第五話 追放
「ハッ」
目を覚まし跳ね起きようとするができなかった。
どうやら僕は手枷で牢屋の壁に繋がれているらしい。
「くそっ」
どうにか手枷を外せないかと格闘していると
「気分はどうかね?氷野よ。」
ニタニタと嗤う国王がこちらに向かってきた。
僕は表情を引き締めると
「最悪だね」
「それは重畳、本日君を国家反逆の罪で彼の地、獄界へと追放することが決まった」
国王は表情を締めてそういった。
「おい、ビア樽。団長はどうした」
僕は、目が覚めてから気になっていたことを問いかけた。
「ビッ、ビア樽だと。ゴホンっ、彼は二度と逆らえないように隷属の首輪をつけさせて職務に戻しているとも」
国王は一瞬憤怒の表情を浮かべるが、落ち着きを取り戻しそう告げた。
「それに、きみはそんなことを心配していられる立場じゃないだろう?君の追放は今日の午後一番に行うせいぜい震えながら待つと良い」
国王はそれだけ言うともう用はないとでも言うかのように牢を去っていった。
「ちくしょうっ!」
俺はその後姿に悪態をついたがすぐにそれではどうのもならないことに気が付き、今後の方針を固めることにした。
追放されることの利点は、この国の人間に気取られずに強くなれるということ、難点はクラスメイトたちや国王たちの動向を把握できなくなることだ。
だけど、弱いままじゃ何もできない。強くなればできることも増えるはずだ。
僕/俺は決意した。強くなりこの国を終わらせクラスメイトたちを助けることを
『強固な意思を検知、これにより新しい魔鎌が開放されました。』
◆◇◆◇◆◇
「これより、反逆者である氷野剣の追放を執り行う」
そんな宣言とともに玉座の間で俺の追放は始まった。
「あたしは、お前がこんな事するやつだったと信じたくはないが証拠があるんなら仕方がない……か」
先生が苦虫を噛み潰したような顔で言った。
「ギャハハ、無能が国家反逆とか笑えるぜ。せいぜい追放先でも元気でな?むりだろうけどよ」
虎の威をかるなんとやら、咎められることがないとわかっているのか力山たち不良グループが煽ってくる。
「なんでこんなことしたんだよ、剣……」
蔵之介が沈痛な面持ちでこちらに言葉をかけてくる。しかし、誰も追放に反対しない。国王が初日にかけた洗脳が機能しているからだろう。
「俺は、必ず戻って来る。ビア樽!その時がお前の終わりのときだ!」
俺はそう怒鳴りつけると自分から転移陣へと入っていった。
転移直前ビア樽が
「ふん!負け犬の遠吠えだな。できるのならばやってみるがいい」
その言葉とともに視界が光り輝き……
光が収まったその時俺は、俺の運命を変える出会いが待つその場所”獄界”へと転移していた。
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