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黒田博士と同僚の話
黒田が、お店の中に入ると中年の女性が色々な食材が入った箱から、袋に小分けしていた。
「悪かったな。わしも手伝うよ」
黒田が、ふいに話しかけると、作業をしていた女性が振り返った。
「もう、どこいってたんですか。黒田さん」
「いや、思わぬお客さんが来ていてね。それで少し話をしていたんだよ。わしも手伝うよ。小北さん」
「あ、もう終わりかけですから。大丈夫ですよ」
小北は、そう言いながら手際よく作業し、箱の食材は小さな袋に小分けしていった。
「でも珍しいですね。黒田さんにお客さんだなんて」
「わしにお客さんが来たら不思議かな」
「いえ、そんなことはないですけど。今まで黒田さんが、私に話しかけることもなかったので」
「そうだったかな…。」
「なんか、いつも、こんにちはとか、お疲れ様です。とかいうぐらいしか言葉を聞いたことがなかったので」
小北がそう言うと、黒田は照れたように頭をかいた