episode.『08月24日(月)』
高校生の社会見学
バスの後方で一人
愛しの彼女がガラ空きの席で眠りにつこうとしていた
どうして寝ようとするの?
私はなぜか話しかけ
すると彼女は
社会見学以外の時間が無駄だからと言う
私は確かに?と納得して
いつの間にか二人揃って
手を繋いで眠っていた
今までで一番
君らしい夢でした
※
薄々気づいていた
自分には向いていないと
でもやらなきゃ生きていけない
自から未来を閉ざして
今より暗い現実に屈して
楽しい余生があるはずもない
できないことを可能にし
全てを一人で熟してきた
慣れるまで記憶しろ、叩き込め
それがお前の強さだろ
そうやって私は私を奮い立たせるのです
※
また君の夢を見た
また君のことばかり考えている
好きな人が夢に現れるのは大抵が願望夢だ
ただ遭遇したのはバスの中
電車は人生のレール
バスは生き方のレール
これから同じ道を歩む
そんな未来の可能性を暗示した夢
君と繋いだ手の感触
たとえそれが夢でも笑い合った今日を忘れられはしないよ
※
あの手の感触は
小四の運動会の記憶から
呼び起こされただけなのかもしれない
バスの中で隣同士で寝るというのも
小六の修学旅行の記憶を
改竄したものなのかもしれない
高校生という時代設定も
彼女と過ごしたかった願望からできた妄想なのかもしれない
私はまだ君のことを忘れられないみたいだ
――君に会いたい。結ばれたい。
円満な未来しか想像できない――




