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想像力

作者: 海斗

想像力があったらこうなっていなかったのかな、

僕はつい最近とあるチャットアプリを使用し始めた。

きっかけは家族の喧嘩だった。


元々母は最近ずっと不機嫌だった。

好きな芸能人が不倫をしていたらしい。

それの批判がネットで炎上してその芸能人は自殺を試みたそうな。


そこまでその人を追い詰めなくてもいいんじゃない?そう思うが、まぁ別に僕には関係ないしね。


そんなずっと不機嫌な母のご機嫌をとりながら日々を過ごす。家でも学校でもいい子ちゃん。自分を偽っていっぱい我慢して、勉強も頑張ってずっと学年1位を取り続けた。


けれど誰も褒めてくれない。


母に僕は思いの丈をぶつけてみたところ

母は

「塾に通ってるんだから、そのくらいで喜んじゃダメなのよ!」と言い放った。


じゃあ、僕はどこまで頑張ればいいの?

母さん、僕をみてよ。


行き場の失った思いを何処かにぶつけたくて、僕はチャットアプリを勝手に携帯に入れた。


最初は、

『今日は雨だ!窓開けたままにしちゃった!

急いで帰宅』


とか


『今日の夕ご飯はカレー! 僕の大好物!』


と当たり障りのない日常のことをチャットした。


 ある日滅多に帰ってこない父が海外から帰ってきた。彼はタバコをいたるところで吸っていたので一気に部屋はタバコ臭くなった。


タバコが嫌いな母は父と喧嘩になり、父が仕事に戻った後もずっとプンスカプンスカ怒っていた。


そしていつのまにかその矛先は僕に向いた。


「伊織!洗濯物干しておいて! 食器も洗って置いて!」


母はそう叫ぶと仕事に向かった。


僕はそれらをやる前にチャットで

『喧嘩したからってこっちまで何で怒られなきゃいけないんだよ。』

と呟いてから取り掛かった。


全てが終わってからもう一度チャットを開く。


すると色々な人から返信が来ていた。


『わかりみ。うざいよね』

『わかるわー、お母さんとかいっつもそれ!マジ何でこっちまで怒られなきゃいけないんだか。超理不尽』


共感の言葉に僕は気分を良くした。

なんだ。分かってくれる人はいるんじゃん。


それからというもの、すぐに何かあったらチャットで呟くようにしていた。


ことの詳細まで。


 学校に行ってからの方がその行為を頻繁にするようになった。


とある教科の先生は生徒にめちゃくちゃ嫌われていた。喋り方が少し歪だったのと、熱血な性格のせいだったと思う。


僕はチャットで

『今時熱血とかまじ勘弁。しかもめっちゃ唾飛んでるし。あーあ、前の席最悪。

まっ、成績には甘いから別にいいけど。』


と呟いた。

特に何も考えていなかった。

ただ思ったことを呟いて、誰かに僕を肯定して欲しかった。


その一週間後

先生は急に学校に来なくなり、新しい先生が赴任してきた。


その先生に聞いても前の先生がどうして辞めたのか教えてくれない。


嫌いな先生だったから別に気にしなくていい。


そう思っていたけど、時が経つに連れて妙な罪悪感がうずうず体を渦巻いていた。


嫌に動機は激しいし、手も動かしていないと落ち着かない。


どうして。どうして先生はやめたんだろう。


急いで家に帰った僕は呟いたチャットを見返した。


そして気づいた。



僕のチャットを辿っていくと、数々の共感の声や批判があった。でもその中に先生を特定する呟きがあった。


『++中学の00先生ってマジでうざいらしいよ』


『知ってる!その人なんかやらかして++中学校行ったって聞いたことあるよ』


『あの先生あの顔で奥さんいるんだぞ?笑笑

マジでこの世も末だな』


そして一番最後には


『みてよ。先生はっけーん』


と先生と奥さんの顔が映った画像がアップされていた。


「これやりすぎだろ!」


僕は思わず大きな声を出した。


ここまで、ここまでするつもりはなかった。


急いでチャットに

『やり過ぎじゃない?』

と呟いたら


『君も共犯だよ』


との文が送られてきた。


芸能人への批判をやりすぎだ。

そこまでしなくていい。


そう言った口で


僕は先生を学校から追いやった。


僕が。


僕が悪者


僕が先生を追いやったんだ。


その事実を僕はどう受け止めていいのかわかんなかった。やっては行けないことをしたのはわかる。

悪いことをしたんだと。


次の日

僕は学校に行って、先生の電話番号を聞いた。


担任には教えられないと言われた。


だから僕は正月に先生に教えてもらった住所に葉書を送った。


僕がやった事と謝罪を書いて。







あれから1ヶ月が経った。

先生からは


“君のせいじゃないよ。

でも悪い事をしたとそう思うなら、次は絶対にしないでね。”


その分と共に奥さんと先生の幸せそうな写真が送られてきた。それは結婚式の写真だった。


母にもこの事を伝えて

母について書いた文を全部見せて謝罪した。

許してもらえないかもしれない。

追い出されるかもしれない。

そう思いながら。


でも母は許してくれた。


厳しかったのは僕の頑張りを持続させるようにしてくれていたため。


家事はできないと困ると友達に聞いたから。


僕は父がどこでもタバコを吸うのは、タバコ依存症でありながらも、僕達と一緒に過ごそうとしてくれているからだと知っていた。


知っていたんだ。


でも、僕をみて欲しくて。構って欲しくて。


あんな事をしてしまった。



その人初めて僕は人前で泣くことができた。



もう二度と同じ過ちは犯さないだろう


今でも自分を律するために、自分が間違えそうになったら、このチャットを開く。


中学生以来使ってないので5年は更新されていない。


僕は先生になった。

勉強以外でも教えられる事を僕は生徒に教えていきたいと思う。

 


僕の身近にあった事件を完結にまとめてみました。

僕の学校では、先生が毎年5人はやめています。

理由はそれぞれあると思いますが、このSNS上の陰口悪口が原因だった先生も少なくありません。


どうか間違いを犯す前に。

傷つけて何かを奪ってしまう前に、考えてどうなるか想像してください。

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