Eクラスの策
「あーあーマイクテストマイクテスト、こちらの状況は一人の男が倒れている」
そこから聞こえた声は、最初に喋っていた男の声ではなかった
「はあ?貴方誰よ!さっきの喋っていた男をどこにやったの!?」
「簡単な質問だねぇ〜。さっき君たちに連絡していた男はそこですやすやねているよ〜」
そう言ってトランシーバーは切れた
「まさか背後を取られていたのにも関わらず、一瞬で男を気絶させたというの?」
「まあそうしなければあの男が俺たちのトランシーバーで会話していた理由が説明できないな」
クラスメイトが騒つく
「あとこれでわかったことがあるな。少なくともあの白髪男はうちらのクラスメイトたちを大きく上回っている。俺たちの狙いで言えば一歩も引けない背水の陣の状態で戦い、相手が攻め急いで突っ込んできてその甘えをしっかり処理していくというものだが、これでは耐える前にやられてしまう。だからここは作戦を変更し、引き分けを狙って行く作戦に変更したほうがいいな」
あたりまえだがこの意見に反対しようとしてくる奴はいなかった
白が落ち込んだように言う
「そうね今回ばかりは引き分けを狙う作戦にシフトチェンジしたほうが良さそうね」
俺がカバーするように言う
「まあ今回はみんなの経験を増やすための一つの機会でもある。そこまで気にすることはない」
「そうね.........」
相変わらず白は暗かったが時間も経てば治るだろう
「そんなことより俺たちにはしなくてはならないことがあるだろう?」
「え?」
俺が真剣な眼差しで言う
「明らかな格上がいることがこれでわかったんだ。なら今外を巡回しているクラスメイトにもこのことは共有すべきだろう?でなければなんの意味のない犠牲が生まれてしまう」
「そうね」
そう言葉を発した白はトランシーバーを全体に聞こえるように設定し言葉を発した
「あーあー。みんな聞こえてる?聞こえているなら返事をして頂戴」
トランシーバーから声が発せられることはなかった。だからといって全滅しているとは限らない。だから白は続けて言った
「一度みんなに退却指示を出すわ。だからみんなはすぐに基地に戻ってきて頂戴」
それでもトランシーバーから声が発せられることはなかった
まさか?という最悪な事態を想像したが、その考えはトランシーバーから発せられた声によりなくなった
「なあいいか?今俺の目の前には背の高い白髪がいるんだよ!」
「え?」
白はそんな素頓狂な声を出した。だがすぐに冷静さを戻し、言った
「待って攻撃は絶対ににしないで、それは罠だから!」
「いや行かせてくれ!例え罠だったとしても俺ならやれる!俺の能力ならお前たちが望んでいた2対1の状況も作れる!俺なら行けるんだ!」
「絶対にやめて!例え2対1の状況を作ったとしても勝てるような相手ではないの!」
「いやすまない!俺なら行けるそう信じてくれ」
「あちょっと!」
そうって男の声は聞こえなくなった
「あーあー聞こえるかな?俺が白髪だよ。いやぁ〜みんな揃いも揃って馬鹿ばかりだ。みんな俺の背後をとれているからかな?揃って攻撃を仕掛けてきたよ〜これが罠だとも知らずにね?全員返り討ちにしてあげたよ。1階と3階には特に人が多かったからねぇ〜言って見たらどうだい?無様にFクラスの連中が転がっているよ〜」
そいつはまるでばかにするように言った。そりゃそうだ、なんせ一人でFクラスをほぼ壊滅させたんだ
白が言う
「今ここにいる私、ベル、隻腕の彼以外の9人のみんなにお願いがあるわ。早急に白髪の場所をつかんでほしいの。もちろん交戦になったら迷わず逃げること、白髪の危険性は倒れていったみんなが証明してくれているわ」
おそらくみんななぜ隻腕が?とか思っているだろうが、作戦などを考えるなどの功績があることから納得してくれたらしい
そうして9人は教室を出ていった
これであの9人が白髪を見つけることができれば逃げルートを確保することができる
しばらく待っているとトランシーバーから声が聞こえた
「........やばい.......白さん聞こえてますか?」
そこから聞こえた声は人からバレないように必死に小さくしている声だった
「どうしたの?順を追って説明してくれるかしら?」
「わかりました......まず、この学校には階段が2つあるじゃないですか」
確かに階段は教室を出て西側にある西階段。もう一つは教室をでて東にある東階段。この2つである
「まず私達は西階段に向かいました。一人でも多くの人が情報を理解するために9人同じ方向に向かって行ったんです。そうしたらEクラスの連中に待たれていました。その襲撃で5人が負傷してしまい動けなくなってしまいました。襲撃にあったとき「勝てない」と思いました。ですからすぐに東階段に向かったんです。そうしたらなんと東階段にもEクラスがいたのです。そうして逃げることは不可能だと察した、高見沢、ムート・ラルフット・エーミール、として二階堂が私を逃がすために体を張ってくれたんです。だから私は一階の教室のロッカーに隠れています」
「なるほど、一つ聞いてもいいかしら?西階段と東階段どちらに白髪の男がいたの?」
「それが.......いなかったんです!!」
なに?いったい白髪は何が狙いなんだ?
「なんだって?まあとりあえずわかったわ。貴方は今いる場所から絶対に動かないこと。いいわね?」
「はい。わかりまーーー」
「見ぃつけた」
最後にその言葉を聞いてトランシーバーから声が消えた
「どうしたの!?」
応答はない。だがこれだけはわかる。あの声の持ち主は「白髪ではない」ということだ
ーーじゃあ白髪は一体どこに行ったのかーー