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俺と彼女と主人公とモブと  作者: しょうこう
3/13

急転直下

 さあ、ついに連絡先を交換したぞ。

 あとはご飯に誘うだけだ。

 いやでも、と、そこで俺はとどまった。

 いきなりご飯に誘うのは変ではないかと。

 それこそ、連絡先を交換したのだから、いつでも誘える。

 なら、それほど急がなくてもいいのでないだろうか。

 むしろ、がっつき過ぎるのも良くないと思う。

 そこから一週間ぐらいは、当たり障りのないやり取りが続いた。

 しかし。

 一つ誤算があった。

 彼女の返信が異様に遅いのだ。

 一日に一回返信があるかないか、ぐらいのものだった。

 びっくりした。

 いや、どちらかと言えばショックだった。

 あれ?俺嫌われてね?

 急転直下である。

 今までの人生で、こんなに返信が遅い人に出会ったことがなかったので、わけがわからなかった。

 いやでも、と、またしても俺は思いとどまった。

 連絡先を聞いてきたのは彼女だよな?と。

 さすがにそんないじめったらしいことをする人ではあるまい。

 だとすれば、本当に彼女は返信が遅いだけなのではないか、と。

 それこそ、昼間は仕事で忙しいだろうし、帰ったら疲れてすぐ寝てしまうのかもしれない。

大学生の俺とは状況が違う。

 そうだよ、そうなんだよ。

 と、俺は自分に言い聞かせた。

 まだ諦めるには早いじゃないか、と。

 そう奮い立たせ、なかなか返信がもらえない中、俺は根気強く待ちながら、彼女とやり取りを続けた。

 そしてついに、

 食事に誘うことに成功した。

 休みが合う日を探し、なんとかここまでこぎつけた。

 それだけでもう有頂天である。

 約束の日までは、楽しみがある分、頑張れた。

 人間、楽しみな予定があると、そこまでは存外頑張れるものだ。

 ニヤニヤが止まらない。

 そんな毎日だった。

 が。

 なぜうまくいかない?

 約束の三日ほど前のことだった。

―――ごめん、ちょっと体調悪くて、ご飯行けそうにない

 おいおい、神様、これはなんのいたずらだ?

 ここまで来て、断られるとは一体全体どういうわけだ?

 頭が真っ白になった。

 フラれた感覚に等しい喪失感が、身を包んだ。

 いや、事実、これはフラれたも同然だろう。

 まだ告白もしていないのに。

 だって考えてみよう。

 彼女の体調が悪い、というのは、間違っていないのかもしれない。だとしても数日前にキャンセルするか?いや、当日よりかはダメージが少ないかもしれないが、それでも当日までに治るかもしれないと思えば、こんな時に断りを入れてくることはないのではないか?

 それともあれか?女の子の日とやらか?

 俺はどうにも男なので、その辛さはわからない。話には聞いたことがあるが、実際体感したことはないので、それは無理は言えない。

―――大丈夫?全然無理しないでいいから

 とりあえずはそう返信した。

 だがしかし、やはり返信は遅い。

 返信を待つ間、色々なことを考えたが、どう頑張ってもわかるはずはないので、とりあえず打ちひしがれながら、泣きそうになりながら、彼女の返信を待った。

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