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「私も本当はずっと一緒に居たかったよ……、華蓮……」
私は通話が切れたのを確認すると、溜息と共に小声で呟いた。
いよいよ、私の長い旅路が終わろうとしている。
華蓮にもついに打ち明けてしまった、きっともう私のことを引き留めようとする人はこれでいない。
自分だって未来のことが見通せているわけじゃないけど私は選んだ道を進まなければならない。
「引退しても、ずっと見ているからね。華蓮。私が引退しても泣いてないで頑張ってるか、見に行くからね」
私はきっとこの気持ちは届いているはずと、華蓮のために一人呟いた。
深夜遅い時間だからか、不思議と信じられないくらいに頭はよく回っていた。
だからだろう、最後まで泣くことなく華蓮を説得することが出来たのも。
もう、これで十分だと思う、これで、ちゃんとお別れが出来る。
ファンの皆にも同じように、お別れが言えるはず。
私が前向きでいないと、華蓮のことを余計に心配させてしまうから。
華蓮は分かってくれるよね? きっと、これからも友達のままでいられるよね?
別々の道に歩んだとしても、くだらない話しに付き合ってくれるよね?
言葉は尽くしたと思う、これ以上考えても仕方ない、後は自分を信じるしかなかった。