第四話:訓練
異世界転移五日目
「よし、昨日までで基本的な体術訓練や武器の使い方、魔法に関する座学は行った。今日からは、本格的にジョブのレベルを上げるための訓練に移るぞ」
団長がそう言って僕らを見回した。ここ数日僕らは、特に国王から不穏な命令をされることもなく訓練を続けている。
「ジョブレベルの上げ方はジョブによって違う。なので今日からはジョブごとに時間をずらして訓練する。お前たちはジョブ枠が3つ以上あるやつがほとんどだ。だから、効率良く上げるためにそうする」
僕らの規格外さを改めて意識したのか苦笑しながら団長はそういった。
団長さん納得していない人もいますけど。
そんな僕の考えを感じ取ったかのようにこちらに視線をちらっと向けて
「納得行ってなさそうなやつもいるが、これは最初のうちは競わせたほうがお前たちも必死になるかと思ってな。それに氷野、お前も一通りなにかやってればジョブレベルを上げられるかもしれんし、そうでなくとも訓練してればレベルは上げることができるしな」
「あはは……」
まあそうですよね。ただ、ここ数日で色々やってるうちに団長は国王の陰謀に関与していないことがわかった。なんなら、事情を話したとき団長は国王派ではないことがわかり支援してくれることがわかった。そのため、こちらのステータスの情報の一部を明かしておいた。だからこんな訓練方法にしてくれたのだろう。
ちなみに、ここ数日の訓練のお陰でレベルが二上がり十となり、ついにジョブの隠蔽が解けた。
そのジョブは、魔鎌士:特殊効果のある魔鎌を扱い戦う。
団長も知らないユニークジョブではないかとのことだ。
ここ数日の出来事に思考をめぐらしていると、
「ギャハハ、だってよ。落ちこぼれクーン」
そんなふうに馬鹿笑いしながらよってきたのはクラスの不良グループの筆頭の
力山 武だ。
「あはは、頑張るよ」
苦笑しながらそう返すとそれが気に入らなかったのか体をゆすりながら舌打ち一つおいて不良グループの下へ行ってしまった。
ちなみに、いつもならすぐ仲裁に来る水瀬先生は現在別行動中だ。だからこそ、彼らも大きな態度をとることができるわけなんだけどね。
「気は済んだか力山、それでは訓練を始める。まずは戦士のジョブを持っっている諸君からだ」
◆◇◆◇◆◇
まずは、取得する初期スキルを決めるんだったよね。
戦士の初期スキルはたしか……
・挑発:敵のヘイトを自分に向ける
・筋力強化:筋力の値を20%増加させる。上昇率はスキルレベルによって増加す
る。
・敏捷強化:敏捷の値を10%増加させる。上昇率はスキルレベルによって増加す
る。
・武技・強打:敵に二割増の威力で打撃を加える。(盾・打撃武器・素手専用)
だったな。どれを取ろうか、僕のメインジョブは魔鎌士……
なら選ぶのはこれかな。
筋力強化だ。取得条件は、規定された動作を指定回数こなすだけ。
具体的には、腹筋百回・スクワット百回・腕立て伏せ百回だ。
僕は、取得するスキルを決めたので団長に報告に行った。
「よし、それじゃあ全員決まったみたいだし取得するスキルにあわせて訓練場の四隅に別れろ」
団長が手で騎士団員に指示しながら僕達に号令をかけてきた。
僕は、小走りで移動しながら隣を走っている蔵之介に
「蔵之介も筋力強化にしたんだね。みんなほとんどは武技の方に行ってるのに」
と、問いかけた。
「どうせ、剣も俺と似たような考えなんだろ?ゲームとかでもそうだが、即死技みたいな特殊な技でもない限り基礎パラメータが重要だしな」
いつものように人好きのするような笑みを浮かべながら言った蔵之介に同意を示すよう僕はに苦笑した。
筋力強化の訓練場所につくと団長が
「お前たち二人ならこちらに来ると思ったぞ。お前たちなら目先の派手さではなく今後生きてくる堅実さを取ると思っていたからな」
「まあ僕は、スキル取れなくても体を鍛えておけば生き延びる可能性も上がるかと思ったので」
「ふっ、いい心がけだ。それでは訓練を始める!」
◆◇◆◇
「だーっ、終わったー」
今日の訓練も先程の回復師用のもので終了だ。
俺は今日だけで4つの基礎スキルを取得した。
戦士:筋力強化
魔術師:魔力回復速度上昇
回復師:魔力強化
斥候:索敵
この四つだ。さらに、ステータスを確認してみると新しくユニークスキルが生えていた。
魔鎌士:魔鎌召喚
これによって、俺のジョブレベルは全職業一つ上がった。しかし、他のみんなは勇者を除いてスキル取得には至らなかったらしい。この違いはおそらく成長補正の補正値の違いだろう。ちなみにユニークジョブのジョブレベルはジョブによって違うらしい。魔鎌士の上げ方を探るのも今後の課題だな。
ちなみに俺は今団長の執務室にいる。今日の成果の確認と今後の方針の話し合いのためだ。
「団長、今日の訓練ですべてのジョブレベルが一つ上がりました」
「ほぉ、成長補正(極大)は伊達じゃないな」
感心するかのような顔つきでそういう団長と話し込んでいると。
「残念だよ騎士団長、そして氷野まさか国家転覆を図るとは」
そう言って現れたのは国王と宰相、洗脳されたクラスメイトたちだった。
「なっ、いつからだ!?」
混乱しながらそう言うと、
「実は王家の暗部”夜鷹”をそなたたち勇者一行一人につき一人つけておいたのだよ。もしかしたら洗脳に抗えるものがいるかも知れないと思っての」
「さすが、ビアード王先見の明が冴え渡っておりましたな」
宰相が媚びへつらうように揉み手で褒め称える。
「くっ、氷野俺のことはいい逃げるんだ」
団長が焦っている。
「団長!」
「いいから逃げるんだ!」
できるかよ。短い間とはいえ良くしてくれた団長やクラスメイトたちをおいてなんて、だが団長が言ってることも正論だし。
トン
そんな軽い音が聞こえた瞬間俺の視界は暗転した。
『攻撃を検知しました。◼️奪の効果により経験値700を強奪しました。これによりレベルが15上昇しました。レベルが一定値に上昇したことを検知しました。◼️奪の派生効果が発動します。対象からスキルをランダムに一つ強奪します。成功しました、闇魔法を獲得』
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