なんで
七月になってしまった。
先月と同じように、涼しい日々が続いている。
梅雨寒とやらだろう。
過ごしやすいのはいいけど、暑くないのはいいけど、洗濯物が乾かない。
そんな日々。
そして、また彼女と連絡が取れなくなった。
最初はいつもの通り、返信が遅いながらも、やり取りをしていた。
七月の前半は予定が合わなかったから、じゃあ後半だね、と。
―――――それ以降、彼女から連絡が来ることはなかった。
待てども待てども、連絡がこない。
もう連絡が来なくなって二週間を過ぎた。
また携帯の調子が悪くなったのだろうか?
そんなに頻繁におかしくなるか?
それともいよいよ彼女に嫌われたのか?
六月の予定がダメになったのだって、俺に会いたくないから嘘をついたんじゃなかろうか。
いやな憶測が頭を駆け巡る。
でも、
今回は少し心当たりがあった。
もしかしたら、あれが原因なんじゃないか、と。
俺は、彼女のとあるSNSのアカウントを知っていた。いや、教えてもらっていた。主に写真を投稿するアレだ。
彼女はもう使わないから、と言っていたが、俺としては、彼女の写真を見てみたいと思っていたので、どこか気恥ずかしさを覚えながらも、教えてもらっていた。
そこプロフィールに、また別のSNSのIDが書かれていた。こっちは、みんなが好きに呟けるアレだ。
俺は興味本位にそのIDを調べてみると、それらしいアカウントが出てきた。
フォローしようかとも思ったが、フォロワーを見てみると、どうもあまり周りと絡んでいるアカウントではないらしい。俗に言う『裏』というやつだろうか。
名前も彼女の本名のかけらもないし、写真だって、本人とは程遠い。
だが、そのアカウントのタイムラインを遡ってみると、やはり彼女っぽい。
こんなことを呟いていたのか、こんなことがあったのか。
なんて見ている時、間違えてお気に入りのボタンを押してしまった。
瞬間、しまった、と思った。
足跡を付けることなく、ちょっと見たかっただけなのに。
急いでお気に入りは消したが、たぶんもう遅い。
こういうのは、押した瞬間に相手に通知がいくものだ。
何か断った方がいいだろうか。
謝った方がいいだろうか。
色々と考えたが、書いてあったものを検索して見ただけなので、そんな悪いことはしていないし、大丈夫だろうと、自分に言い聞かせた。
思い返せば、その時以降、彼女から連絡が来ていない。
そのことで俺のことが嫌いになってしまったのだろうか。
彼女の言う、『嫌い』の部類に入ってしまたのだろか。
まさか。
こんなことでそうなるか?
いやでも、価値観なんて人それぞれ。
それこそ彼女はもともと、男性が嫌いだと言っていた。
やらかしてしまった。
彼女が嫌がることをしてしまったかもしれない。
それが原因かは、まだわからないけど、七月の後半になっても彼女から連絡が来ないということは、おそらくそういうことだろう。
まさか断りの連絡すら入れてくれないとは、とも思ったが、それほどまでに、彼女にとっては耐えがたいことだったのではないだろうか。
でも、
だとしても、
嫌われたのだとしても、
やはり、直接話して、訳を聞きたい。
まだ、告白してないのに。
フラれてもないのに。
こんな形で終わるのは、嫌だ。
何より、このままでは、次にバイト先で顔を合わせた時に、気まずいなんてもんじゃない。それこそ仕事に支障をきたす。
もし、彼女を不快にさせてしまったのなら、ちゃんと謝りたい。
謝って済む話ではないのかもしれない。
謝って許してくれるかも定かではない。
そもそも許してくれるどうこうの問題ですらないのかもしれない。
それでも、
謝らないのは、嫌だ。
俺は彼女に電話をした。
が、一向に繋がらない。
日を改めて電話をしても、やはり繋がらない。
少しメッセージを入れても、既読はつかない。
ブロックされてしまったのだろうか。
原因を知ることも、謝ることもできない。
連絡先を知っていても、向こうに受け取る気がなければ、知らないのと一緒だ。
便利になった世の中なのに、なんとも不便だ。
なんで。
なんで。




