


「走矢くんが72使徒に連れ去られたわ……」


「走矢さんが?!」


 驚きの声をあげる小夜子。


 しかし、その姿を見た火織が、より驚愕する。


 それもそのはず、氷と炎の混血という相反する力を持って生まれたがために、その力に耐えるために肉体が急成長していた小夜歌。


 ソレが俊紅の影響で本来の歳相応の見た目になっていたのだった。


 12歳の少女の姿に。


「そう……。また走矢くんに助けられたのね……」


 そう言って、火織は小夜子を抱きしめる。


「お話の途中ですが、彼の居場所がわかったみたいよ?」


 羽月はそう言って、自分のスマホを見せる。


「それは本当か?!」


 そのスマホに飛びつく霧香。


 突然の豹変に、羽月は驚き、尻もちをつく。


「で、これからどうするの?」


「もちろん、彼を助けに行くさ」


 星垂の問いかけにまず、霧香が答える。


「当然よね。レイコの傷を直してくれた借りは返さないと」


「姉貴を助けてくれた恩は返さないとな」


「あんた達が行くならあたしも」


「いいの? そんな理由で?」


 最後の夢子の回答に、星垂は呆れる。


「そういうあんたはどうなのよ?」


「行くに決まっているでしょ。なめられたままじゃ、終れないわ」


「私も行きます! 行って走矢さんの力になりたい!」


「小夜子、貴女は……。」


 火織の制止を聞かず、参戦の意思表示をする小夜子。


「とりあえず、収容組は全員参加ね」


 羽月が話をまとめる。




「ダンタリオン、彼に部屋を。もうすぐ夜が明けるが、君は一睡もしていないだろ? 少し休むといい」


 ヴァサゴと呼ばれた72使徒はそう言って、走矢に休息を促す。


 そのやり取りを、何とも言えない表情で見守るフォルネウス。


 彼はダンタリオン達が部屋を出たのを確認して口を開く。


「ダンタリオンは情の強い所があります。彼の世話をさせるのはいかがなモノでしょう……」


「ダンタリオンが裏切るかもしれないと?」


「それは絶対にありません」


「なら何も問題無い、という事じゃないか」


 そう言って部屋をでるヴァサゴ。


「裏切ったりできないからこそ、より深く彼女を苦しめる事になる。分かってらっしゃるくせに……」


 フォルネウスはヴァサゴが出ていった部屋のドアに向かって、そう呟く。




 アガレスとの戦闘のあった公園にて、桜と春香が目を覚ます。


「よかったぁ、2人とも。意識が戻ったんだ!」


 2人が無事、意識を取り戻した事に直が大喜びをする。


 最後の力を振り絞って直に自分の血を飲ませ、回復した直は、走矢の血が染み込んだ春香のスカートの裾から俊紅を絞り出して2人に飲ませたのだった。


「直、走矢は?!」


 桜の問いに首を横に降る直。


「くっそぉ!」


 思わず地面を殴りつける桜。


「最後にでてきたやつ、どうにかしないとね」


 そう言って眼鏡を外す春香。


「おい、それだと何にも見えないんじゃないのか?」


「大丈夫よ。目に妖力を集めて見えるようにしているから」


 そう言った春香の黒目部分が紫色に変わる。


「ええ、はい。わかりました……」


 不意に聞こえてきたエリスの声。


 ソレが誰かとの通話だとすぐに理解する。


「エリちゃんもさっきまで落ち込んていたんだけど、立ち直ったみたいだね」


 そのエリスが通話を終えると、桜達にこう告げる。


「走矢の居場所がわかったわ。」

 

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