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第14話【俺様系もふもふワンコ】

 俺は必要な素材を全部かきあつめ、ヒミコにメッセージを送る。

 成功時に払う報酬は、素材を全部こっちで集めたからかなり負けてくれた。


 それにしても、レベル40を過ぎたプレイヤーって言ってもピンキリだなぁ。

 先にいたパーティが終わるのを待とうかと見てたら、簡単に全滅してたし。


 まぁ、俺は攻撃食らう間もなくワンパンだから、相手の攻撃力なんて分かんなかったけど。


「じゃあ、ヒミコ。約束通り、これで作ってもらえるか?」

「恐ろしい早さですわね……正直、ショーニンのことを過小評価してたみたいですわ。特にボス素材をこんなに短期間で手に入れるなんて。高かったでしょう?」


「ん? いや。ボス素材は高いし、流通が少ないし。ほとんど自分で取りに行ったな。ヒミコに部位破壊ってのを教えてもらったおかげで楽勝だったよ」

「え!? 自分で? よく「商人」でパーティに入れましたわね」


 うん? なんかさっきから話が噛み合わないな。

 あ、そうか。「銭投げ」のことを教えてないからな。


「いや。全部一人でも狩ったよ。方法は……まぁ一応内緒にしておくかな」

「ぇえ!! 全部一人で!? 分かりました……完全にショーニンのイメージが変わりました。ちょっと作る装備の見た目は変えさせていただきますわ」


 なんか、ちょっと不安なことを言ってるが、大丈夫かな。

 まぁ、服装のセンスなんて皆無な俺なんか口を挟んでもいいこと無さそうだから任せるけど。


「ああ。頼むよ。信頼してるからな」

「ありがとうございます。それじゃあ、今から製作にかかりますが……そうですわね。現実時間で一週間後にはできてると思いますわ」


「オーケー。じゃあ、出来たらメッセージをくれ。それまでのんびりとレベル上げでもしておくよ」

「ええ。報酬は受け渡し時にお願いしますわね」


 俺はヒミコのアトリエを後にすると、この前行った墓場フィールドへと足を運ぶ。

 目的はヒュージブレイン、が落としたレア装備だ。


「装飾品はまだ空きがあるからな。もし拾えたらもう一個くらい欲しいんだよなぁ。出るなら二個でもいいけど」


 そう独り言を呟きながら俺はヒュージブレイン狩っていく。

 こいつが落とすノーマルのドロップアイテム「脳髄(のうずい)」ってのも回復薬の素材になるらしく、それなりの値段で売れる。

 そんなに損は無いはずだ。


 ひたすら目に付いたヒュージブレインを狩っていく。

 さっきスキルの「弔う者」ってのを手に入れたから、相当な数を倒してるはずだ。


【弔う者】

不死系モンスターを10000体倒す。

効果:不死系モンスターへのダメージ10%上昇。不死系からのダメージ10%軽減。


 この他に、「不死の敵」、「不死の天敵」はもちろん持ってる。


「はー。やっぱり運は全く上げてないからな。ちょっと欲張りすぎか? お? きたー!」


 すでに何体倒したか覚えてないが、そろそろログアウトしようって時に、ようやく落ちた。

 すかさず俺は拾った「ブレインシーカー」を装備する。


 結局その後も毎日狩り続けて、新しい装備を受け取るまでの一週間、もう一つの「ブレインシーカー」を手に入れることができた。

 これで合計三つ。レベルは45、知識は1000を超えた。


「お。ヒミコからメッセージが来てるな。よーし。早速取りに行くか。っと、その前にこの大量のドロップアイテムも処理しないとな」


 俺は約3万くらい溜まった「脳髄」を店売りした。

 もちろん売る前にはできるだけ相場を上げておくことも忘れない。


「所持金も1億まで貯まったな。やっぱり金稼ぐなら決まったモンスターだけ狩るのが手っ取り早いな」

「あら。さっきメッセージを送ったばかりでしたのに。早かったですわね」


 一週間ぶりに見るヒミコは相変わらずの格好だ。


「すぐ行くって返信しただろ? 待ってる間ずっと狩りしてただけだからな」

「見ましたわ。レベルすでに5つも上げてましたわね。40を過ぎるとレベルの上がりが本当に遅いのに。すごいですわね」


 レベル50過ぎのプレイヤーにそう言われると複雑な気分だ。

 しかし最近知ったが、生産職のレベル上げはモンスターを倒さなくてもできるらしい。


 製作を続けるだけで経験値がもらえるんだとか。

 そりゃそうか。じゃないと誰も生産職なんて専門でやらないし、やれないよな。


「さっそく渡しますわね。あ、見た目の微妙な変更は最初だけ無料で行いますから、言ってくださいね」

「分かった。お……これは」


 受け取った装備を身に付け俺は置いてあった姿見を覗く。

 そこにはまるで俺様キャラのような姿をした俺がいた。


 黒を基調に所々銀の装飾が施された、軍服のようなスーツにファー付きの豪奢なマントを羽織っている。

 足元もそれに合わせた黒のロングブーツだ。額には宝石を携えた細い環が着いている。


【覇王の服(カスタマイズ)】

覇道を進む者を包む服。

装備制限:レベル40以上

物防:80%上昇、魔防:80%上昇

効果:状態異常防止20%、スキル効果10%上昇。


【覇王のブーツ(カスタマイズ)】

覇道を往く者の道を固めていく靴。

装備制限:レベル40以上

物防:50%上昇、魔防:40%上昇

効果:状態異常防止20%、移動速度上昇。


【覇王の冠(カスタマイズ)】

覇道を極める者の額に輝く冠。

装備制限:レベル40以上

物防:30%上昇、魔防:60%上昇

効果:状態異常防止20%、知識10%上昇


「なぁ。この格好って……」

「きゃあああ! 素敵ですわ。似合いますわ。最高ですわー!!」


 姿見からヒミコに振り返って声をかけようとした瞬間、叫び声が上がった。

 声の主はもちろんヒミコだ。


 大きな瞳を潤ませながら俺を舐め回すように見てくる。

 鼻息が荒い。


「さすが私ですわ。思った通り、いえ! それ以上の出来栄えですわね!!」

「いや、良いんだが。なんか方向性が前回と偉く違わないか? 軍服っぽいのに胸元とかめっちゃ空いてるし……」


「ショーニンは天下をとることを目標にしてるんですわよね? ロキから聞きましたわ。ならば、それに相応しい、王の格好をしませんと!」

「王? 確かに装備名は覇王だけど。これ王っていうか、魔王……?」


 まぁ、見た目はともかく、性能は想像以上だ。これで状態異常も怖くないしな。

 さーて、ぼちぼちと目標のダンジョン攻略、初めてみるかな!!

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新作ハイファン書き始めましたヾ(●´∇`●)ノ

千年の眠りから覚めた天才魔道具師は創りたい〜冬眠装置に誤って入った私が目覚めたのは、一度文明が滅びた後の未来でした〜

魔道具師が滅んだ千年後の未来で、コールドスリープから目覚めた天才魔道具師が、魔道具を創りたい衝動に駆られてあれこれ騒動を起こす話です。 良かったらこちらもよろしくお願いします!
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