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俺と彼女と主人公とモブと  作者: しょうこう
8/13

気持ち

 それからしばらく経ったが、返信は遅いながらも、彼女とのやり取りは続いた。バイト先で会えば、軽く言葉を交わし、上がりの時間が合えば、駅まで一緒に行き。

 それはそれで幸せな日々だった。

 そして、

 自分の気持ちに気付き、

 やがて大きくなっていった。

 でも、

 わかってる。

 それは、

 たぶん、ダメだ。


 俺は、もう一度彼女をご飯に誘ってみた。

―――良かったら、六月にまたご飯行かない?

―――いこいこ!行きたい!

 彼女の反応は悪くなかった。

 むしろ良い反応だったと思う。

 ただ、真正面から受け止められなかった。

 俺は彼女の『好き』にはなれないと思ったから。

 前にご飯に行ったときの話では、彼女は好きな人に尽くすタイプで、一途な人だ。でも、俺と仲は良くなっても、わざわざ時間を作ってまで、会うわけではない。たぶん、友達の域を出ない。

 さらに、彼女は、どちらかと言えば男性が嫌いだと言っていた。苦手ではなく、嫌いだ。

 彼女の中で、男性は、ほとんどが『嫌い』か『まだまし』に分類されるらしい。俺はその中でも後者だから、まだ話してくれるし、ご飯にも行ってくれるけど、そこまでだ。その先は、ないのだと思う。

 なんとも変な人に恋をしてしまった。

 俺には、あまり好きなタイプというものがない。よく好きになった人がタイプと言うけれど、それとも少し違う。いや、そうかもしれないが、俺の中では違う。

 俺は仲良くなった人を好きになってしまう傾向があった。彼女だってそうだ。可愛いとは思っていたが、イコール好き、ではなかったのに。

 良くも悪くも仲良くなってしまった。

 そして、その先に踏み込んでしまった。

 手を伸ばしてしまった。

 触れてはならないものに触れてしまった。

 覗いてはならないものを覗いてしまった。


 ああ。

     あゝ

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