episode.『09月01日(金)/09月02日(土)』
恩師が目の前を通った
笑顔で話す姿を眺めていたら
目と目が合ったけれど
気づかれなかった
声をかけようかと思ったけれど
立派になったねなんて言われたら
小っ恥ずかしくて嫌だったから
その背中を見送るだけにした
ただ人知れず一礼した朝だった
先生、俺もお酒が飲める歳になりましたよ
※
思い出さないようにしていたのに
寂しくなっちゃった
※
今言うことでもないことを
人の眠りを妨げてまで怒鳴り散らす
文句ばかりで何もしないクソ野郎を
毎晩毎晩殴り殺したくなる殺意でいっぱいです
日を跨いでまで続くようなら
私は本気でもう一度過ちを犯すぞ
※
これに20年耐えて来たのかと思うと
あの人の精神力は伊達じゃないと
たとえ逃げたのだとしても
逃げるが勝ちを体現したあの人には
本当に幸せになってもらいたいと
心の底からそう思う
一体どれほどの重圧と苦渋に
耐え忍んできたのだろう
眠れない夜を20年
時間を奪うなんて生温い
間接的殺人未遂だ
※
感謝を表そうにも
一瞬でゼロに戻す
だから一生、カスでゴミでクズなんだ
同情も憐れみもするだけ損
口を利いてやるだけマシだと思え
――他人に感謝できるのに
家族にだけは無理でした――




