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第1話

   

「今どこにいますか?」

 私がその電話をかけたのは、駅前の噴水広場で30分以上も待った後だった。

 これがデートの待ち合わせならば、30分なんてほんの一瞬だ。相手のことを思い描くだけで、時間なんてあっという間に過ぎるだろう。

 しかし今回は、取引相手との約束だった。仕事の待ち合わせで30分も待たされるなんて言語道断。私が女だからという理由で、舐められているのだろうか?

「そちらは、かなり遅れそうですか? 私の方は、打ち合わせ通りに待っているのですが」

 と、プンプンしながらの電話だったけれど……。

   

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