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母はヴァンパイア  作者: 見えてる地雷
過去と今とその先と
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イグドラシル8

「皆さん、無事ですか?!」


 支所の入り口付近。


 外で戦っていた理奈達に中で戦っていたエリス達が合流し、救出した夏の状態をみていたところに神崎裕翔や紗由理達が駆けつける。


「ちょっといい?」


 医師としての経験を持つ、紗由理が夏の容態を()る。


「怪我は殆ど無いね」


「ええ、駒にするために治療したみたいなのよ。アイツら」


 紗由理の診断結果に、なんとも言えない表情でエリスが言う。


「一応、きちんと調べた方がいいと思います。何をされているかわかりませんから」


 理奈の言葉に不安そうな日奈子。


「とにかくちゃんとしたところで見てみないとね。学校の保健室に運ぼう」


「学校の?! 病院とかじゃなくって良いの?」


「大丈夫。保健室は改造してあって、治療から改造まで何でもござれよ」


 アリスの疑問に胸を張って応える紗由理。


「いや、改造って……」


 裕翔の車に乗せ咲花が治療を行いながら上沢高校に向かう事になる。


「んで、君達はどうするのさ?」


「支所を調べてみるわ。何か手がかりがあるかも知れないから」


「まぁ、気をつけてね。罠を仕掛けている可能性もあるし」


「ええ、だから専門家を呼んだの」


 そう言ってスマホの通話履歴を見せるエリス。


 そこには直の父、梨央の名前があった。




「失敗したか。先走るからそうなるんだ」


 虚空との戦闘に敗北したベリトとバルバトスにフォルネウスが冷たく言う。


 何も言い返せず歯噛みするベリトと自分のせいでは無いと、無関心を(よそお)うバルバトス。


 使い魔も途中で九骸達を見失い、結局やられ損で終わってしまった。


「だがまぁ良い。朗報だ、アガレス殿が今日中に到着する。彼女が来ればすぐにでも王の居場所がわかる。計画を大幅に前倒しして今すぐ俊紅を取りに行くぞ」


「俊紅と言う事は例のお嬢様を?」


「それともう1人、ヴァンパイアの息子の方もだ。俊紅が多くて困ることはないし、万が一失敗すれば次からガードが固くなるだろう。初手で確実に決めたい。ベリト、お前にも行ってもらう。予備の錬金騎士の準備をしておけ」


 バルバトスの質問に応えるフォルネウス。


 ついでにベリトに再出撃の命令を下す。


「わかった、汚名を返上してくる!」


「お嬢様の方は誰が行くの?」


「フォカロルの話だとブエルと2人で十分だそうだ。あの娘の屋敷の事はフォカロルが知りつくしているからな。あくまでもコッソリと連れ去るのが目的で、戦いに行くわけではない。そのぶん、少年の方に戦力を集中させる」




 知らないうちに支所が乗っ取られていたという、前代未聞の自体に、上沢高校分室も(あわ)ただしく、そのスキに南沢 悦子(ミナミサワ エツコ)は保健室を抜け出し、あのとき何があったのか、記憶をたどっていた。


 邪魔する人間を、片っ端から石化してあの日の首謀格、美原 夏美(ミハラナツミ)を追い詰めた。


 少なくとも悦子はそう思っていた。


 しかし、実際は違った。


 腰巾着だと思っていた古川 泉(フルカワ イズミ)はただ者ではなく、悦子と互角のたたかいになった。


 そしてその戦いの最中、夏美が悦子と泉の両方を攻撃したのだった。


 双方、戦闘不能になり、その間に夏美は泉と心臓を交換し、今は泉の身体に夏美が入っている状況だ。


「古川泉、今はあいつが首謀者……」


 そう呟きながら、悦子は夜の街をさまよう。




「これですね。適当に持ってきた資料の中にありましたよ」


 新しい隠れ家にて、連条 灰(レンジョウ カイ)が過去の心臓が奪われるという事件の資料を見つける。


「12年前ですね……。これって勇魚さんの仕業って落ちじゃ無いですよねぇ?」


「その可能性は否定できないが、心臓を術式的に重要視する考えは何も勇魚だけの物じゃない。生け贄やエネルギーの源として重宝(ちょうほう)がる連中は結構いるからな」


 九骸が灰の疑問に応える。


「じゃあ、このタイミングっていうのも偶然?」


「ソレはわからんな。もしかしたら72使徒の中にさっき言ったみたいな考え方のヤツがいるのかもしれないし。しかし、10人か。多いな……」


 灰から資料をヒョイと奪い取って目を通す九骸。


「いったい、何に使ったのかねぇ……」




「お嬢様、ご機嫌いかがかしら?」


 深夜に美原家に忍び込んだフォカロルとブエル。


 そこで具合が悪そうに横たわる夏美に話しかける。


 夏美は恨めしそうな表情で、必死に何かを訴えかける。


「返しなさい、私の体……」


 悦子との戦闘中、スキをついて心臓を入れ替えた勇魚。


 今、横たわる夏美の中にはフォカロルがおり、その視線の先で小柄な男、ブエルが倒れていた。


「この、わたし特製の心臓を入れれば、下僕が1人出来上がるわ」


 そう言って心臓をブエルの体に入れると、小柄な男はゆっくりと起きあがる。


「あとはブエル先生が、美原夏美から奪った事になる、この特別な心臓を王に移植すれば、王をいのままに操れる」


 そう言い残してフォカロル達は、夏美の部屋から姿を消す。




「妖の気配がするわね。それも複数」


 走矢を拉致するため佐伯家を目視できる位置に陣取るバルバトス、ベリト、そしてアンドラス。


「親以外の妖と同居してるのか?」


「例の支所の件で集まっているだけだろ」


 と、バルバトス。


「他も配置についたそうよ」


 アンドラスの言葉を受けてベリト達は戦闘態勢に入る。

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