episode.『12月24日(土)/12月25日(日)』
人気者にはなりたいけれど、有名人にはなりたくない。
※
小さい頃、大人と言われていた僕は
今でも大人と言われていた頃のまま
何も変わっていません
人目を気にして顔色を窺っているだけの
いつも何かに怯えている
ただ大人しい子なだけなんです
※
不満は誰かにぶつけたらいけない
そういう環境で育ちました
ぶつけても何も解決しないと
寧ろ関係は悪化すると
そう学びましたから
だから誰かに不満をぶつけろと言われても
何事もそういうものだと受け入れている僕には
何も思い浮かばないのです
どんなに抱いても仕方がない
解はもう出ているから
それを吐き出すかは別の話
誰かにぶつけるよりかは
いつか消えていなくなる
独り言として呟くくらいが調度いい
誰にも言えない裏の顔
その憤りを原動力に今を変える糧にする
人前では笑顔が一番
他の顔は全部
知る必要のないものだ
痛みも辛さも悲しみも
口にすると実感が増すから
全部忘れてしまえ
※
記憶には残しておきたくないけれど
そういう時期もあったのだと
いつか幸せを掴んだその日に
思い出として読み返して
その絶望には意味があったのだと
現実に見返してやるために
未来の自分が証明する
それって最高の復讐劇だと思うから
※
辛い、会いたい
でもやることがあるから
いつか会えた時に
ギュッと抱きしめてくれたら
それで十分だから
そう思って頑張ってきたけれど
そんないつかなんて来るのかな
※
何が辛かったって聞かれても
わからないんです
だからきっと生い立ちを話すことになる
そしてそれは大したことなくて
たぶん自分が傷つきやすいだけなんだと思います
そしてそれを隠すのが異様に上手くて
自然とできてしまって
誰もそれに気づけない
誰もいない中
自分は大丈夫と言うようなやつだから
――今、目印を作っていました。
君の知らない私がいたと――




