表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

それはとてもきれいな直線

作者:

それはとてもきれいだった。

そう思ったら、それはほんの少しだけどこか変わっているような気がした。



ねえ、ハジメの近くに刃物を置いたりしていないでしょうね?


そんなことしないよ。何かあったの?


あなたが飾っていた、あの子の名前を書いた紙。あれが切れてるの。(ハジメ)の字に合わせて。


なんだそれ。なんか嫌だな。



家のお風呂場はとても落ち着く。

でも外の音が結構聞こえてくるのが少し残念な所だった。

お父さんとお母さんが僕のことを話してる。

やっぱりあのことだろうか。

なんだかやっちゃいけないことをした気がして、言い出せなかった。

僕がやったんじゃないけど。

書道家のお父さんが書いてくれた僕の名前。斎崎(ハジメ)の字。

一の字がとてもきれいだと思った。

細いのに強くて真っ直ぐで、きれいな直線だった。

そう思ったら、その線が少し変わっていた。

きれいに切れちゃっていた。

せっかくきれいだったのに。


ブクブクと、水面に息を吐いて遊びながら考えていた。

ふと、自分が見ていたものを観察した。太ももにはうっすらと血管が見えた。

枝分かれしていって奥の方へと消えている。

その中に、とてもきれいな直線になっている部分があった。


そこから、赤が漏れてくる。

お湯が赤く染まっていく。

体が赤に沈んでいく。


そっか。あの紙は僕が切っちゃったんだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ