388/959
episode.『12月30日(木)』
伝えたい言葉がたくさんあったのに
吐き出す気力はもうなくて
胸に押し留めて
また私は
あなたの知らない私を
演じていたんです
※
たくさん聞いてくれることはありがたい
それは私に興味を持ってもらえているということで
自分から自分のことを語ることのない私にとって
あなたの知らない私を知る唯一の機会で
知ってもらえてよかったと
そう思わせてくれる
そんな相手に出会えたということだから
知ってほしい人には迷わず答えるよ
聞かれないと答えないタチだから
話す相手は選ぶけれど、
結局、それを知っているのはいつだって
自分一人だけだったんだ
――私はまた、あの頃に戻っていた。
話すことを放棄した、あの頃の君へ――




