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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

危うげな幼馴染みの彼女と僕

作者: 新井玲音

僕には幼馴染みの女の子がいる

同じ団地の隣の家

保育園から一緒でいつも遊んでいる


仲が良いのは、中学生になった今も同じ

彼女は綺麗になった


でも、最近、ちょっとおかしいんだ

顔が青白くなって、どんどん痩せている

目は虚ろで、どこも見ていないみたい


聞くところによると、そういう病院に通ってるみたい

薬を主食のように、飲んでるらしい


ある時、彼女は言った

「木登りしようよ」

僕と彼女は大きな木に登り、太く丈夫な枝に、並んで腰掛けていた

彼女は突然、後ろに傾き、木から落ちた

ボキッという骨が折れる音がして、彼女はそのまま動かない

僕は慌てて降りて、救急車を呼んだ


後日、病院にお見舞いに行った

腕と足に包帯が巻かれている

彼女は言う

「私ってドジだから」


また、ある時、玄関のチャイムが鳴ったので、出ると、手首から血を流している彼女がいた

「どうしたの!?」

と聞くと、

「私ってドジだから。料理してて、切っちゃったの」

僕は、また、慌てて救急車を呼んだ

彼女の腕には、大きな傷あとが残った


君は、本当にドジなの···?


半信半疑の僕


また、ある時、彼女は言った

「川に行こう」

僕と彼女は川に入り、水に手をつけたり、泳ぐ魚を見て、遊んでいた

不意に彼女が足を滑らせ、途端に流されていった

僕は慌てて、川の中に飛び込み、流されていく彼女をなんとか捕まえ、陸に上げる


息をしていない

僕は救急車を呼び、

すぐに自分の唇を彼女の唇につける

彼女の唇は氷のように冷たい

僕はそこに熱い息を流し入れる

そして、彼女の、もっと奥の、心を何重にも覆っている氷も、溶かせればいいと思う


彼女がうっすらと目を開ける

「私って···」

「生きててよ」

彼女の言葉を遮って、僕は言う


彼女の瞳には、微かに灯りがともった



 詩を書くつもりでしたが、思ったより長くなったので、文芸の純文学として投稿しました。

 読んでくださり、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] >彼女の瞳には、微かに灯りがともった 最後のこの一言が好きです。息を吹き返したのと同時に、死んでいたこころも生き返ったような…そんな感じがして良いですね。 幼馴染みの女の子も、そして主…
[良い点] 『彼女の、もっと奥の、心を何重にも覆っている氷も、溶かせればいいと思う』という詩的(比喩)表現が上手だと思いました。
[一言]  好きなお話です。  何らかの理由で辛い人生を送っている彼女と、彼女を案じている彼の想いが鮮烈ですね。  ラストの人口呼吸、彼が「キス」「口づけ」など性的なことを考えず、彼女を助ける事のみ…
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