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episode.『09月22日(日)/09月23日(月)』



目的があって掃除するのかと思えば


ルーター周りの埃を取り除くために


配線を抜くだけ抜いて散らかしたまま


元あった通りに戻すわけもなく


文句だけ言ってあとは他人任せ


荒らすだけ荒らして放置


玩具で遊んで片づけないガキと一緒


人の時間を奪う才能だけは天下一品の反面教師


本当にろくでもない親だ



      ※



あいつは昔から小さいことで文句を言う


自分のことは棚に上げて


他人の時間を奪い続ける


それで失った日常が、未来が、可能性が


どれだけあったことか


周りには申し訳ないが


こんな親なんぞに感謝できる心は持ち合わせていない


時が許しかけてもまた巻き戻すのだ


きっと死ぬまで許せない


人生の汚点だ



      ※



自分の大切なものを貶し続ける


そんなやつと関わらせたくない


綺麗なままでいてほしい


だから周りと自然と距離を置く


近づけないように壁を作る


俺はそちら側には行けないと


生まれた星が悪かったと


行きたくても行けない


抗っても逃れられない


前世の悪行による罰なのだと


そう思えてしまうほどに



      ※



幸せそうに笑う君たちの


仲間になりたいと


ずっと思っていた


目の前から走り去っていく君たちを追いかけようとした


けれども僕にはできなかった


僕には足枷がついていた


光差す方へ飛び立つ翼を持っていなかった


ただ鎖に繋がれた日常の中


君たちの笑顔を


ずっと眺めることしかできずにいた



      ※



失ってきたものばかり数えて


失った中でどう取り戻すかを思考し続けた


その損失を帳消しにする何かに期待して


今を誇れる未来にしたいと希ってきた


僕はバカだった


失ったものを取り戻すことなんてできない


失った先には失った未来しかなく


失う前には戻ることはできない


僕の願いが叶うことは一生ない



      ※



絶望の中、生きていくしかないのだ


それを払拭できることはなく


一生抱えて生きていくしかない


悔やみ続けて


寂しさに怯え


震える夜に身を焦がす


失っていくものを指折り数え


得たもののちっぽけさに嘲笑する


そんな人生が目に見えてならない


未来なんて今の生き方を続けた結果で


予測なんて容易だから



      ※



頑張れば得られると思っていた称賛も


見る目があるやつがいればの話


目利きがいなければ


そこに価値がつくことはない


世が求めるのはいつだって


磨かずとも輝く宝石であって


磨けば光る野山の水晶などではない


認めてくれる人はいつだって似た境遇の持ち主だ


君が希少価値なら


君は一生孤独のままだ



      ※



歩み寄らなくても


君の周りに人がいるなら


君はラッキーだ


もし君の周りに誰もいないのなら


その意地を捨てなければいけない日がきっと来る


本当は昔から周りに慕われたいと


そう思っていた君が


自分を変えてまで欲しくはないと


張り通した意地


こちらから歩み寄る瞬間


君が平凡に紛れると決めた瞬間だ



      ※



ボケたら乗ってくれる人


ボケたらツッコんでくれる人


ボケたらツッコミを入れる人


そういう関係に私はなりたい



 ――20年の我慢を耐え抜いた先

  解放された人間が再び我慢するのは難しい――

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