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俺と彼女と主人公とモブと  作者: しょうこう
10/13

なんで

 七月になってしまった。

 先月と同じように、涼しい日々が続いている。

 梅雨寒とやらだろう。

 過ごしやすいのはいいけど、暑くないのはいいけど、洗濯物が乾かない。

 そんな日々。

 そして、また彼女と連絡が取れなくなった。

 最初はいつもの通り、返信が遅いながらも、やり取りをしていた。

 七月の前半は予定が合わなかったから、じゃあ後半だね、と。


―――――それ以降、彼女から連絡が来ることはなかった。


 待てども待てども、連絡がこない。

 もう連絡が来なくなって二週間を過ぎた。

 また携帯の調子が悪くなったのだろうか?

 そんなに頻繁におかしくなるか?

 それともいよいよ彼女に嫌われたのか?

 六月の予定がダメになったのだって、俺に会いたくないから嘘をついたんじゃなかろうか。

 いやな憶測が頭を駆け巡る。

 でも、

 今回は少し心当たりがあった。

 もしかしたら、あれが原因なんじゃないか、と。

 俺は、彼女のとあるSNSのアカウントを知っていた。いや、教えてもらっていた。主に写真を投稿するアレだ。

 彼女はもう使わないから、と言っていたが、俺としては、彼女の写真を見てみたいと思っていたので、どこか気恥ずかしさを覚えながらも、教えてもらっていた。

 そこプロフィールに、また別のSNSのIDが書かれていた。こっちは、みんなが好きに呟けるアレだ。

 俺は興味本位にそのIDを調べてみると、それらしいアカウントが出てきた。

 フォローしようかとも思ったが、フォロワーを見てみると、どうもあまり周りと絡んでいるアカウントではないらしい。俗に言う『裏』というやつだろうか。

 名前も彼女の本名のかけらもないし、写真だって、本人とは程遠い。

 だが、そのアカウントのタイムラインを遡ってみると、やはり彼女っぽい。

 こんなことを呟いていたのか、こんなことがあったのか。

 なんて見ている時、間違えてお気に入りのボタンを押してしまった。

 瞬間、しまった、と思った。

 足跡を付けることなく、ちょっと見たかっただけなのに。

 急いでお気に入りは消したが、たぶんもう遅い。

 こういうのは、押した瞬間に相手に通知がいくものだ。

 何か断った方がいいだろうか。

 謝った方がいいだろうか。

 色々と考えたが、書いてあったものを検索して見ただけなので、そんな悪いことはしていないし、大丈夫だろうと、自分に言い聞かせた。

 思い返せば、その時以降、彼女から連絡が来ていない。

 そのことで俺のことが嫌いになってしまったのだろうか。

 彼女の言う、『嫌い』の部類に入ってしまたのだろか。

 まさか。

 こんなことでそうなるか?

 いやでも、価値観なんて人それぞれ。

 それこそ彼女はもともと、男性が嫌いだと言っていた。

 やらかしてしまった。

 彼女が嫌がることをしてしまったかもしれない。

 それが原因かは、まだわからないけど、七月の後半になっても彼女から連絡が来ないということは、おそらくそういうことだろう。

 まさか断りの連絡すら入れてくれないとは、とも思ったが、それほどまでに、彼女にとっては耐えがたいことだったのではないだろうか。

 でも、

 だとしても、

 嫌われたのだとしても、

 やはり、直接話して、訳を聞きたい。

 まだ、告白してないのに。

 フラれてもないのに。

 こんな形で終わるのは、嫌だ。

 何より、このままでは、次にバイト先で顔を合わせた時に、気まずいなんてもんじゃない。それこそ仕事に支障をきたす。

 もし、彼女を不快にさせてしまったのなら、ちゃんと謝りたい。

 謝って済む話ではないのかもしれない。

 謝って許してくれるかも定かではない。

 そもそも許してくれるどうこうの問題ですらないのかもしれない。

 それでも、

 謝らないのは、嫌だ。


 俺は彼女に電話をした。

 が、一向に繋がらない。

 日を改めて電話をしても、やはり繋がらない。

 少しメッセージを入れても、既読はつかない。

 ブロックされてしまったのだろうか。

 原因を知ることも、謝ることもできない。

 連絡先を知っていても、向こうに受け取る気がなければ、知らないのと一緒だ。

 便利になった世の中なのに、なんとも不便だ。

 なんで。

 なんで。

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