第一話 クラス転移
眩しい輝きが収まったその時僕達は、愕然とした。
普段見慣れた教室が、映画やアニメで見るような、まさに玉座の間でございます。とでもいうかのような場所に立っていたからだ。
あたりを見回してみると、正面には玉座らしきものに座った、だらしないお腹をしたサンタのようなヒゲを蓄えた推定王様。その隣にはけばけばしい化粧をしたこれまた見事なビア樽体型の推定王妃、推定王妃の反対側には国王夫妻?とは対象的なやせ細った骸骨のような体で鋭い三白眼をした宰相らしき男・・・・・・。
そんなふうにして、現状把握に努めていると、隣にいた蔵之介が、
「なあ、剣これって、ラノベとかでよくある異世界転移ってやつか?」
と呆然としながら聞いてきた。そんな彼の様子を見ていると、まだ少し残っていた動揺が収まってきた。
「多分そうだと思うぞ。」
そうやって、話していると正面で座っている推定国王が俺達に喋りかけてきた。
「おお、よく来てくださりました。歓迎しますぞ、勇者の皆様方まずはご挨拶を朕はこの国ビアード王国国王、エドワード・アンジェロ・ビルクライム・ビアード3世である。急にこちらに来られてさぞ混乱なさっているでしょう。今からこちらの宰相に皆様の現状を説明させますのでまずは落ち着いてお聞きくだされ」
とそんなことをのたまいながら、隣りにいる鷲鼻の推定宰相に話を向けた。
「みなs」
「おい!ふざけんなよ!あたしと生徒たちをさっさと元いた場所に戻しやがれ!」
っておい!水瀬先生今からそれらのことを話そうとしていた宰相さんの話を遮るなよ。
「せ、先生まずは話を聞いてみましょうよ。」
そういって、先生を諭しているのはクラスのマドンナである一ノ瀬火煉さん。
「ちっ、わーったよ。ほら宰相サン?さっさと話してもらおうかあたしたちの現状とやらをさ」
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「ゴホンっ、ではまずは自己紹介からさせていただきます。私はこの国の宰相を務めさせていただいている、ロベリウス・フルトロス・ギルシェパードと申します。」
そんなふうに、ロベリウス宰相の説明は始まった。
彼の話をまとめるとこうだ。
魔界にいる魔王が攻めてきた⇒戦況が悪くなってきたぞ⇒よし、勇者召喚だ。
といった流れで召喚されてしまったらしい。この身勝手な発言にもともと沸点が低めな水瀬先生やクラスの不良グループは、
「ふざけんな!さっさとモノ世界に返しやがれ!」
と宰相や国王にメンチを切っていた。流石に、不穏な空気を察してか宰相が続きを話し始めた。
「皆さんをお帰しすることはできます。しかし、それは直ぐにできるものではないのです。皆さんをお帰しするには、魔王の宝と魔王軍に奪われた地域にある送還のための魔法陣を使わねばなりません。そのため、皆さんには魔王軍を打倒していただかねばなりません」
「おい、宰相とやらその魔王軍てのを倒せば、あたしと生徒帯は帰れるんだな?」
そんな先生のドスの利いた声を受けて冷や汗を垂らしながら宰相が「ええ」と頷いた。
「あの、魔王軍と戦えっていうからには私達にも戦えるだけの力があるんですか?」
おずおずといったかんじで一ノ瀬さんが聞いた。
おお、それは俺も知りたかった。というかみんないきなり転移したのにテンプレみたいに騒ぎまくったりしないのね。やっぱりこの手の娯楽は僕らの世界ではありふれたものだったしね。おっと、話が進み始めたな。
「はい、もちろんです。皆さんには、こちらの世界の人族の平均のざっと数十倍から数百倍の力があるはずです。今からご確認の方法をお伝えします。騎士団長皆さんを練兵場の方へお連れしなさい」
「はっ!!!」
うわっ!どんな大声だよ・・・・・・いま空間が震えたみたいな感じがしたぞ。
だけど楽しみだな、帰れないことや戦いを強制されることに不満はあるけどこんなテンプレみたいな展開はオタクとして期待しないほうがおかしいよね。
練兵場は、まさに僕らの世界のアニメやラノベで描写されているような場所だった。そこにつくと騎士団長が先程の玉座の間より砕けた口調で話しかけてきた。
「勇者様方ここが練兵場だ。さっき宰相殿も言っていたようにこれから皆さんのステータスを確認する。これは今後の作戦や訓練計画を適した形で行うためだと思ってほしい」
騎士団長はそういったあとそばにいた騎士になにか指示を出していた。
「ねえ蔵之介この後ってテンプレみたいに鑑定魔法とかステータスプレートみたいなので確認するのかな?」
「そうじゃないか?いやー少し楽しみだな、戦いとかは怖いけど」
「よし、それじゃあ今から配るものに針で指を指して血を垂らしてくれ。そうすればステータスが浮かび上がる仕組みになっている。」
そう言って僕らに渡されたのは、免許証くらいの大きさの金属製のプレートと小さめの針だった。
えーっと、これに血を垂らせばいいんだったよね。
プスッ、ポタッ
これでいいのかな?そう思っていると金属プレートが光りだした。光が収まると、色の変わったプレートが輝いていた。
「おい、見ろよ剣俺のプレートアクアマリン色だぜ」
「へー、色は人によって違うみたいだね。ちなみに僕は、青灰色だよ」
蔵之介と話していると、騎士団長さんが話し始めた。
「全員できたようだな。それと、自己紹介が遅くなったが俺はこの国の騎士団長をしているウルバート・ギャレル・アスフェリスだ。気軽にウルバートさんとでも呼んでくれ。それじゃあ、ステータスと今おまえたちの手元にあるステテータすプレートについて説明する。」
ウルバート団長の話をまとめるとこうだ。
・この世界のレベル1のときのステータスの平均は40〜60
・スキルは、ジョブの成長や普段の行動で熟練度を積むことで獲得・成長させることができ、唯一の例外が極稀生まれたときから所有しているユニークスキル
・ジョブ枠は基本的に2つあれば天才3つ以上あれば国を上げてもてなされる。
・ステータスプレートの色は持ち主の適性のある魔法属性によって決まる。
「っと、こんなもんだな。それじゃあ、お前たちのステータスを確認させてもらうぞ」
そう言って、団長は確認を始めた。
うーん、僕はステータスを確認するためにプレートに目を向けた。